事例 8                                             はじめに
「地域の人と触れ合って」
           ー学区で活動している銭太鼓のグループを招いてー
時期 :10月から11月
対象 :4,5歳児
ねらい:○地域の人や地域の活動の様子を知り,親しみをもつ。
     ○銭太鼓を見て,興味や関心をもち,自分たちもやってみようとする。

銭太鼓の人が来てくれるよ  うれしいな 10/5     主体的(1),(4) 心豊かB

援助→地域の銭太鼓の人たちが幼稚園に来ることを伝える。
年少児「知っている」「見たことある」
年長児「去年したよね」と関心を示す。
援助→銭太鼓の会について幼児と考え,幼児が心から
歓 迎し,目的をもって主体的にかかわれるようにす る。
C「プログラムを考えよう」
C「おそうじ」「部屋の飾り」など誕生会の経験を生かし て,
 前日の準備を決める。
援助→看板を作り,会の人を歓迎する方法を提案する。
C 看板の花飾りの付け方や輪飾りの付け方を工夫する

みんなで考えた銭太鼓の会プログラム
  1 あいさつをしよう
  2 自己紹介をする
  3 銭太鼓を見せてもらう
     そして,自分たちもさせてもらう
  4 お礼をしよう
     運動会でした踊り
     みんながよく知っている歌を歌おう
  5 あいさつ ,また来てもらう約束しておこう

はじめに
銭太鼓すごいね,わたしもやってみよう 10/7      主体的(1) 心豊かA,D,E

援助→幼児とメンバーの人をいろいろな方法で歓迎する。
挨拶,住所や組名を含めた自己紹介する。
メンバーの人がリズムよく銭太鼓を動かしたり,投げ上げて回したりするところを見て感動する。
幼児のよく知っている曲の時は,一緒に歌いながら見ている。

援助→幼児と一緒に関心をもって見る。メンバーの人に,銭太鼓を貸していただく。
C「やってみたい」「わたしも」
メンバーの人の銭太鼓で,「いぬのおまわりさん」の曲に合わせて,
動きを真似て動かしたり回したりする。
C「できたよ」「楽しい」「いいように回らんかった」

援助→幼児の嬉しい気持ちや感謝の気持ちを表現できるようにする。
大好きな「慎吾ママのオハロック」を踊り,いろいろな昔話の歌を歌う。
また,自分の気持ちを言い,メンバーの人と触れ合う。

私たちも銭太鼓をしよう 10/13                             主体的(1)
  援助→幼稚園で作った銭太鼓と「
いぬのおまわりさん」の曲のカセットテープや
      カセットデッキを置いておく。
  C「これ,やろう」と数人の幼児が教師と曲に合わせて
  銭太鼓を動かしたり,回したりに挑戦する。

ビデオを見て,同じようにしてみよう 10月中旬~11月初旬

                                    主体的(3) 心豊か@ ,B
  援助→T「銭太鼓の人から借りているビデオを見ながらしてみようか」
  C「ここをくるっと回していたよ」とメンバーの人がしていたのを思い出して,
   してみようとするがなかなか回らない。
  援助→T「むずかしいね」と共感する。
      銭太鼓が回しやすいスピードにしたカセッ トを準備する。
      2本くっつけて回すなどこつを知らせる。
  難しい回し方に挑戦している幼児,なかなかできないけれどやってみる幼児,
  できないので取り組もうとしない幼児などが見られる。何回も挑戦しているうちに
  回るようになり,「○ちゃんこういうようにするんよ」とこつを教えている幼児もいる。
はじめに
上手になったらみんなに見せて上げたい            主体的(4) 心豊かBC
  C「学芸会で見せてあげよう」
  C「運動会で着たはっぴを着て,八巻をしたらいいよ」
  自分なりにできるようになったので,他の人に見て欲しい気持ちがわいてくる。
  C「先生,してたら手が当たる。前みたいに印を付けよう」。

