研究・実践主題
主体的に生活し,心豊かに育ち合う幼児をめざして
〜地域の特性を生かしながら〜
岡山市立馬屋上幼稚園
心を育てる学校園づくり推進委員会 |

- 研究・実践主題について
- 子供たちがこれからの社会を自分らしく,自分で考え行動していくためには,
- 幼児期にいろいろなことに積極的に取り組み,友達とのびのびと表現することや
- 自分たちで遊びを進め問題を解決する経験を積み重ねることが大切だと考える。
- 本園は然に恵まれ,三世代同居の家庭がほとんどで,地域あげての行事が盛んで
- 人々は学校に協力的である。
- 子供たちが地域の中で育つよう,豊かな自然に親しみ,地域の人々と触れ合い,
- 施設 を活用するなど,地域の特性を生かして保育実践を行うことで,豊かな心や
- 自主性を育てていきたいと考え,研究を進めることとした。
- 研究・実践内容
(1) 研究主題について
○主体的に生活する(自分で考え行動する)とは
(1) 自分から関心をもち,意欲をもって取り組む。
(2)友達と考えを出し合い,力を合わせて遊びや生活を展開する。
(3)めあてをもって取り組み最後までやり遂げる。
(4)相談したり助け合ったりして問題を解決する。
○心豊かに育ち合うとは
@人や生き物に対して思いやりの気持ちをもつ。
A心を動かし,いろいろなことに感動する。
B自分の思いや考えをのびのびと表現する。
C友達とよさを認め,考えを受け入れる。
D人や物に感謝の気持ちをもつ。
E人と仲良くし,かかわりを楽しむ。
○地域の特性には
・少人数の幼稚園である。
・自然がいっぱいの幼稚園である。
・三世代同居で行事が盛んな地域である。
(2) 研究の視点
○いろいろな人との触れ合いの機会を計画的に設け,効果のあがる交流にする。
- 例;年長と年少のかかわり,他園や小学校との交流,親子読み聞かせの会など
○地域の自然環境の中に出かける,園内の自然環
- 境を見直すなど,自然と感動的な出会いができるようにする。
- 例;小学校自然公園での交流(弘西幼稚園と野谷保育園)・栗拾い・木の実拾い・
- 落ち葉拾い,川遊びなど
○教師自身が学区内の施設や自然を知り,地域の人々とのつながりをもち,
地域のよさに接するようにする。
- 例;空港見学,マスカット苑訪問,銭太鼓グ ループの方々との交流など
(3) 指導に当たって
○幼児の気持ちを理解して,自分の考えで行動したり互いに受け入れたりして,
自主的に行動できるように援助する。
○幼児の活動場面で,自分で考えて行動できるような援助をする。
○幼児の様々な驚きや発見や感動に共感し,幼児の心に寄り添って豊かな
感情体験を積み重ねることができるようにする。
○意図的計画的に年間計画(人とのかかわり,地域とのかかわり,飼育栽培)
を立てて,幼児が感動的に自然と出会ったり,
人々と交流したりできるようにする。
○ねらいや意図したことを明確にして適切に援助する。
(4) 実践例
少人数の幼稚園のよさを生かして
〜小学生との交流から |
- 身近な年上の人とかかわることで,優しさを感じたり刺激を受けたりして,
- 豊かな体験をしてほしいと考え,隣接する小学校の1年生との交流を次のように行った。
- @運動遊びをしよう 9/18
- A栗拾いをしよう 9/26
- B芋掘りをしよう 10/18
- C焼き芋パーティーをしよう 11/21
- D昔遊び大会においで 12/6
- 交流の際,いつも同じ児童と二人組で行動するようにしたことで,自分の思いを伝え,
- 親しみをもって接するなど人間関係が成立してきた。
- また,交流日以外にも,業間休みに1年生が幼稚園を訪れ,一緒に遊ぶようになった。
- 継続した交流を通して,1年生に手伝ってもらったり助けてもらったりしたことをうれしく感じ,
- 教えてもらって一緒にするうちに進んで行動するようになり,様々な体験をすることができた。
- 幼児から「楽しい」「ありがとう」「うれしい」などの声が聞かれ,心を通わせる交流となった。
地域の自然を生かして
〜シジュウカラのひなが巣立って |
- 栽培用具入れのロッカーの中に苔や綿を見つけ,数日後,小さな卵を発見する。
- 幼児と成り行きを見守り,継続して観察をした。
- 幼児は鳥の名前を図鑑で調べ,雛の誕生を喜び,雛の成長に気づくなど長期間
- 関心を向けてかかわり,生命の不思議さや鳥の親子の愛情深さや雛が成長する喜びを
- 感じることができた。
地域の人々とのかかわりを生かして
〜銭太鼓の会との交流から |

- 地域で活動している銭太鼓の会の方の演技を見る機会を設け,幼児の興味や関心を喚起した。
- 幼児が素晴らしい演技に感動し,意欲をもって銭太鼓に取り組み始め,難しい動かし方にも
- 挑戦し,できるようになりたいと毎日がんばって練習した。上手にできるようになると,
- 次第に,自分たちの銭太鼓を見てもらいたいという気持ちが高まってきた。
- 幼児の気持ちをくみ取り,小学校の学芸会で演技することを決め,
- 会の方による指導の機会を再度もつことにした。
- 銭太鼓の会の内容やプログラムを幼児同士で相談し,準備を行った。
- 当日は,幼児のがんばりを会の方に認められ自信をもつと共に,会の方に気軽に声をかけ,
- 楽しく会食をするなど親近感をもち温かい心の交流ができた。
- 研究・実践の成果と課題
○交流会や集団遊びについて,幼児の思いや考えを取り入れながら全員で
相談していったことで,自分から関心をもち,意欲的に取り組むことができた。
○地域の特性についてそれぞれ年間計画を立て,ねらいを明確にし,幼児が必要な
経験を積み重ねられるように話し合ったことで見通しをもって保育することができた。
○友達が共に経験し,教師が幼児の心に寄り添い,幼児の驚きや発見,感動に共感
していくことで,幼児は安心して自分の思いを出すことを実感した。
○他園の幼児,小学生,地域の人などと交流する際,時期や内容を検討したことで,
体験を重ねるにつれ,自分の思いや考えを出してかかわる姿が見られ,心の
つながりをもつことができた。
○地域の人々や自然,施設などを保育に取り入れることで,幼児も教師も親しみを感じ,
地域をより身近に感じるようになった。今後も地域に目を向け,保育に生かしていきたい。