03/12/1更新
加 藤 友 信 の My Favorite Albums |
このコーナーでは、私がこれまでに出会ったお気に入りの名盤を紹介していきます。新旧洋邦ジャンルを問わず掲載しますので、みなさんのMusic Lifeの参考にしていただければ幸いです。
2003年1月 『Silk Degrees』 Boz Scaggs (1976) | ||
@What Can I Say (何て言えばいいんだろう) | ELowdown | |
AGeorgia | FIt's Over | |
BJump Street | GLove Me Tomorrow | |
CWhat Do You Want The Girl To Do (あの娘に何をさせたいんだ) | HLid Shuffle | |
DHarbor Lights | IWe're All Alone (二人だけ) | |
このアルバムの2曲目「ジョージア」のおおらかさに穏やかな正月を連想します。というわけで1月のお気に入りとしてこのアルバムを紹介します。AORの巨匠ボズ・スキャッグスの出世作となったこの「シルク・ディグリーズ」はバック・バンドをディヴィッド・ペイチ(kb)、ジェフ・ポーカロ(ds)、ディヴィッド・ハンゲイト(b)などが務め、後のTOTOの母体となったのは良く知られています。さすがにリズム隊が彼らですのでE「ロウダウン」のグルーヴ感は圧巻です。 その他、タイトルそのまんまのシャッフル・ナンバーのH「リド・シャッフル」や正統派AORナンバーのF「イッツ・オーバー」、泣かせる曲D「ハーバー・ライツ」などの佳曲が収録されており、このアルバムはグラミー賞を受賞しています。そして、「シルク・ディグリーズ」のハイライトはなんといってもI「ウィ・アー・オール・アローン」に尽きるでしょう。この曲は度々CMのバックに使われており、ボズ・スキャッグスの曲の中で最も人気の高い1曲です。私も洋楽の収録曲の増えた最近のカラオケ屋さんで、この曲を歌詞を見ずに朗々と唄っています… |
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2003年2月 『The Nightfly』 Donald Fagen (1983) | ||
@I.G.Y. | DNew Frontier | |
AGreen Flower Street | EThe Nightfly | |
BRuby Baby | FThe Goodbye Look | |
CMaxine (愛しのマキシン) | GWalk Between Raindrops (雨に歩けば) | |
正確に言えば1982年の暮れのリリースかもしれませんが、私がこのアルバムと出会ったのは1983年の2月。当時スティーリー・ダンも良く知らなかった私がこの音を聴いた時には面食らいました。1曲目の「アイ・ジー・ワイ」からして分厚い音でありながらハイ・ハットを始めとした高音の抜けが良く、当時の私をして「世界最高の音質」のアルバムだと感動しました。TOTO好きの私としては変拍子のリズムアレンジメントも好感が持てました。 全体としての印象はお洒落なAORの世界で、特に3曲目の「ルビー・ベイビー」はかのドリフターズ(加トちゃんではない)のカバーですが、AORとして違う一面を見せてくれています。またブルースやジャズの切り口を持った曲もあり、スティーリー・ダンの流れを汲むドナルド・フェイゲンらしい一枚だと思います。今じゃアナクロなのかもしれませんが、夜のドライブで彼女といい雰囲気になるには最適なアルバムといえるでしょう。 |
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2003年3月 『Electric Youth』 Debbie Gibson (1989) | ||
@Who Loves Ya Baby? | GElectric Youth | |
ALost In Your Eyes | HNo More Rhyme | |
BLove In Disguise (見せかけの愛) | IOver The Wall | |
CHelplessly In Love | JWe Could Be Together | |
DSilence Speaks(A Thousand Words) | KShades Of The Past | |
EShould've Been The One | LWe Could Be Together(Campfire Mix) | |
FNo More Rhyme(Acoustic Mix) | ||
