そんな気持ちで店内を見渡してみますと、もう、ものの見事に企業の意志が、その配色に現れているのが分かります。
壁の色、椅子やテーブルの色、あるいは店先の看板。
 一連のものを実際に見渡してみると、すぐに皆さんも、ちょっとした共通点に気づかれると思います。
 どれも暖かい感じのする色が中心となっています。
 暖かい色と書いて暖色というのですが、どのお店でも、お客さんの目に付くところではたいがい暖色が効果的に使われています。掛かっている絵までもが暖色です。
 例えば、赤みがかった茶色、赤、オレンジ色。ファミレスでは、こうした優しい暖色を使って、部屋全体を自然な暖かい感じに仕上げています。これが焼肉などになりますと、さらに暖色具合が高まって、赤から金色にまで至る「熱い!」イメージまで感じてしまう暖色系の配色が行なわれています。
もちろん内装ばかりでなく、一番最初にお客さんの目に付く看板も暖色系。オレンジや赤の看板がほとんどです。

これが「料理を(安くても)美味しく食べてもらう」色のコツ。

 実は、暖色には、人の食欲をそそる効果があるのです。
 もともと生まれながらに人間が持っているイメージなのか、それとも肉、ソース、火など、美味しかった肉の料理に全て暖色が存在していたなど、あとから経験として身についた記憶がそうさせる部分もあるのでしょう。
実際にオレンジ色などを前にすると、自律神経の中の副交感神経が刺激され、胃腸の働きが活発になり、食欲を増進させる効果もあります。
つまりオレンジ色などの暖色を見ると、条件反射的に食欲が向上し、食べたものがより美味しく感じられる効果がテキメンにあらわれます。
 
 ちなみに食欲が減退するのが「赤紫」や「すみれ色」。「寒色」とよばれる、暖色とは逆の寒い感じの色。青色なども寒色の仲間です。
ファミレスの秘密