「深い河(ディープ・リバー)」
最後の作品「深い河」で遠藤周作がたどり着いたものは、いったいどこに
起因しているのだろうか?
この作品の題名「深い河」は「ディープ・リバー」という英語を
訳したものと考えた方がよいようだ。
「『深い河』創作日記」に次のような記述がある。
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・・・「河」という題が「深い河」という題に変わったのは
黒人霊歌の「深い河」を昨日聞いて、それこそこの小説の題をあらわして
いると思った。作品中にこの霊歌を暗示する一節を入れたい。・・・ |
創作日記の記述通り、作品の最初に黒人霊歌(Negro Spritual)
「ディープ・リバー(Deep River)」の一部が引用されている。
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深い河、神よ、私は河を渡って、 |
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集いの地に行きたい |
黒人霊歌は、虐げられた状況の人々が「魂」の助けを求める(魂の救い)
歌であり、プロテスタントの教えをカトリックの作者が最初に
書き記しているところが興味深い。
この作品は、一人一人の内面が違っている数人の人物が登場する。
そして彼らは本当の自分を求めるために、インドへ旅行をする。
全部で13章から成り立っているこの作品の中で、
「磯部の場合」「美津子の場合」「沼田の場合」「木口の場合」「大津の場合」
と登場人物の名前が付けられている5つの章があるが、
その5人の抱えている問題がこの本の主題を考える上でとても重要だと思う。
まず登場人物の関係をはっきりさせるために、相関図を作ってみた。
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