2003年のグラミー賞は23歳の新人女性ノラ・ジョーンズのひとり勝ちで終わりました。80年代の終わりにも彼女に勝るとも劣らないほど評価された女性シンガーソングライターがいました。それが今回紹介するデビー・ギブソンです。彼女は10代でデビューと同時に全米チャートを賑わせ、満を持してリリースしたこのアルバムが全米1位に輝き、その名を不動のものにしました。 このアルバムからシングル・カットしたA「Lost In Your Eyes」も全米1位まで昇りつめたのですが、そのヒット時期が1989年の3月。ちょうど私が学生生活に別れを告げる頃で、ラジオから流れるこの曲と卒業間近の実生活を重ね合わせて切ない思いをしていました。それゆえ、この時期になるとこの曲を無性に聴きたくなります。 同じアルバムの中でFとH、JとLのようにバージョン違いの同じ曲が収録されており、聴き比べが楽しめるのもこのアルバムの特徴となっています。特に最後を飾るLは「キャンプファイヤー・ミックス」と名付けられ、その名のとおりアコギの音が印象的なキャンプファイヤーにぴったりの曲になっており、私のお気に入りの1曲です。 |
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2003年4月 『Photographs』 Casiopea (1983) | ||
@Looking Up | EMisty Lady | |
ADazzling | FLove You Day By Day | |
BLong Term Memory | GSpice Road | |
CStrasse | HFruit Salad Sunday | |
DOut Drive | IFrom Over The Sky | |
1982年リリースの『ミント・ジャムス』でカシオペアのファンになった私ですが、彼らにとっても『ミント・ジャムス』はライヴ音源の歓声をカットして作成したベスト盤であったため、それまでの活動の総決算となり、次作であるこの『フォトグラフス』が心機一転のスタートとなったようです。1曲目の「ルッキング・アップ」からその意気込みが感じられます。チョッパーを使った特徴的なベースラインとアコギのコードバッキングが絶妙に絡み合い、キーボードが美しくメロディラインを奏で、パワフルなドラミングが全体をまとめるというメンバー4人の息がぴったり合った佳曲です。当時私は高校2年生。新学年が始まったばかりで新たに迎えた新入生とともに佐鳴湖で部活に明け暮れる日々でした。そんな訳でこの曲を聴くと春の夕方の佐鳴湖の風景が思い浮かびます。 アルバム全体を通してよくできた曲が多いのですが、あえてもう1曲挙げるとすれば3曲目の「ロング・ターム・メモリー」です。『4月の雨』と昔から称されるほど4月は雨が似合う季節なのですが、特に夜の雨のロマンチックなムードをこの曲が盛り上げます。 |
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2003年5月 『Adventures』 The Square (1984) | ||
@Adventures (Prologue) | EJubilee | |
AAll About You | FCape Light | |
BNight Dreamer | GTravelers | |
CSister Marian | HAdventures (Epilogue) | |
DRodan | ||
1984年の5月といえば、私の半生のなかでもっとも加速感を感じた頃でした。高校3年生ということでボート部での活動もクライマックスでしたし、文化祭を控えピアノの弾き語りの練習に余念がない時期でもありました。その加速感を最も象徴する曲が、この「アドベンチャー」というアルバムの2曲めに収録されている「オール・アバウト・ユー」という曲でした。この曲は当時サントリーのCMに使用されていてリード・トラック的意味もあるのですが、そのCMに出演していたスクエアのメンバーの伊東たけし氏が持つアダルティな雰囲気にも憧れたものでした。 さて、このアルバムの佳境は8曲目の「トラベラーズ」。メロディアスでかつ盛り上がりのある曲で、この当時から現在までよく旅のお供に連れて行きました。この曲をコピーする高校生バンドなんかいないだろうなぁと思っていたのですが、その年の文化祭でサキソフォンをフューチャリングした高校生にしては珍しいバンドが完全コピーしていました。その時は妙に感銘を受けた記憶があります。余談ですが、このバンドはメン・アット・ワークの「ノックは夜中に」なんていうおおよそ高校生がコピーしそうもない曲も演奏していました。 スクエアはメンバーを入れ換えながら今も活躍中ですが、やはり伊東たけし氏がサックスを吹きまくっていた、この頃が絶頂期だったようです。 |
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2003年6月 『VARIETY』 竹内まりや (1984) | ||
@もう一度 | Eアンフィシアターの夜 | |
