解説のページ



パンダ(PANDA)

名前の由来は、もちろんあの上野動物園にいるあのパンダから。初期のパンダは今と違い、ボディの下半分が樹脂で覆われており、初期のイメージカラーであったアイボリーとの組み合わせがパンダをイメージさせる為に付いたと言われている。
開発コードは「ティーポゼロ(英語で言えばTYPE ZERO)」、イタルデザイン社内では「ルスティカ(RUSTICA=農民の、田舎の、素朴な)」と呼ばれていた。響きはこっちのがカッコいい・・・(本国では逆なんだろうか・・・)。

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フィアット(FIAT AUTO S.p.A)

1899年7月11日、イタリアはトリノ市で生まれた自動車会社。現在ではイタリアのほぼすべての自動車会社を傘下に納めており、ランチアもアルファロメオもマセラティもそしてフェラーリも現在ではフィアット社の一部門もしくは子会社に過ぎない。また自動車の他、航空機、船舶、鉄道の生産から、建設、製鉄、通信、金融まで手がけており、名実ともにイタリア最大の企業となっている。
”FIAT”とは”Fabbrica Italiana Automobili Torino”の略で意味は「トリノ/イタリア自動車製造所」。
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ジョルジエット・ジウジアーロ率いるイタルデザイン

ベルトーネ、ギアのチーフデザイナーとして名車をデザインしてきたジョルジエット・ジウジアーロが1968年に設立したデザイン会社。デザインのみならず、モデル制作、実走行プロトタイプ開発、構造設計、量産化開発まで請け負える体制を持つ。
パンダはそんなイタルデザインにとって初めてプランニングから量産化開発まですべてを手がけた記念すべき作品。私はフィアット・パンダではなく、イタルデザイン・パンダだと思ってます。ジウジアーロ自身も1994年6月号のNAVI誌において気に入っている作品の中に挙げるなど(クルマではあとゴルフ、ピアッツァ、初代ギブリの名を挙げている。どういう訳か、カメラとかボートとかミシンとかのクルマ以外の方が多いのが印象的。)、思い入れのある作品らしいですね。
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現代のシトロエン2CV

よくパンダのコンセプトとして表現される言葉だが、実はこれパンダの発表以前に流れた噂によるもので、実際にこのようなコンセプトで開発されたわけではない。もちろん、ジウジアーロ氏が市場でライバルとなる2CVを意識しなかったはずはないであろうが(実際ディテールに共通点は多い)、氏はインタビューでパンダのコンセプトを「ジープのようにシンプルで多機能な小型車」と表現している。シトロエン2CVの詳細は[パンダを語るために知っておきたいクルマ達]にあります。
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前任モデル126

ルパン3世でお馴染みのヌォーバ500(チンクエチェント)の後継車として1972年にデビューしたベーシック・フィアット。基本的なメカニズムは多少モデファイされた500に過ぎないが、デザインは70年代的な直線基調のものになっている。「前任モデル」と書いているが、実際はパンダがデビューしてからも作られ続けており、1985年以降はポーランドのFSM工場(今はパリオとか現行セイチェントを作っている)に移り、なんと1996年末まで生産が続けられていた。実に24年もの長寿を誇ったクルマだったのである。
日本ではほとんど馴染みのないクルマだが、若干数平行業者の手によって日本にも上陸している。世の中には変わった人もいるものである(笑)。
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652ccの縦置き2気筒OHV

元はといえばヌォーバ500と共に1957年デビューした、パンダのデビュー時点で既に齢22歳を数える長寿エンジン。シトロエン2CVの2気筒とは異なり、シリンダー配置は直列で、至極オーソドックス。恐るべき事にこのエンジンは、新チンクエチェントに積まれて「現役で」生産中である(販売はイタリア本国やポーランドなどに限られているが)。
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903ccの4気筒OHV

元はといえば600(セイチェント)と共に1955年デビューした、パンダのデビュー時点で既に齢24歳というビックリの長寿エンジン。これまた、新チンクエチェント、新セイチェント、パンダに積まれ「現役で」生産中。聞くところによるとFIRE以上に洗練されたマナーの持ち主だとか。フィアットは一体いつまでこのエンジンを作り続けるつもりなんでしょうね(^^;)。
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フロント/マクファーソン・ストラット

FF車のフロントにはほぼ定番と言っていいオーソドックスな形式。一本のロア・アームによって支えるシンプルな方式で一部を除く世界中のメーカーがFF車のフロントに採用している。メリットはコンパクトで軽く、剛性もある程度確保できる事。デメリットはストロークする際、キャンバー変化を免れない事。
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リア/リーフ・リジッド