  援助→幼児の発想を生かし,発表の場を作ったり,
      その時の方法をみんなで考える ようにする
  演技するときの衣装や年長児が前列,年少児が後列とする並び方など,
  幼児同士で考え意欲的に取り組む。


銭太鼓の人に見てもらおう 11/10               主体的(3)(4) 心豊か@D

援助→幼児の気持ちをくみ取り,
    銭太鼓のグループの人に再度来園してもらう計画 を立てる。
2回目の会ですることを幼児が中心で話し合う。
前回の内容を思い出して言うだけ でなく,今回ぜひしたいことも入れて考える。
C「挨拶,自己紹介,銭太鼓,お礼の歌,名前を忘れたからもう1度聞く。」

援助→2回目の課題がはっきりするように話し合う。
T「自分が一生懸命頑張ったところも教えてあげようかな。」
C「とん くる 肩のところを頑張ったよ」と
 難しかったけど練習してできるよう になったところを強調する。
T「今度は,お礼のお茶の会をしたいね。」と2回目の課題を明確にする。
C「おじいちゃんやおばあちゃんは,お煎餅がいいよ」「幼稚園でできたお芋もあ るよ」

はじめに
銭太鼓の会の準備をしよう 11/14                   主体的(1) 心豊かBCE

援助→会場の遊戯室と保育室の準備を幼児が自分たちでできるようにする。
輪飾りをつける幼児,プログラム貼りをピンや花飾りの位置を相談しながら進めている幼児,
保育室で机,椅子を運び,友達と園庭の花を摘みミニ花瓶に飾る幼児。


銭太鼓の会の人が来てくれたよ その2 11/14           主体的(3) 心豊かBD

援助→銭太鼓のグループの人に再度教えてもらう。個々のがんばりを認めてもらい,
    学芸会参加に向けて自信がもてるようにする。
会の方の前で,はりきって手や銭太鼓を大きく回している幼児,
楽しそうに笑顔で 踊っている幼児,回していて落としたがすぐ拾って続ける幼児など,
どの幼児も自 信をもって踊っている。
自己紹介では,一番頑張って練習したところを話す。
会の人「みんな上手です。短い間にとてもよくお稽古をしていてよかったです」と,
    会 の人に誉めていただき,
会の人「足を少し広げるとかっこよく見えます」「手をしっかり伸ばして踊るときれい です」と,
    気をつけることを教えてもらう。

はじめに
学芸会でたくさんのお客さんに銭太鼓を見てもらおう 11/18     心豊かB

援助→楽しんで銭太鼓に取り組み,大勢の人の前でものびのびと演技できるように する。
C「ワクワクするわ」「今日は本番よね」
C「お母さんとおばあちゃんが見に来てくれるわ」
学芸会を楽しみにしている言葉が聞かれる。
出番では自分たちで準備をし,張り切って元気いっぱいの演技をする。
年長児だけ がする難しいところも上手にでき満足そうな顔である。
年少児も恥ずかしがらない で精一杯演技をしている。


【考察】
・来園した地域の人の銭太鼓を観賞したこと,素晴らしい演技に感動したことで関心が
 高まり活動の意欲につながった。また,会の人にとって近所の幼児と触れ合うこととなり,
 親近感がわき互いの迎える気持ちと教えてあげようとする気持ちから,温かい心の交流が
 でき,互いに好影響が出た。

・幼児が主体的に参加できるように,誕生会などの会では日頃から幼児と話し合って
 考えて進めていることで,会の計画・実行の手順やポイントが身に付いてきている。
 今回もプログラム作りや準備,会の運営などに関して,来園する人の立場を考えながら
 自分の意見を出すなど主体的に準備や当日の活動ができた。

・銭太鼓をただ動かすだけでなく,幼児にとって難しいと思われる部分を取り入れ,
友達と一緒に一生懸命練習してできるようになったことが,満足感や達成感を味 わう
 こととなった。グループの方に誉めてもらい,自信をもって学芸会に臨み, 幼児自身が
 嬉しい,楽しいという言葉で表現することとなった。

はじめに