ぶ ら り 道 南 日 帰 り


あまりにも有名な函館山からの風景

50年近く生きているが、北海道に日帰りで旅行したのは初めてである。今年8月の新日本海フェリーの項で記したが、台風直撃の代替手段として予約したANAの特典航空券の日程変更が難しく、結局当初12月に予定していた森・駒ヶ岳の旅の日程を3か月も繰り上げた。しかも日帰りで。まぁ往復とも飛行機を使い、帰りを最終便にすれば現地で7時間以上時間が取れるので、コストを度外視すればそれほど窮屈な旅程にはならない。というわけで9月24日(土)の正午過ぎに函館空港に到着。12時20分にはレンタカーのハンドルを握っていた。

まずは函館山へ。函館には何度も来ているが、函館山は初めて訪れた。夜景の時刻には規制で一般車では登れないので、まっ昼間に訪れた。晴れたり曇ったりのまずまずの天気だったので、大規模な砂州の函館の地形がきれいに見えた。これが夜景だったらさぞ綺麗だろうが先を急ごう。次の目的地は大沼公園である。

函館市街地を自分の運転で走るのは、おそらく1987年9月1日のツーリング以来である。もうそんな昔のことは覚えていないが、国道5号線をとことこ走ったんだと思う。その函館〜札幌を結ぶ大動脈は徐々に改良されて、五稜郭の北方で函館新道という自動車専用道路になっている。そこまで行ってしまうとロクな食べ物屋さんがなくなってしまうと思い、道路沿いの廣河ヌードルという店に立ち寄った。13時過ぎなのにクルマがかなり停まっており期待大である。

テーブル席に陣取り、メニューの一番上の塩ラーメンを注文。函館は塩ラーメンが名物で、多分に魚介類との相性の良さのためだと思う。お代は税込み540円。メンマ、チャーシュー以外にお麩が載っているのが珍しい。味の方はあっさりとしていて普通の塩ラーメンという感じ。私は北海道の味噌ラーメンの信者なので、やっぱり味噌にしておけば良かったと多少後悔した。


函館のラーメンは塩味が相場


今も変わらぬ森駅からの風景


北海道新幹線が通る七重浜を背景に記念撮影


道南で一二を争う観光スポット大沼公園


2,200円で借りたマーチの背景は森駅


留置線にはキハ40単行がたたずむ構内


3番線から函館行き特急北斗が黒鉛をもうもうと吐きながら発車していく。後に残されたのは時が止まったような駒ケ岳の眺め

お店を出て5分も経たないうちに函館新道へ。それが終わると片側2車線の国道5号に直結しており非常に走りやすい。大沼公園の青看板に従って右折し、沼に沿って走ること10分弱で公園の駐車場に到着した。

大沼公園には中国人観光客がいっぱいで、ちょうど1か月前に小樽で見た光景の再来である。地元浜松ではこのごろあまり見かけなくなった中国人観光客は、涼しい北海道に逃れていたのかと感じた。大沼公園も初めて訪れる場所で、北海道に何度も来ていながら道南の観光地にいかにそっぽを向いていたのかを物語る。特に大沼公園は、特急が全て停車するJRの駅から驚くほど近く、こんな便利な場所なのになぜ今まで来なかったのか不思議なくらいである。今日の旅のテーマは駒ケ岳をいろいろなところから眺めることなので、大沼越しの駒ケ岳を心ゆくまで楽しんだ。

クルマに戻ってさらに北上。森を目指す。福山雅治のFM番組が土曜日の午後に引っ越してから、初めて旅行中に聞いたが森に近づくにつれて受信状態が芳しくなくなってきた。通る必然性のなかった道央道に入るとザーという雑音だけになってしまい、函館の電波がカーラジオで聞けるのは大沼公園あたりまでということが分かった。道央道を8キロほど走り森インターで降りた。カーナビが付いていない格安ニコニコレンタカー(6時間で2,200円で借りている)なので、あちこち道に迷いながら15時前に森駅に到着した。


森駅に進入する特急北斗183系2550番台


津軽海峡に沈む夕日を眺め恵山国道を走る

さて駒ケ岳を見るために森駅まで来たのは、1991年12月に森駅跨線橋から見た駒ケ岳の姿が忘れられなかったからである(こちらのページ右下の画像)。だから12月に来る意味があったのだが、今さら繰り言を言っても仕方がない。窓口で入場券を購入し、跨線橋に上がった。25年前の当時と同様に跨線橋の窓は開き、秀麗な駒ケ岳を眺めながら、次の列車を待った。しかし15時19分発の函館行き特急北斗はホームの反対側の3番線に停車。思うような写真が撮れずにがっかりした。札幌行きならば跨線橋直下の線路に入るが、さらに30分近く待たねばならないため、それは断念。当時と変わらぬ駒ケ岳の姿を見られただけでもよしとしよう。

函館への帰路は、往路と変化を付けるために海沿いの国道278号線を南下することにした。砂原から鹿部までは森林の中を真っすぐ貫いている所が多く、まるでアメリカやカナダを走っているかのようだった。一転鹿部以南は海岸線の漁港が続き、40キロ制限の区間も多く時間がかかった。カーナビがないものだから、一体どこを走っているのか分からなかったが、とにかく国道278号線を外れなければ函館空港に着く。太陽が西に傾き、進行方向の海側に夕日が見えるようになれば、旅も終わりである。借り出し期限の18時のだいぶ前にレンタカー屋さんに到着。そのまま乗ってきたマーチで函館空港に送ってもらう。空港ターミナルビルは茜色に染まっていた。

茜色に染まる空の下、函館空港に到着

<終>

旅と音楽のこころへもどる