要するにトラックによく使われてる板バネのサスですが、普通はFF車のリアサスに使われません。パンダがこれを採用した理由は主にコスト。シンプルで頑丈で安上がり。一般的に乗り心地の面で問題がありますが、パンダは板バネを長く取り、ストロークを確保することによって快適な乗り心地を確保しているといわれています(乗ったこと無いから知らないけど。不動の45に座った事ならあるんだけどね)。
パッケージングや操安性を考えると、ホイールベースが短くなる(軽トラなんか見たら分かるけど板バネは後ろにも伸びてるでしょ?)この形式は若干不利な面があります。
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「ハンモックシート」

初期型パンダのフロントシートはシトロエン2CVと同じ、パイプに布を張っただけの構造で、通称「ハンモック・シート」と呼ばれます。これ、結構優れもので、体重によって座面の部分が沈むと、バックレストが引かれて張りが強くなり、腰の部分のサポートを強化してくれるんです。正直言って現行モデルのシートよりいいです。構造上薄いので室内空間的にも有利ですね。同じ構造の2CVと比較すると、2CVの方が遙かにソフト。それに対し、パンダは張りが強いし、布の材質がパリッとしてる。例えるなら、ふわふわのマシュマロと軽く焼いたトースト。
リアシートも初期型は変わっていて担架みたいに一枚の布の両端にパイプを取り付けたような構造。車体にパイプを差し込む穴があり、シートになる。穴は何カ所もあって、フルフラットになったり、マガジンラック状になったり、外してピクニックシートになる、というのがウリだったが、実際には大して使えなかったとか・・・(分かるような気もする)。言っておくけど、リアシートは「ハンモック・シート」と呼ばないので注意ね。
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「鉄板グリル」
初期型パンダのグリルは現在と大きく違い、ボディと同色の鉄板で出来てました(写真参照)。マニアにはたまらないディテールだけど、私は今一つ好きじゃない。個人的にはフィアット5本線が大きかった頃のプラスチックグリルが好きですね。
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オーストリアのシュタイア・プフ社

パンダにとって数少ないエンスー自慢ポイント。シュタイア・プフは4駆システムで世界的に定評があり、VWゴルフ・カントリーなどもここのシステムを使っていました。オーナーは大いにイバリましょう(^^;)。
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FIRE(Fully Integreted Robotized Engine=完全ロボット組立エンジン)

フィアットお得意の身も蓋もないネーミングのこのエンジン、ロボット組立以外の特徴はとにかく部品点数少なく小型で軽量であること。部品点数は従来の7割程度、重量は903ccOHVより軽い69kg。私は古典的な「味のある」OHVよりこのエンジンの方がパンダに合っていると思います。更にいえば電気モーターの方が合っているのではないかと密かに思っていたりするのですが・・・(いつかエレットラに乗るぞ!)。
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Ωアーム+トレーリングリンク

世界でもパンダとその兄弟車にしか存在しない珍しい形のリアサスペンション。中央部で車体とブッシュを介してリンクされたΩの形をしたチューブを、二本のトレーリングリンクで位置決めして、コイルバネで吊っている。非常にシンプルな割に、動作はとても好ましい。マーチなんかが今だに使っている5リンク・リジッドと違い、左右対称の作動特性を持ち、Ωアームと車体とのリンク部のブッシュに工夫によりアクスルステア(早い話が横Gが掛かるとリアタイアが逆相に切れること)効果も持つ。更にリンクが3箇所と少ないので部品点数も減りコストも下がる上、動作もスムーズになるなど、天才的とも言える足である。欠点はどう考えても4駆が作れないこと、所詮はリジッドなので左右同時に大きな衝撃を受けるような状況に弱いこと、車体下部に広大なスペースを要求すること(つまり背の低いクルマには使えない)。
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電気モーターモデル「エレットラ」

私が密かに憧れているモデル(笑)。リアシートとトランクルームにバッテリーに積んだ電気モーターが4MTを介して前輪を駆動する2人乗り。バッテリーのおかげで重量は1150kgに達するボディ。トップスピードは70km/h。
これの何がいいんだ?と聞かれると困るんですけど、パンダのスルーッとした走りと電気モーターの組み合わせって凄く異次元な感じがするんじゃないかなーっと思うんですよ(笑)。私は元々、電気自動車には並々ならぬ興味があるのです。
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富士重工製の無段階自動変速機ECVT

昔、ジャスティに積まれていたのとほぼ同じモノ。つまり日産マーチのN・CVTともほぼ共通。乗ると素晴らしく軽快でパンダとの相性は抜群だがエンスト癖を持つのがタマに傷。しかし、現在では対策チップのおかげでこのトラブルはほぼ解消されている。未対策のセレクタ・オーナーはすぐにディーラーへ行こう!
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