実はこの選挙ポスター。趣味の良し悪しは別として(明らかに悪いですが)、この独特の色の組み合わせには、実に巧みに色の効果が発揮されています。
 そもそも選挙に出た方は何を考えるか。それは当然、ポスターを見て一人でも多くの方が自分に票を入れていただくのが目的です。
 そのために街に張り出すポスターを作る際には何を考えるべきなのか。

1)目立って、名前を覚えてもらうこと。
2)しかしただ目立つだけではなく良いイメージを持ってもらうこと。

 さてその思いはどのようにポスターに表れたでしょう。
 まずそこに使われている色。そのほとんどが赤、青、白そして少々の黄色で出来上がっています。
 単に目立つだけなら、青、赤、黄色だけが有効な色ではありません。
 本や雑誌の表紙の色使いでもお分かりの通り、黒、オレンジ色、そしてもちろん金色だって相当に目立たすことができます。しかし、それができないのが、立候補者の皆さんの事情であるわけです。なにせ良いイメージで目立たなければ意味がない。あらためてそれぞれの色の持つイメージを軽く上げてみましょう。
青・・・「知性」「清潔」「真実」「冷静」
赤・・・「情熱」「活気」「愛情」「興奮」
白・・・「清潔」「新しい」「可能性」
黄色・・・「明朗」「快活」「躍動」
黒・・・「重厚」「孤独」「力」「男性的」
オレンジ色・・・「陽気」「気楽」「わがまま」
金色・・・「豪華」「高価」「裕福」 
 こう見渡してみますと、青、赤以外の色の持つイメージと言うのは政治家の皆さんにとって実に微妙。「重厚」「力」なんて政治家の暗部に通じるような感じですし、「陽気」「気楽」を訴えたところで何も得にはなりません。「豪華」「裕福」なんてもってのほか。
 そもそも有権者の皆さんが選挙に求めるのは「世の中や暮らしを良い方向に変えたい」「信頼できる人に政治を任せたい」「さらにお金にきれいな人」。そう考えたとき、いざ当選すると黒塗りの車が大好きにも関わらず(特に個人的に悪意はないのですが)、選挙ポスターといえば赤、青、白というのがメインカラーの定番となるわけです。
選挙ポスターの秘密