カラーグループ。
 CMで女優さんが付けている口紅はもちろん一色のみ。CMで採用するくらいですから、その口紅の色は、企業としてもっとも売りたい色に違いありません。当然、CMに登場させた色が一番売れる色であるとも考えていることでしょう。
 通常の製品であれば、一番売れる製品が10売れ、そうでない色が1か2しか売れないのであれば、次第に1か2の方は作らなくなり、売れる色だけを製造し、10売れる製品をもっと安くして、さらに売り上げを伸ばす事を考えるのが常套手段です。同じものを多く作るほうが、安くする以上にコスト削減ができる場合が多いからです。
 しかし、この口紅の世界はまったく別物。売れないと分かっている色でも、作り続けなければいけません。それは選ばせなければ売れない製品だから。もし、売れる(売りたい)1色だけを置いた場合、他の色と並べた場合には10売れた色であっても、とたんに売れなくなり、5や6、下手すればもっと売り上げを下げてしまうといいます。
口紅の世界では、売れる色を中心に置き、その中心となる色の製品の周りには、必ず、メインの色に近い色で微妙に異なった色、その外側には、まったく違った印象を与えるような色が何種類も、多いときにはそれこそ数十種類も並べられています。
 これが「中心グループ」「引き立てグループ」という、「カラーグループ」の手法です。 いちばん売りたい、つまりイメージの中心色 と 微妙に色を変えた色を集めたものが「中心グループ」色。
 その外側に置かれる、はっきりと「明暗」や「色合い」などが違った「引き立てグループ」色。
 中心色の製品を真ん中に、この二つのグループを前述のように配置していくと、あら不思議、中心色だけがどんどん売れることになるというのです。