- 小説ミニレビュー -

メニューへ

※レビューは下に行くほど「古く」なっています。


「出雲伝説7/8の殺人」 島田荘司 光文社文庫
点数:魚魚
(感想)
 電車もの(時刻表もの?)ミステリです。
 まあトリックメインですし別にたいした話じゃありません。こういった分野は電車マニアに好まれるのでしょうか?
 島田荘司の吉敷シリーズは全部電車ものだと思われるので、このシリーズは(よっぽど高評価の作品が出ない限り)もう読まないでしょう。

(あらすじ)
 吉敷竹史シリーズ2巻。
 山陰地方を走るローカル電車、その車内の網棚の上に放置された紙袋の中から若い女性の体の一部が見つかった。同じ頃、別のローカル電車でも体の一部が発見される。死体は8つにバラバラにされ、そのうち7つが別々のローカル電車の網棚に放置されていた-。犯人の目的は?そして行方不明の「首」はいったいどこへ消えたのか?


「捩れ屋敷の利鈍」 森 博嗣 講談社ノベルス
点数:魚魚
(感想)
 Vシリーズなんですが、メインの登場人物は保呂草潤平とS&Mシリーズの西之園萌絵です。両雄共演と言ったところ。
 感想としては至って「普通」です。いつも通りの展開と言うか。ただ練無や紫子が出てこないのでVシリーズ特有のお気楽さは無く、萌絵が活躍する分、S&Mシリーズに近い雰囲気かも。

(あらすじ)
 Vシリーズ第8巻。
 「メビウスの帯」を模して作られた巨大な捩れ屋敷。その内部には秘宝「エンジェル・マヌーバ」が飾られていたのだが、西之園萌絵と保呂草潤平が屋敷に招かれた夜、殺人事件が起こり秘宝も消えてしまった。萌絵と保呂草が事件の謎に迫る。


「トキオ」 東野圭吾 講談社
点数:魚魚魚
(感想)
 感動作ですね。面白かったです。
 良い意味で東野作品っぽく無いですね。東野作品の淡々と続くやや暗いイメージはあまりなく、全体的に明るい調子でストーリーも変にひねってないです。
 タイムスリップと言うSFな内容的にも、家族と言うテーマ的にも「秘密」に近い作品と言えるかな。
 息子がいる父親だったら感動は一入ではないでしょうか。NHKの深夜ドラマに採用されたのも肯けます。
 3点なのは話に余計な部分が多いと思うのと、若い頃の父親にちょっと感情移入できないからです。

(あらすじ)
 若くして命を失う遺伝病、グレゴリウス症候群に掛かった息子・時生(トキオ)が病院で息を引き取ろうとしていた。そのとき父・巧美は妻に告白する。「ずっと昔、俺はあいつに会っている。あいつはこれから時間を超えて、二十年以上前の俺に会いに行く」と-。


「Φ(ファイ)は壊れたね」 森 博嗣 講談社ノベルス
点数:魚魚
(感想)
 森博嗣の新シリーズ。Kシリーズになるのかな?
 Vシリーズがまだあと3巻残ってるのですが、S&Mシリーズの登場人物(西乃園萌絵、国枝桃子、犀川創平ら)が出てるみたいなので思わず買ってしまいました。
 S&Mシリーズは一応シリーズ終了してるのですが、「完結してないじゃん!」って言うフラストレーションがずっとありましたので、このシリーズで彼らの関係が何らかの結論に達することを期待したい。まあとは言ってもS&Mシリーズの登場人物はこのシリーズでは基本的にはサブキャラ扱いになりそうなので、どこまでそっちの話に流れるか微妙なところではあります。
 どうやらこのシリーズ、国枝桃子が赴任しているC大学の学生らが中心になりそうなのですが、国枝の研究室には西之園萌絵が毎日押しかけていて、C大の学生らとも顔なじみ。事件が起きれば当然萌絵も顔を出す、そんな流れです。あ、いちおう、萌絵はN大学の博士課程に進んでいるようです。
 読み終えた感じ、C大学の学生がVシリーズの仲良しグループのようなお気楽さを醸し出しており、これにS&Mシリーズの人気キャラと言う、両シリーズの良いところを合わせた構成。ブリッ娘キャラのC大生、加部谷恵美が良い味を出してます。
 形式はミステリなのですが、ミステリとしては別に見るべきところはないです。で2点。
 しかし森氏はキャラで十分勝負できる力があるのに、今さら密室とかトリックとかやる意味が全くわかりませんね。彼の小説にとって本格ミステリの要素はただの蛇足に思えます。

(あらすじ)
 S&M、Vシリーズに続く新たなシリーズの第1巻。
 C大院生の山吹が友人のマンションに訪れるが、そこで不可解な殺人事件が起こる。被害者は密室の部屋の中で両手首を天井からロープで吊るされ、Yの字に空中に浮いたまま死んでいた。密室と不可解な犯行の謎に迫る。


「レイクサイド」 東野圭吾 実業之日本社
点数:魚魚魚
(感想)
 終盤まで普通な感じで2点か3点か迷うところでしたが、まあ結末はそんなに悪くないと思うのでかろうじて3点で。ちょっと話も短いです。
 最近の東野作品では珍しく、一般的な「ミステリ」に近い形式の作品です。一般的だからこその映画化なのかな?
 映画のCMを見るとなんだかホラーっぽい感じも受けますが、そんなことは一切ありませんので、一応。東野作品にホラーなんてありません。

