- 小説ミニレビュー -

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※レビューは下に行くほど「古く」なっています。


「幻夜」 東野圭吾 集英社 [アマゾンで購入]
点数:魚魚魚魚
(感想)
 「白夜行」に続く、東野的シドニー・シェルダン小説第2段。
 基本的に話の流れは白夜行やシェルダンの小説と全く一緒です。ストーリー的に別に悪いところはなく、おそらく白夜行やシェルダンを読んでない人だったらかなり面白く感じると思います。が、それらを読んでる人にとっては結局は一緒なので、目新しさや新たな感動みたいなのは無いです。
 準お薦め作品入り。

(あらすじ)
 阪神淡路大震災の被害を逃れた男女は新天地を求めて東京へ向かう。震災で両親を失った冬美と、震災のドサクサにまぎれて叔父を殺害した雅也。東京で様々な困難に合いながらも力を合わせて乗り越える二人、そのためには手段を選ばないのであった・・・。


「六人の超音波科学者」 森 博嗣 講談社ノベルス [アマゾンで購入]
点数:魚魚
(感想)
 設定も内容も非常にオーソドックスなミステリー。いくらなんでも平凡すぎるか。

(あらすじ)
 瀬在丸紅子とその愉快な仲間たち(?)が活躍するVシリーズ。
 六人の超音波科学者が研究を行う「土井超音波研究所」にて、パーティが開かれる。そこに招かれた瀬在丸紅子と偶然パーティに紛れ込むいつもの面子。しかしパーティの最中、研究所につながる唯一の橋が爆破され陸の孤島と化した上、研究所内で殺人事件が起こる・・・。


「不夜城」 馳 星周 角川文庫 [アマゾンで購入]
点数:魚魚魚
(感想)
 同じ新宿が舞台でも警部が主人公の新宿鮫とは異なり、こっちはアジア系マフィアのお話。
 上海、北京、台湾マフィアと、いくつもの勢力が混在・敵対する歌舞伎町で、「失敗=死」と言うマフィアの世界(警察やヤクザでは無い、あくまでマフィアの世界)が良く描かれてます。
 一匹狼で生き抜いていく姿はやはり新宿鮫の鮫島とイメージが被るところもありますね。
 全編を通じて飽きることなく読み終え普通に面白い話でしたが、特別優れていると言った点は無いかな。続編があるのですぐに読んでみたいですね。

(あらすじ)
 日本人と台湾人のハーフ・劉健一は新宿歌舞伎町の裏社会を一人で生き抜いていた。しかし、かつての相棒だった狂った殺し屋・呉富春が歌舞伎町に戻ってきたことで状況が一変する。呉富春の命を狙っている上海マフィアのボスより、3日以内に呉を捕らえるよう劉健一に命令が下る。期限を過ぎれば劉の命は無い・・・。


「寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁」 島田荘司 光文社文庫 [アマゾンで購入]
点数:魚魚魚
(感想)
 かなり久々の島田荘司作品。これまで読んだ6作品中4作品が4点、残りが3点と平均点はかなり高いですが、それ以降読んでないのは他の作品の評価があまり高くなかったから。
 島田作品と言うこともあってトリックはなかなか良かったですが、途中まで期待したほどではなかったかな。
 全体的に可も無く不可も無くと言ったところ。

(あらすじ)
 双眼鏡で"覗き"を行っていた男は、マンションの風呂場で湯船に浸かったままの女性死体を発見する。女性はナイフで胸を突かれ、無残にも顔面の皮膚を剥がされていた。検死の結果判明した死亡推定時刻だが、それより後に彼女は寝台特急「はやぶさ」の車内で目撃された上、その姿を写真に収められていたことが判明する・・・。


「ハサミ男」 殊能将之 講談社文庫 [アマゾンで購入]
点数:魚魚
(感想)
 全体として悪くはないのですが、トリックと真相があまり良くなかったので厳しめに2点。
 読みやすいので深く考えずに気軽に読むには良い本だと思います。

(あらすじ)
 死体にハサミを突き立てる猟奇的な連続少女殺人犯の通称・ハサミ男。第3の標的として女子高生を付け狙うが、その女子高生は何者かの手によってハサミ男と全く同じ手口で殺害される。女子高生の後をつけていた本物のハサミ男は死体の第一発見者となってしまう・・・。


