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出張先から直接竹芝桟橋へ |
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日本全国修行の旅では、ANAが就航している全ての空港に降り立った。 たった一つの例外は当時火山噴火のため全島民が避難していた三宅島空港だった。 「いつかは行ってみたい」と思いながら、ずるずると時を重ねていたが、ようやく島を訪問する時が来た。 大宮の出張先から竹芝桟橋に直行。 東海汽船22時20分発八丈島行き「さるびあ丸」に乗船した。 夜行になるので寝台である特2等船室を確保。 出航後すぐにレインボーブリッジをくぐるが、その時は既に夢の中だった。 |
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出航を待つ東海汽船の大型客船「さるびあ丸」 |
レインボーブリッジ通過は夢の中(復路に撮影) |
早暁の東海汽船三池港待合所 定期船の乗客を待つ村営バス 定刻より早く三宅島に到着。 まだ朝の5時前である。 すぐに御蔵島へ向けて出航するのでボヤボヤしてはいられない。
寝呆け眼のままブリッジを渡り、ポツポツと灯る明かりを頼りにバス乗り場に急いだ。
定期船の到着に合わせて運行される三宅村営バスは右回りと左回りの二本。 私は左回りに乗車し、まずは伊豆岬を目指した。
車内を見回していると「フリー乗車券」の案内が目に入った。 2日間で御代は1,000円。
三池港から伊豆岬入口まで乗車して430円なので、半日しか使用しないが、おそらく元は取れそう。
車内で買えるということなので、下車する際に運転手さんから購入し、まず430円分の元を取った。 |
まずは日の出前に伊豆岬灯台に到着 |
伊豆岬園地の先端部。ここが伊豆岬なのか? |
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枯れた大草原の向うに美しい雄山がそびえる |
伊豆岬園地をウォーキング中の筆者 |
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曲がりくねった細道が延々と続く伊豆岬周辺 |
季節はずれの大久保浜に朝日が登る |
朝の村営バスをつかまえた |
朝日に向かって三宅島の南部海岸を走る |
三宅島を訪ねたなら必ず行きたい大路池 |
半日だけだが十分もとをとった 樹齢600年といわれる迷子椎 一周道路沿いの案内看板 ガスマスクは常時携行義務
朝7時台に左回りに島を一周する村営バスを大久保浜バス停から乗車。 次の目的地は大路池とアカコッコ館である。
大路池は噴火によってできた火山湖で、山に囲まれた窪地に湖水を湛えている。
またここはバードウォッチングの聖地でもあり、双眼鏡を首に掛けた人たちとすれ違う。
池を一周し、樹齢600年といわれる迷子椎を見上げた後にアカコッコ館へ。 三宅島のシンボルともいえる「アカコッコ」という鳥について詳細な展示があるが、それ以外に三宅島の噴火についても学ベる。
また館内では望遠鏡や双眼鏡を無料で貸し出しているので、気軽に野鳥観察も可能である。
1時間ほど館内に留まり、次の目的地に向かうため大路池バス停に向かった。 |
大路池にて筆者。海抜0bのすり鉢状の火山湖 |
気軽に野鳥観察を楽しめるアカコッコ館 |
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アカコッコ館では三宅島噴火も学べる |
火山ガスのため立ち枯れた樹木 |
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空き時間を利用してメガネ岩にも立ち寄り |
メガネ岩最寄りの「わんこのしま」オープンセット |
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溶岩で埋め尽くされた阿古小学校は遊歩道に |
旧阿古小学校の教室には黒板も残る |
高校前バス停は便が倍増 空港には無情の案内が…
大路池バス停の周囲を見渡すと、立ち枯れた木々が目立つ。 火山ガスのため枯れてしまうのだとアカコッコ館で学んだ。
三宅島に立ち入るためには未だにガスマスクの携行が義務付けられている。 ここに来ると「地球が生きている」ということを実感する。
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夏には恰好の水遊び場となる長太郎池 |
太平洋と一周道路に挟まれた三宅島空港 |
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平屋建てのこじんまりとした空港ターミナル |
再び三池港待合所に戻ってくるハメになるとは |
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待合所の向うに見える雄山から噴煙が上がる |
来た時と同じさるびあ丸で東京に戻ることに |
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徐々に遠ざかる三宅島。次に来るのはいつ? |
長太郎池から急な坂道をぜーぜー言いながら登り、再び高校前バス停へ。 片方向に一日5本しかない村営バスは、このバス停では10本に倍増する。
というのも、1本のバスはちょうど1周しているのではなく、1周以上しているため、その重複区間は本数が倍増するためである。
その恩恵を受けて、12時20分のバスに乗車した。 運転手さんに「空港まで」と行き先を告げると、「欠航になったよ〜」と言う。
思わず天を仰いだが、運航でも欠航でも空港に行かねばならない。 案の定、空港ターミナルビル(というか工事現場のプレハブに毛が生えたようなものだが)の玄関には、でかでかと欠航の案内がされていた。
さぁ困った。 というのも、今日は三宅島から羽田に向かうだけでなく、伊丹へ乗り継ぎ、新大阪から「ぷらっとこだま」で浜松に戻る予定なのだ。
航空券は無手数料で払い戻しできたが、ぷらっとの方は半額のキャンセル料がかかってがっくり。
三宅島空港を利用するという、この旅一番の目的も水の泡である… 気を取り直して次善の策を考え、やはり船で東京に戻ることにした。 まさか再び三池港に舞い戻ってくるハメになるとは…。 東海汽船の待合所の奥に聳え立つ雄山の噴煙を苦々しく思いながら、来た時と同じ「さるびあ丸」に乗船した。 出航後、徐々に遠ざかる三宅島を見ながらひとりごちた。 「次にこの島に来るのはいつになるんだろうか…」 |
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<終> |