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1〜3枚作品
- その2 -
    いちばん古い記憶―傷痍軍人―  <1枚(400字)作品>
              
 階段を見上げると、右手側に東山動物園の正門が見える。もうすぐキリンやライオンに会える。両親に手を引かれ、転ばぬよう足下に気を配りながら、階段を一歩一歩上っていく。すると動物園には似つかわしくない、もの悲しいメロディーが聞こえてきた。顔を上げると、そこには白い着物に布の帽子を被った四人の男が立っていた。その中の一人はアコーディオンを弾き、また別の一人はハーモニカを吹いていた。アコーディオンを弾いている男の片足は本物の足ではなく、薄茶色の筒のような義足である。ハーモニカを吹く男の片袖は、干された洗濯物のようにふわふわと宙を漂っていた。男たちの右横には、何やら文字が書かれた白い四角形の箱が置いてあり、その後ろに黒い中華鍋が一つ、三脚架の上に載せられていた。背伸びをして鍋の中を覗いてみると、お札と小銭が何枚か入っていた。
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