メラニン色素というものをご存知かと思います。
(中略)
 実はこのメラニン色素、肌の部分だけではなく、眼にもあるのです。眼も太陽光線によって日焼けしている。もちろんお肌と同じように真っ黒になるわけではありませんが、ごく弱いメラニン色素が働いて、眼に必要以上の太陽光線が入らないよう、ゆるやかに遮断しています。

 表面にあらわれたメラニン色素は、普通ですと、その役割が終わると、お肌の新陳代謝とともに、少しずつなくなって、肌は元の状態に戻ります。
 ただご存知の通り、年令を経てくると、完全に消えなくなり、メラニン色素がそのまま肌に残ってしまう、ということがあります。いわゆるクスミ、シミといった類のもので、多くの女性の悩みのタネにもなっています。
 実はこのクスミとおなじようなことが、眼の中でも起こっているのです。
 眼に、消えきらなかったメラニン色素が少しずつ付着して、クスんでくる。すると何がおこるのか。肌と同じように、太陽光線が遮断されることとなります。ほんの何パーセントの光、それも太陽光線全体が遮断されるのではなく、遮断されやすい色の光が脳に届きにくくなります。
具体的には青、緑、紫といった色です。
 人というのは不思議なもので、足りないものほど欲しくなる傾向を持っています。
 今まで脳に届いていた青、緑、紫の色が少なくなると、今までと同じ量を欲しくなります。自然界の中でなかなか見つけにくい紫は別として、自然の緑、海の青を、もっともっと欲しくなります。つまり多くの緑や青を今まで以上にたくさん見て暮らしたいと願うようになるわけです。

歳をとると自然が恋しくなるのはなぜ?