私たちは、ヒースロー空港に降り立ち、初の地下鉄乗車の際、ホテルの最寄り駅までの切符を窓口で購入した。なぜ、自動券売機で買わないのかと疑問に思うかもしれないが、これには、いくつかの理由がある。一つ目に、硬貨(コイン)を持っていなかったからである。ほとんどの自動券売機は、硬貨専用である。二つ目に、唯一、紙幣も使用できる自動券売機が、販売中止中だったのである。三つ目に、ホテルの最寄り駅までの運賃が分からなかったからである。以上のようなことで、窓口で切符を手に入れたのである。ロンドン到着の次の日からは、一日乗車券とも言うべき、One Day Travel Card(ワン・デイ・トラベル・カード)を購入した。これを使えば、ロンドンの地下鉄が1日中乗り放題であり、1枚1枚その都度買うよりも、非常に安くなり、手間も省ける。これは、おすすめの切符である。ロンドンを訪れたときは、ぜひ利用してもらいたい。
次に、その切符を買う必要がないという場合の、自動券売機での切符購入方法について述べる。初心者には、紙幣も使える自動券売機で購入する方が簡単、便利であるので、それの使用法を伝授する。まずはじめに、片道か往復か、子供の片道か、子供の往復かと選択するボタンが上部にあるので、それを選択してプッシュする。次に、目的地の駅名を探して、そのボタンをプッシュする。これは、ABC順に並んでいるので、比較的、探しやすい。そうすると、上部にあるデジタルディスプレイに、投入すべき金額が表示される。それを見て、紙幣または硬貨を投入する。おつりは、ちゃんと出てくるから安心である。以上のように操作すれば、目的地までの切符が出てくるのであるが、日本のように、まとめて数人分買うことは不可能である。人数分、上記の操作を繰り返さなければならない。ちなみに、この自動券売機では、One Day Travel Card(ワン・デイ・トラベル・カード)も買えるので便利である。このように、日本とは、お金の投入と、行き先(日本では金額)ボタンを押す順序が逆である。これは、要注意である。(最近、JR東日本が導入を進めているタッチパネル式券売機では、ロンドン地下鉄のように、お金の投入を最後にすることを奨励している。)
切符が買えたならば、今度は、自動改札機を通る。日本のように、切符を差し込むのだが、日本と一つ違う点がある。それは、自動改札機を通って、出て来た切符を受け取ってから、ゲートが開くという方式になっている。だから、切符が出てくる所が、日本のように奥の方ではなく、手前の方にある。そして、不正乗車などをしたときは、ブザーが鳴り、ゲートが開かない。ロンドンの自動改札機は、日本のように精巧に造られていないせいか、私が持っていた切符を、しっかりと読み取らなかったようで、何回入れ直しても、ブザーが鳴るばかりで、ゲートが開かない。どういうことだとパニックに陥っていたら、駅員が来て、私の切符をじろじろと拝見し、その駅員が携帯していた切符を自動改札機に通して、無事、改札を通り抜けることができた。この様子を見て、一緒に行った、添乗員とも言うべき人曰く、こういうことは、日常茶飯事だと言うことだ。私の母も、一度、私と同じような事態になってしまい、駅員の助けによって、改札を通り抜けられた。やはり、こういうことが起こらないように、機械の性能を改善すべきである。
次に、いよいよホームへ足を運ぶことになるが、途中で道が2つに分かれている。壁に掛かってある案内板を見ると、日本のように、「・・・方面」などと行先表示していない。ではどうなっているかというと、West Bound(西行き)やNorth Bound(北行き)という具合に、行先の方位で書かれている。だが、路線図さえ持っていれば、迷うことはないだろう。(しかし、1回、乗り間違えてしまった。)
ホームに着くと、しばらくして、電車が入線してくる。運転間隔は、日本の地下鉄のように短い。発車する際、日本では、通常、発車ベルというものがあり、発車メロディというのも最近は多くなって来たが、ロンドンの地下鉄やパリの地下鉄では、発車ベルがない。だから、閉まるのはいつかということがハッキリしない。ロンドンでは、一部の列車の運転士が「ドアにご注意」と放送していたが、日本のように、懇切丁寧ではない。
車内放送のことについて、気づいたことを述べるが、発車ベル同様、日本のように、「次は・・・です。」という親切な対応がない。ロンドンの新型車両では、テープによる自動放送も行われていたが、パリに至っては、何も放送しない。こういうことから考えると、「各自が地下鉄路線図を片手に、自分で調べて、駅に掲げてある駅名表示板を注意して見て降車しなさい。」といった、いかにも外国的な風潮が感じられる。日本でこのような方式を導入したら、利用者から反発されるに違いない。
下車して、他の路線に乗り換える場合、それぞれの路線に定められたラインカラーの標識を目当てに進んでいけばよい。東京の地下鉄同様、ピカディリー線は青、セントラル線は赤というように路線別に色分けがされているので、初心者でも、比較的確実に、目的路線のホームに行き着くことができる。
以上、ロンドン地下鉄についての説明でした。これで、ロンドン地下鉄に初めて乗る場合でも、スムーズに乗車できることでしょう。(次はロンドン市内観光記)