Waterloo International駅からユーロスター乗車

 夜が明け、4日目の朝になった。今日は、あこがれのユーロスターに乗る日である。今日の朝食も、前日までと変わらず、丸いフランスパンと、バター、オレンジジュースと紅茶だけである。日本のホテルだったら、目玉焼きとか、サラダとかが出るのだから、イギリスのこのホテルの朝食には驚いた。朝から色々な観光地を巡ったが、それほどお腹は空かなかったので、不思議に思えた。日本でも、このような朝食を続けたらどうなるのだろうか?と、今、考える。毎朝、そのような食事をとっているイギリス人は、栄養不足にならないのだろうか?大いに疑問である。

 ホテル最寄りの地下鉄駅・Russell Square(ラッセル・スクエア)から、約20分でユーロスター発着駅であるWaterloo International(ウォータールー国際)駅に到着した。この駅は、ユーロスター開業のために、昔からの国鉄線の横に、新しくユーロスター専用ホームが造られた国際駅である。ユーロスター駅内部は、まだ1年も経っていないせいか、とてもきれいだった。改札を通り、エスカレーターでホームにのぼった。すると、その時、透明な屋根で覆われているホームに停車中の、念願のユーロスターの車体が目前に現れたのである。この時をどんなに待ち侘びていたことか!!
 車体は、白、黄、紺の3色で主に構成されていて、ユーロスターのロゴマークが輝いて見える。このロゴマークには、5つの意味がある。ユーロスターロゴマークまず一つ目、3本の白い線は、europeの“E”から形作られた。そして、その3本の線は、イギリス、フランス、ベルギー3カ国の意味も入っているのである。次に、黄色い星について述べる。これは、未来のシンボルであり、ユーロスターのサービスが優れているという事も表している。その他に、このデザインのバランスをとるという働きもある。ユーロスターの風格に似合った、そして、未来鉄道を思わせる素晴らしいロゴマークである。
 ユーロスターの車両編成は、先頭車両と最後部の車両が電気機関車、中間にある18車両が客車で、合計20両で1編成という具合になっている。1編成の長さは394m、重量は800トン、車両の幅は2.8mである。新幹線のぞみ号(300系)と比べると、長さは約400m、重量638トン、車両幅が3.38m、ということで、ユーロスターの方がひとまわり小さいことが分かる。これは、フランス国鉄(SNCF)ではなく、イギリス国鉄(BR)の車両規格に合わせたからである。両国とも、軌道は標準軌であるが、車両幅は統一されていないために、幅が小さいイギリスの方に合わせなければならないというのは、少々残念なことである。
 私たちが乗車する、ユーロスター・Paris Nord(パリ北)駅行は10:23発である。ユーロスターロゴマークをバックに重い荷物を預けてから、9号車へ向かった。ドアの前には、ユーロスターのパーサーであろう女の人が立っていて、記念撮影にも快く応じてくれた。その女の人の制服は、ユーロスターカラーである黄色と紺色からなっていて、なんと、ピエール・バルマンによるデザインであるそうだ。ユーロスターのために13種類の制服が新しく作られたそうだが、その点からも、ユーロスターに対する力の入れようは、計り知れないものであることが分かるであろう。
 私たちは、そのパーサーの案内によって、1等車の4人用セミコンパートメントに腰を下ろした。乗車するのは4人用個室であると思っていたが、個室ではないということが、車両を見て、初めて分かったのである。1等車客室内TGVも、ユーロスター同様、セミコンパートメント方式であるという。車内は、とても感じがよい。やはり、相当な力を注いで造った車両であるから、大変好感が持てる。床は、赤とグレーのストライプのカーペット、座席は、グレー系統の色にまとめられている。横3座席(2:1)で、幅は、さすが1等車らしく、新幹線のグリーン車ほどの幅があるようだ。(新幹線グリーン車の座席には座ったことがないので、正確にはどうであるか分からないが。)そして、座り心地も、なかなか快適である。日本で広く用いられている、リクライニングシートではなく、席面が前に出てきて、背もたれが後ろに倒れるという構造になっている。座席は、4人で向かい合っていて、中間位置には、食事をとるためのテーブルが設置されてある。このテーブルが非常によくできていて、折り畳めるようになっている。食事をする時は、折り畳んでいたものを広げて、面積を大きくすることができ、食事をしない時は、折り畳んで、面積を小さくすることができる。ビジネスマンがちょっと仕事をするのに十分な広さのテーブルである。また、窓の際には、小型の照明が取り付けられている。デザインがヨーロッパ的で、何とも暖かみがあり、可愛らしい。
(次は、いよいよユーロスター発車編!!)


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