ロンドン2日目の夕食

 2日目、最後の締めくくりは、ギリシャ料理であった。これは、観光地でも何でもないが、今回の旅で、非常に心に残ったので、ここに書いておく。
 私たち、4人は、夕食をとるため、宿泊中のロイヤルナショナルホテル前にあった、ギリシャ料理店の前へ来た。ふと、上を見上げ、この店の看板を見ると、「グリーク タベルナ」とローマ字読みできる文字が並んでいた。通訳&案内人とも言うべき人が説明するには、それは、「ギリシャ料理店」という意味であるらしい。「グリーク」は「ギリシャ」だという意味を以前から知っていたので、「ギリシャ食べるな」という警告の意味にとれてしまう。まあ、そんなことは気にせずに、ドアを開け、テーブルについた。この文字の本当の意味するところは、いったい・・・!?
 ギリシャ料理は、今回が、皆、初めてであるから、どういう味なのか全く検討もつかなかった。メニューを見て、適当に選び、飲み物にミネラルウォーターを注文した。
 しばらくすると、ししとうの黄色いものと、わけが分からぬ黒くて丸い実が、食前のおつまみといった感じでテーブルに出された。外見が、非常にグロテスクだが、美味しそうに、窓際に座っている老婦人は食べている。それならばと、ほんの少し実験的に食べてみようということになった。が、口にすると、「なんだこれは!」という思いがこみあげて来た。お口直しにと注文した、ミネラルウォーターを飲んでみると、これがまた、普通のミネラルウォーターではないのである。炭酸が入っていて、独特な味がかすかに香るのである。びんに貼られている成分表を見ると、色々なものが書かれてある。私たちの密かな計画は、一瞬のうちに打破された。もしも、料理の味が悪かったならば、水で何とか対処しようという試みでいたのだが、水まで思う存分飲めないという事態に陥ってしまったのだ。
 それに追い打ちをかけるように、何種類もの料理が並べられた。さっきの味とは、違うだろうなと期待していたが、一口、食べてみると、また「なんだこれは!!」という絶望感と、不信感で、頭の中は錯乱状態に陥った。この独特な酢と、日本では味わえない香辛料をふんだんに使った料理は、とても食べられるものではないと確信した。どの料理も、皆、同じような味つけなので、半分も食べることができなかった。だから、店員から、非難の眼差しで睨まれてしまったが、日本の味に慣れている私たちにとっては、仕方がなかった。
 長時間の葛藤の末、席を立つ際、お詫びの気持ちも込めて、少々のチップをおいて来た。私としては、チップもあげたくないくらいだったが・・・。
(次は、ロンドン3日目の記録)


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