(あらすじ)
 私立中学受験に向けた勉強合宿のため、子供たちとその両親が湖畔の別荘地に集まった。父親のひとりで、普段あまり教育熱心では無い並木俊介も参加するのだが、突然彼の愛人が別荘地を訪れたことで事態が一変する。その夜、愛人は死体で見つかり、俊介の妻は「あたしが殺した」と彼に告白する-。
 2005年1月22日公開の映画「レイクサイドマーダーケース」原作。


「さまよう刃」 東野圭吾 朝日新聞社
点数:魚魚魚
(感想)
 おもしろかったです。
 娘の無残な姿を見せられて復讐に燃える被害者の父。そんな父に同情する世間の声。そして父の復讐行為を食い止めようとする警察と、どんなに残酷な行為を犯しても犯人を守る少年法-。いったい本当の正義はどこにあるのでしょうか?最近良くニュースで取り上げられる少年犯罪について深く考えさせられる小説です。
 殺人事件をはじめ残酷な事件が起こったとき被害者の親族や親しい人たちはどうやって復讐の気持ちを抑えてるのだろうか?、と以前から考えてたのですが、この話を読むとその謎は深まるばかりです。極悪非道な犯人を殺したくなる気持ちは当然なものとして理解できるからです。
 ただ、現実は「復讐殺人」みたいなことは全くといって良いほど聞かないので、そこにはきっと何か復讐を止めさせるための上手い方法(説得方法)があるのでしょうね。
 面白かったですが話の流れとしてはオーソドックスな部類に入ると思うので3点で。

(あらすじ)
 少女を誘拐しレイプを繰り返していた少年2人。被害者の一人・長峰絵摩は死体となって発見された。娘の突然の不幸に悲しみに暮れる父・長峰重樹は何者かの密告を受け犯人の自宅を探し出し、留守中の部屋に忍び込む。そこで長峰が発見したビデオテープには自分の娘が無残にもレイプされる姿が映し出されていた・・・。狂乱した長峰は復讐の鬼と化し、逃亡する犯人を追う・・・。


「黄金の島」 真保裕一 講談社文庫 上下巻
点数:魚魚魚
(感想)
 貧しいベトナムの若者たちと元・暴力団員の日本人の物語。暴力団員と言っても主人公は非常に良い人です。
 「どんなことをしてでも日本に行きたい」と言う、貧困にあえぐベトナムの若者たちの強い気持ちが伝わってきます。
 いわゆる「ボートピープル」が流行っていたころの話で、彼らがなぜ小さなボートにギュウギュウ詰めになってまで日本へ亡命を謀ったのか、この本を読むと少しわかるんじゃないかと思います。
 上下巻で計900ページ以上。読み応えはあるけどちょっと長すぎるかな。面白かったけどそのへんもあって3点で。

(あらすじ)
 暴力団員・坂口修司は幹部の策略に会い日本を追われる。しかし潜伏先のバンコクでも命を狙われ、たどり着いた先はベトナム。修司はそこで「黄金の島」日本行きを夢見る貧しい若者たちと出会う。


「手紙」 東野圭吾 毎日新聞社
点数:魚魚魚魚
(感想)
 東野作品ではめずらしく感動作。感動しました。
 「強盗殺人犯の弟」と言う世間の偏見に苦悩し葛藤する主人公とその周りの人々(彼から離れる人たち、そして数少ない彼を助ける人たち)の心情がよく描かれています。
 本編の途中途中、兄からの手紙が挿入されているのですが、それが非常に良いアクセントになっています。物悲しくもあり、滑稽でもあり、そして無情でもあります。
 最近の東野作品は「ゲームの名は誘拐」=映画化(g@me.)、「トキオ」=NHKドラマ化、「レイクサイド」=映画化(レイクサイド・マーダーケース)、「宿命」=WOWOWドラマ化、「変身」=映画化と続いてるので、この作品もきっと映画化orドラマ化されるでしょう。テーマソングはもちろんあの曲で。

(あらすじ)
 弟を大学に行かせるため-、両親を亡くした兄弟の兄は老女が一人住む屋敷に盗みに入る。しかし家主に見つかってしまい、勢い余って殺害してしまう。強盗殺人の罪で服役した兄は刑務所から毎月弟へ手紙を送る。


「殺人の門」 東野圭吾 角川書店
点数:魚魚魚魚
(感想)
 3点にしようか迷いましたが、普通に面白いので4点で。
 まあシドニー・シェルダン・スタイルの小説の一つと言って良いでしょうね。東野作品では名作「白夜行」からこのスタイルが多くなってるようです。
 全体的に暗い雰囲気なのと、登場人物に嫌なやつが出てくるので読んでてあまり良い気分にはならないかも。
 終盤が昔の東野小説みたいなのがちょっと懐かしくもあったりして。

(あらすじ)
 「人が人を殺すとは?」-祖母の死をきっかけに殺人に興味を覚えた少年。自分に不幸な出来事が起こるたびにその思いを募らせてゆく。


「ディアナ・ディア・ディアス」 新井素子 徳間文庫
点数:魚
(感想)
 しばらくレビューしてなかったのはあまりにも面白くないこの本でずーっと詰まってたからです。
 まあともかくこの話の雰囲気にはついていけないですね。少女漫画だと思ってもらえれば良いのかな?
 女子中学生向けです。

(あらすじ)
 高貴な血「ディア」を引き継ぐ王女ディアナとその息子カトゥサの物語。


一つ前のレビュー集