「そして二人だけになった」 森 博嗣 新潮文庫 [アマゾンで購入]
点数:魚魚魚魚
(感想)
 タイトルはもちろんアガサ・クリスティの名作「そして誰もいなくなった」から来ており、一人、また一人と殺されていくところは基本的に踏襲しています。
 内容的には科学的な要素がちりばめられた森ミステリ。終盤までは3点でしたが、結末が中々興味深かったので4点にアップ。ミステリとしても良く出来てるのではないでしょうか?
 実はこの作品に良く似た話を以前見たことあるのですが、調べてみたらそちらのほうが後発でした。そちらの作品も微妙に森博嗣氏とつながりがあるのでパクった(あるいは勝手に参考にした)と言うわけではないのかもしれません(※何のこと言ってるのかわかる人がいたら友達になれそうです)。

(あらすじ)
 全長4000mにも及ぶ海峡大橋を支える巨大橋脚のコンクリート内部には秘密裏に「バルブ」と呼ばれるシェルターが作られていた。バルブ建設に携わった6名がバルブ内での生活実験中、内部に閉じ込められる。密室となったバルブ内で次々と殺人事件が起こり、最後に二人だけが残った・・・。


「レベル7」 宮部みゆき 新潮文庫
点数:魚魚魚
(感想)
 面白かったです。
 徐々に謎が明らかになっていく展開はいつもの宮部作品と同じ。ただ、ちょっと話が出来すぎでリアルさに欠けるかな。

(あらすじ)
 マンションの一室で目覚めた男女、彼らは記憶喪失にかかっていた。自分の名前すら覚えていない彼らの腕には「Level7」と言う謎の文字が書き込まれていた・・・。彼らは自分たちの正体と、記憶喪失になった理由を探る。


「片想い」 東野圭吾 文春文庫
点数:魚魚魚
(感想)
 性同一性障害をテーマにした作品。なかなか面白かったです。
 全体的なやや暗い感じと徐々に謎を追求・解明していくところはなんだか宮部みゆき作品っぽい雰囲気があります。
 登場人物の多くは主人公のアメフト部時代の仲間で、ノスタルジックな部分と「今は昔」的な現実とのギャップが良く描かれていますね。

(あらすじ)
 大学アメフト部同窓会、卒業後それぞれの道を歩んだ仲間たちが集まった。クォーターバックだった哲郎は同窓会の帰り道に当時の女子マネージャーと出会う。彼女は哲郎に自分が性同一性障害であることを告白し、さらには事件に巻き込まれていることを告げる。哲郎は彼女のため事件解決に向けて奔走するのだが・・・。


「恋恋蓮歩の演習」 森 博嗣 講談社文庫
点数:魚魚魚
(感想)
 いつも通りの、ミステリらしからぬほのぼのとした展開とキャラの掛け合い。平和です。
 いつもの面子がいつも通り出てきていつも通り活躍する、ほんといつも通りなので特に書くことはありません。
 面白いかどうかで言うと、登場人物たちのことが気に入ってる私にとっては面白かったです。キャラが嫌いな人には楽しめないかも。
 ちなみにタイトルは「れんれんれんぽ」と読みます。

(あらすじ)
 瀬在丸紅子とその愉快な仲間たち(?)が活躍するVシリーズ。
 豪華客船「ヒミコ号」に天才画家の幻の自画像が持ち込まれた。偶然(?)にも乗り合わせたいつもの面子の前で事件が起こる・・・。


「スナーク狩り」 宮部みゆき 光文社文庫
点数:魚魚魚魚
(感想)
 面白かったですね。いかにもサスペンス小説って感じで。
 一連の事件をいくつかの視点から、それぞれのエピソードを交えて追っていく様は迫力ありました。登場人物のキャラも立ってますね。
 ただ、最後の展開がちょっとやりすぎの気がします。そのへんを踏まえて3点にしようか迷いましたが、終盤までは非常に良く描かれてるので4点。

(あらすじ)
 元恋人の披露宴会場に現れた慶子はその手に散弾銃を携えていた。一方その頃、彼女が銃を所持していることを知る釣具屋・織口邦男はある決意を胸に彼女の帰りを待つ・・・。


「予知夢」 東野圭吾 文春文庫
点数:魚魚魚
(感想)
 連作短編集「探偵ガリレオ」の続編です。前作よりかなり面白くなってますね。
 前作は極端な理系トリックが目立ちすぎた感がありますが、今作は理系部分にはあまり重点が置かれていません。
 それよりも予知、幽霊、ポルターガイスト現象と言った、事件のオカルトチックな部分がクローズアップされており、「一見オカルトチックな事件を物理学者が論理的に解決する」と、テーマがすごくわかりやすくなっているのが面白くなった要因じゃないでしょうか。
 テーマとしてはドラマ「トリック」に近いかな(トリックほどコメディの乗りはありませんけど)。
 現在、同シリーズの長編も書かれているようなので楽しみです。

