事例 5                                         

はじめに
「自然の中の幼稚園」 −ロッカーにシジュウカラの卵を見つけて
時 期:6月から7月
対象児:4,5歳児
ねらい:○身の回りの自然の事物現象に興味・関心をもち,継続的に関わろうとする。
      ・自分の住んでいる地域の自然に親しみをもってかかわる。
      ・親鳥や卵の変化に関心をもって継続観察し,楽しみに見守る。
      ・雛の誕生や親鳥の世話を通して,生命の不思議さや親子の愛情を感じる。

                                        主体的(1) 心豊か@A
心の
動き
幼 児 の 言 葉活 動 の 意 味教師の支援






6/5  ロッカーの中に何かあるよ
    何かな?
    もこもこしたものだよ。
6/6  ごみの中に卵があるよ
    鳥の卵があるよ。
    あれ,卵が7個になっている。

6/7 卵を温めているよ
   卵を温めよるよ。
   何の鳥かな?

   卵はどうなっかたな
   今はいないよ。
   あ,さっき飛んで帰ってきた。

6/20 ひながかえっているよ
   わー生まれている!
   わーかわいい!

6/23 ひながお腹をすかせてい るよ
   お腹がすいているんだ。


6/26 段々大きくなっている
   目が黒くなってきているよ。
   羽が生えてきたね。

6/26 大きくなったよね
   デジタルカメラ貸して。私が
   撮る。

7/3 シジュウカラさん元気でね
   もう みんないないよ。
   ほんとじゃ,さようなら。

 (近くで鳥の鳴き声がすると)
   あのシジュウカラかな?
栽培用具入れのロッカー
中に苔や綿ごみのかたま
りを発見する。
もこもこした物の中に小さ
な卵を発見し,何の卵か
興味をもつ。

鳥の名前を知りたくて図
鑑で調べる。シジュウカラ
だと分かる。

毎日シジュウカラが卵を
温めたり餌を探しに行った
りする様子を観察する。

日曜参観日の代休明け,
卵からひながかえってい
るのを発見。生命誕生。

ひ弱な雛の様子を友達や
教師と心配そうに見る。

羽の変化を見たり,ひな
が鳴く真似をしたりして
成長に関心をもつ。

羽が生えている様子,餌
を欲しがる様子をカメラに
撮る。

日曜日明け,5匹の雛が
ロッカーから巣立ったこと
に驚き,寂しがる。と同時
に喜び合う。
思い出して,思いを馳せ
ている。
発見に共感する。
他児にも知らせる

共にかかわり,環
境にかかわること
を一緒に楽しむ。

絵本コーナーの図
鑑を整備して見や
すくし,一緒に調
べる。

幼児と積極的にか
かわり,関心を寄
せる。

幼児の喜びに共感
する。幼児と鳥の
誕生会をする。

そっと見守り,鳥
の巣を大事にする

幼児の発見や感動
を受け止める。

幼児の探求心を実
現し,画像を掲示
し他の幼児にも知
らせる。

元気に大きく成長
し巣立った雛のこ
とを共に喜ぶ。

元気に暮らしてい
る様子を想像し,
幼児と夢を話す。






















はじめに
【考察】
・自然の中にある幼稚園という環境であるにしても,鳥が巣を作り卵を産む偶然の出 来事に
 対して,幼児は興味や関心をもってかかわり,雛の誕生や巣立ちに出会うこ とで,
 感動を味わい生命のすばらしさを友達や教師と共に感じることができた。

・小鳥小屋の掃除をするとき,幼児がこぼした餌に近くの山に住む野鳥がよってくる
 光景を見ることがあるが,「これは山の小鳥さんの分ね」と幼児が故意に餌をまく ことがある。
 このことから,人間や鳥が共生していることを日頃の生活で感じ,生 き物に対する
 思いやりの気持ちが育ちつつあることを感じる。

・鳥の巣作りの場面を教師自身が喜び,常に関心を寄せて幼児と共に卵や雛の変化に
 目を止め誕生や成長に感動することで,鳥の名前を調べたりデジタルカメラで
 撮影 したりして自然とのかかわりを深めていくことができた。