<コラムもどき>

卵先生の問題解決 −投書という形−

 最近の高校生のマナーの悪さ、気になる人が多いと思う。

例えば公共機関の乗り物。

乗客が並んでいても横入り、携帯電話の使用、床に座る、大声で話をする、

お菓子を食べる、・・・数え上げたらきりがない。

しかしそれは極一部の生徒のことで、大多数の高校生は社会人と全く同じで常識的だと思う。

迷惑をかけている高校生は大いに反省してもらいたいものである。


 この地方で「迷惑」という特集を組んでいる放送局がある。

その中で、高校生のバス乗車マナーの悪さについて取り上げていた。

22歳の女子大生からのFAXを元に取材、レポートしたものだった。

番組の姿勢は公平で、番組内でも、マナーの悪い生徒は極一部だ、ということを

はっきり言っており、ある程度共感できる内容だった。


 その女子学生は、マナーの悪い高校生たちと毎日同じバスに乗って大学に通っている。

マナーの悪さに耐えきれず、今回FAXを送ったようだ。

指摘された高校はA教育大学附属高等学校。

そして文脈から明らかにその学生はA教育大学4年生。

全文面は紹介されなかったので何とも言えないが、その女子大生の言うことは

嘘ではないだろうと思う。

逆に高校生側から言えば、大学生も順番を抜かしたり、決してマナーがよいとは

言えない、と反論するだろう。

お互い言い分もあるだろうし、それは仕方がないことだと思う。

また、私鉄バスのダイヤも前よりも悪くなっているようだし、大学と高校の

始業時間の問題等、いろいろな問題を内包しているような気がする。

 私がこの番組に関心を示したのは、実は高校生のマナーの問題ではなく、

なぜその女子大生がマスコミにFAXを送ることにより問題の解決を図ろうとしたか

ということである。

 年齢から推測し、彼女はすでに教育実習を経験していると考えられる。

教員になる、ならない、は別として、教師としての立場というものについては

ある程度理解していることと思う。

人に言いつける(=マスコミに投稿)という行動しか思い浮かばなかったのだろうか。

ひょっとしたら、高校に指導をしてもらえるように頼んだにもかかわらず、その成果が

あがらず、業を煮やしてマスコミに、という構図かもしれないが・・・。

しかしそうだとしても、私は決して彼女の姿勢が正しいとは思えない。

たとえば、高校に働きかけて「乗車マナーについて共に考える集会を持とう」

ぐらいの提案をし、高校生と一緒に考えていく姿勢を示すことだって非現実的なことでは

なかったと思う。

もし彼女が教師になり、クラスの子どもたちが言うことを聞かなかったら、

校長先生にでもいいつけて問題を解決してもらうつもりなのだろうか。

 また、このケースはちょっと特殊で、問題の高校はその大学の附属という立場にある。

大学と附属学校との関係をどう捉えるか、という問題にも繋がり、とても難しいのだが、

いわば身内のことである。

彼女はおそらく最低1度はどこかの附属学校で実習のためお世話になっていることと思う。

附属の先生方にお世話になっているのは勿論であるが、附属の子どもたちにどれだけ

助けられて無事実習を終えることができたか、ということを果たして自覚しているのであろうか。

もし少しでもそういう気持ちがあるのなら、外部のマスコミという権力に安易に、しかも匿名で

FAXを送るなどという行為には出なかったような気がする。

身内の恥を世間に・・・、などと世間体のことを言っているのではない。

教育大生として、自分たちで問題を解決する術をもう少し模索して欲しかったと思うのである。


 マナーの悪い高校生が極一部であるように、上記のような学生も極々一部だと思う。

考えようによっては、全くの無関心の学生よりはいいのかもしれない。

しかし、今多くの問題を含んでいる教育現場。

将来その教育現場に出ていく学生が多い教育大の学生であったことが、私にはとても残念である。

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