(あらすじ)
 16歳の少女の部屋に侵入した男は彼女と17年前から結ばれる運命にあったと主張する。その証拠に彼女が生まれる前、男が小学生時代の作文に彼女の名前がしっかりと書かれていた・・・(「夢想る」より)。物理学者・湯川が不可思議な事件を解明する全5編の連作短編集。


「連鎖」 真保裕一 講談社文庫
点数:魚魚魚
(感想)
 途中まで緊迫感のある展開ですごく面白かったのですが、最後がいかにも「お話」って感じでリアリティに欠いてしまったのが残念。
 いちおうハードボイルドなんでしょうけど、それもやっぱり最後の俗っぽい展開がダメにしてますね。

(あらすじ)
 放射能汚染食品が市場に出回っていることをスクープした雑誌記者が車で海に飛び込んだ。記者の友人であり厚生省の元食品衛生監査員の羽川は自殺説に異を唱え、事件の真相と同時に汚染食品の横流しルートの解明に乗り出すのだが・・・。


「4TEEN」 石田衣良 新潮社
点数:魚魚魚魚
(感想)
 面白かったです。非常に読みやすいですね。
 かなり大雑把に言ってしまうと現代日本版スタンドバイミーと言ったところですね。
 大人振りたい年頃の少年4人組が出会う、非日常的な出来事を章ごとに描いています。
 ストーリー的な面白さとかそう言うのは別に無いのですが、全編通して非常に少年らしさが出てて良かったですね。青臭いと言ってしまえばそれまでなんでしょうけど・・・。

(あらすじ)
 14歳の中学生4人組の話。連作短編集。直木賞受賞作。


「ナ・バ・テア」 森 博嗣 中央公論新社
点数:魚魚魚
(感想)
 スカイ・クロラの続編ですが、時代的にはスカイ・クロラよりちょっと前の話です。
 相変わらず物語の背景が全く書かれていません。彼らはいったいどういう組織で、何のために、誰と戦ってるのでしょう?
 壮大なストーリーの極一部を切り取って書かれたような、戦争の話の中で一パイロットにスポットライトを当てたような、そんな言わば外伝的小説ですね。
 この本だけではストーリー的に見るべきところはありませんが、やはりポテンシャルは高いのでさらなる続編に期待。

(あらすじ)
 戦闘機パイロットの話。スカイ・クロラの続編。


「嘘をもうひとつだけ」 東野圭吾 講談社文庫
点数:魚魚
(感想)
 東野作品ではお馴染みの加賀刑事が事件を解決する、連作短編に近いミステリー短編集。
 犯人探しのミステリなんですが、全編暗い雰囲気で話が進むので読んでると暗くなってきます。
 主人公の加賀刑事が嫌らしい捜査を行う不気味な刑事、みたいに書かれてるので感情移入できないですね。

(あらすじ)
 ミステリー短編集。


「龍は眠る」 宮部みゆき 新潮文庫
点数:魚魚
(感想)
 超能力を題材にしたお話です。
 つまらないことは無かったのですが、お話のメインがどこにあるのか不明確であるのと、終盤のB級サスペンスドラマのような展開、また、超能力と言う題材がやはりリアルさに欠ける、と言うこともあって2点。

(あらすじ)
 嵐の夜、何者かによって開けられたマンホールの蓋。自称「超能力者」の慎司はそこに少女が落ちたと「透視」し、蓋を開けた犯人を見事に探し出すのだが・・・。


「星々の舟」 村山由佳 文藝春秋
点数:魚魚魚
(感想)
 なかなか興味深い内容でした。
 章ごとに家族一員の視点になってそれぞれの今の生活、過去の出来事、各人の想いを追う構成になってます。連作短編にちょっと近いかも。
 全体的にやや悲壮感漂う内容&雰囲気なので、そういうの読みたい気分じゃない人にはおすすめできないかな。
 どの章もちょっと中途半端に終わってる感じなのが残念。

(あらすじ)
 それぞれの道を歩む家族。それぞれの想いを綴る。直木賞受賞作。


「私が彼を殺した」 東野圭吾 講談社文庫
点数:魚魚魚
(感想)
 面白かったです。
 「どちらかが彼女を殺した」と同じ犯人当て推理小説の形式。容疑者が3人に増えています。
 話は面白いのですが、犯人当ての部分は微妙。そもそもこの形式は長編探偵クイズに成り下がってるようであまり好みではありませんね。

(あらすじ)
 有名作家が結婚式の直前に殺される。彼を殺すことが出来た人物は3人に絞られた・・・。


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