RER&パリ市営バス

 次に、高速郊外地下鉄線(RER)について述べる。これは、パリ市内から郊外(イル・ド・フランス)へ向かう時に利用する鉄道路線であり、現在、A〜Dの4路線ある。パリ市内では、地下鉄のように地下トンネルを走っていて、駅間隔が地下鉄よりもとても長い。パリ市内を抜け郊外に出ると、地上を走行する。そして、このRERでは、オール2階建列車が運行されていて、日本よりも先進的のように感じられる。列車は、1等・2等に区別されていて、1等と2等の違いは何であるかというと、座席の幅である。だが、大して差は感じられなかった。各列車には、JRの特急列車のように、愛称がつけられている。例えば、“VICK"や“NORA"、“GOTA"というように、行先・停車駅別に、愛称がそれぞれ異なっている。
 RERの列車に乗車する方法は、地下鉄とほとんど同じであるが、運転本数が地下鉄ほど多くないので、注意が必要である。ベルサイユ宮殿等へ行くときに、たいていの人がこのRERを利用すると思われるが、時間に余裕をもって出掛けたほうが無難である。ドアは、地下鉄同様、自分の手で開ける方式である。しかし、非常に固くて開けるのに苦労するドアもあるので、力がない人は、力がある人に遠慮なく頼んだ方がよい。そうでないと、下車しようとする前に発車してしまい、降りられなくなるはめに陥ってしまうからである。運賃は、パリ地下鉄とは異なり、ゾーン制であり、ゾーン別に運賃が段階的に設定されているのである。だから、パリ地下鉄・RER・バス乗り放題きっぷ、Billet Paris-Visit(ビエ・パリ・ヴィジット)を利用して、パリ市内からベルサイユへは、適用ゾーン外なので、使用できないのでご注意を。ベルサイユへ向かう際、乗車する時に、新たにベルサイユまでのきっぷを買わなければ、ベルサイユ駅で罰金を払わされることになります。(→私達がそうでした。)駅の改札口には、パリ地下鉄とは異なり、日本のように自動改札機が設置されている。パリ地下鉄と混同せず、切符を最後までしっかりと持っていなければならない。そうでないと、罰金を払わされることになる。(だが、安い。)
 次に、パリの市営バスであるが、車線が日本と反対で右側通行だから、ドアの位置も、反対についている。それぞれのバスには、路線番号と行先が表示されており、地下鉄に乗れる人ならば、バス路線図を片手に、簡単に乗ることができると思う。料金は、乗車するときに払う、前払いである。下車するときは、日本同様、ボタンを押せばよい。バスは、地上のきらびやかな風景を楽しめる点では、地下鉄よりもよいと私は思う。自信のある方は、ぜひ挑戦して欲しいと思う。
 地下鉄やRERに乗って思ったことは、不正乗車が多いということである。RERを利用してベルサイユへ行ったとき、ベルサイユ駅では、大勢の人達が、自動改札機の上を飛び越えて行った。しかも、それは、駅員がいる前で堂々と繰り広げられた。しかし、駅員は、何も言わない。見て見ぬふりをしている。まるで、不正乗車を許しているといった状況である。日本から訪れた私でさえ、飛び越えたくなるような心境にさせられた。日本だったら、このようなことをすれば、即厳重に注意されるところである。こういうことを安易に許しているから、経済が発展しないのではないかと思う。
 もうひとつ、地下鉄やRERを利用して心に残ったことは、ロンドンの地下鉄でも同じことが言えるが、大道芸人が至る所にいて、楽器で演奏していることである。一人でフルートを吹いていたり、数人でアンサンブルをしていたり・・・。それは、人々の心を安らかにさせてくれているような気がする。日本では普段見られない光景を目にすることができ、ヨーロッパに来たのだなあとしみじみ感じさせられた。
(次はパリ観光編)


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