パリの地下鉄についてこれから説明することにする。パリの地下鉄は、METRO(メトロ)と呼ばれている。現在、1号線から13号線までの、全13路線がパリ市内300以上の駅を縦横無尽に走っていて、運転間隔は、5〜10分ぐらいである。運賃は、全線均一で、7F(=約140円)である。しかし、私たちは、3日間、地下鉄、バス、RER、国鉄SNCFに乗り放題の“Billet Paris-Visit(ビエ・パリ・ヴィジット)”という切符を購入した。これを使用すると、乗るたびに切符を買う手間が省けて、非常に便利である。特に、フランスのお金に慣れていない私達には、ありがたい切符である。価格は、95F(=約1900円)と、案外安い。
次に、地下鉄の乗り方であるが、日本と大して変わった所はない。入るときは、切符を自動改札に入れる。そして、路線番号と主要駅名の書かれた案内板を見て歩けば、目的地に行くための路線のホームにたどり着く。ここで、自動改札機について、どういうものかということをちょっと話しておこうと思う。自動改札機のゲートは、日本のJRのような方式ではなく、ディズニーランドの入り口等のような、自分で、鉄の棒のゲートを回して通り抜ける方式(ターンバックル式)である。だから、改札機飛び越え防止のために、大きな板が、各自動改札機出口についていて何とも異様な感じである。こういう方式は、人口の少ないフランスだから導入できるのだろう。日本では、ラッシュがひどいため、不向きだと思われる。
ホームに着くと、しばらくして、列車が走って来る。これを見て、日本、イギリスと決定的に違うことが分かる。それは、通行車線が左右反対ということである。だから、慣れないうちは、変に思われて仕方がない。列車が停車したら、ドア中央にあるハンドルを回すか、または新しい車両の場合、ドア左右にボタンが設置されているので、そのボタンを押して、ドアを開ける。自力で扉を動かすのではなく、電動でドアは開く。そして、閉まるときは、自動である。このハンドルやボタンを押す操作は、乗るとき、降りるときに行う。ただ、ぼーっとドアが開くのを待っていても、開かないので、要注意。
次に、車両について述べる。車両外装は、エメラルドグリーンと白を基調としていて、すっきりとした印象を受ける。車両の大きさは、ほぼ日本の地下鉄と同じくらいで、ロンドンのように狭くない。また、車内も結構きれいである。ちなみに、シートは、地下鉄にしては珍しく、クロスシートである。ここで、ひとつ、感心させられることがある。ドアの横の空間に、簡易シートがあり、使用するときは、いすが飛び出て、使わないときは、壁に収納されるという仕組みになっている。大阪の新快速列車と同じ仕組みであると思われる。こういう機能的な点が、フランスは先進的だと思う。
1編成につき車両は5両程度である。走行方式は、大部分、鉄車輪方式であるようだが、札幌の地下鉄のようなタイヤ走行方式も存在する。タイヤ方式の車両に乗っていると、加速が非常によいということに気がつく。しかし、保守などの点で、タイヤ方式は不利らしい。
パリ地下鉄では、全面的に、放送が行われていない。駅構内・車内とも、放送は一切流されない。だから、ロンドン地下鉄よりも、余計に不親切に思えてしまう。路線地図や駅名表示を自分で確認して、乗車しなければならない。
無事に、目的地の駅に着いたら、自動改札機横にある出口を通って外へ出る。日本のように、自動改札機を通って、出場するわけではない。要するに、パリ地下鉄の自動改札機は、入場専用なのである。その出口というのは、自動ドアであり、いちいち切符を回収しないのである。このことで、出口周辺には、切符がたくさん散乱しているのである。やはり、環境も考慮すると、出場時も自動改札機を通るようにして、使用済みの切符を回収した方がよいと私は思う。
もう一つ、パリ地下鉄に要望したいことは、運転士に制服を着用してもらいたいということである。私服を着ているので、一見、運転士とは思えない。なぜ制服を着用しないのか、よく分からないが、私達利用者は、少し、不安になってしまう。パリ地下鉄のイメージアップには、欠かせないことではないだろうか。
(次は、RER・バス乗車編)