Aプラスティック・ラブ | Fとどかぬ想い | |
B本気でオンリー・ユー (Let's Get Married) | Gマージービートで唄わせて | |
COne Night Stand | H水とあなたと太陽と | |
DBroken Heart | Iふたりはステディ | |
Jシェットランドに頬をうずめて | ||
6月というと「梅雨」と「ジューンブライド」を連想しますが、このアルバムはまさにその2つの要素を持っているように思います。このアルバムの演者・竹内まりやはその後、日本の女性シンガーの御大に上り詰めて行くわけですが、その後ヒットしたどのアルバムと比べてもクオリティが高い仕上がりで、その割にはあまりにも知られていない「隠れた名盤」といえると思います。 @の「もう一度」は山下達郎氏と結婚して暫く音楽活動を休んでいた彼女が、タイトル通り復活を期して臨んだ想いが託されているように思います。言い忘れましたがこのアルバムからプロデュースは達郎氏が行うようになりました。Aはセブンスコードを多用した私好みの都会的センス漂う曲で、次のBは結婚式のお色直し後の入場で数限りなく聴いた定番です。 タイトル通りヴァラエティに富んだ収録曲がちりばめられており、Cはカントリー調の3拍子のスローロック、Eはアン・ルイス調のロックン・ロール、そしてGはもっと時代が遡って50年代の曲調となっています。 ラスト3曲はボサノバ調で夏の午後に相応しいH「水とあなたと太陽と」が耳に残ります。現在の彼女のアルバムにはまず収録されない貴重な音源でしょう。IはBと対になる曲で当時の二人のアツアツぶりが偲ばれます。ラストのJは現在の竹内まりやの曲調に沿うもので、これは21世紀の今聴いても古さを感じないでしょう。 |
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2003年7月 『T's BALLAD』 角松敏生 (1985) | ||
@Overture | GRamp In | |
AStill I'm In Love With You | HIt's Hard To Say Good-Bye | |
BWave | ILet Me Say | |
CCrescent Aventure | JIt's Too Late Overture | |
DRyoko | KSong For You | |
EBeach's Widow | LStill I'm In Love With You | |
FMermaid Princess | MNo End Summer | |
私が角松敏生の存在を知ったのは1983年の秋だったと思いますが、実際に歌詞が心に染みたのは社会人になってからだと思います。昔から「ふられた女の子のことをいつまでも思い続ける」恋愛に関してずるずるべったらな性分だったのですが、角松氏の歌詞にはその性分の男の琴線に触れるような歌詞が散りばめられていて、ふられた後によく聴きました。 その中でもバラードナンバーを集めたこのアルバムは、そういうシチュエーションに実にマッチしていて今回「お気に入りアルバム」として取り上げてみました。一番の思い出は1992年の7月、東北地方に添乗で旅行をした時でした。当時好きだった女の子にふられて、仕事とはいえ傷心旅行のようになってしまったのですが、最終日の夜、気仙沼のホテルでわんさと酒を飲みながら聴いていたアルバムがこれでした。2曲目の「スティル・アイム・イン・ラヴ・ウィズ・ユー」を聴くにいたって、季節とシチュエーションが自分の境遇とはまって泣きながら唄ったものです。そして、このアルバムのクライマックスはIの「レット・ミー・セイ」。最後の「グッバイ」とつぶやくところまで完全コピーしてしまいました。 別にふられなくても、恋をしていなくても、夏に聴くには格好の一枚だと思いますので、海辺のドライブなどでご活用ください… |
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2003年8月 『MAJESTIC』 松岡直也 (1988) | ||
@Majestic | DPrimavera〜Ba・Tu・Ca・Da | |
AIn The Nude | EGossamer | |
BCry For The Moon | FSolitaire | |
CTe Quero Mucho | ||
8月のお薦めアルバムということで夏を意識した選択をしなければならないのですが、今回同じ松岡直也さんの「夏の旅」と「Majestic」のどちらにするか悩みました。片や日本の田園の夏をイメージさせるアルバム、そして後者は洋上をクルージングしての島々を巡る旅のイメージです。結局昨年の5月に松岡さんの「Long
For The East」を取り上げていて、同じロック色の強いアルバムを紹介するよりは、氏の原点であるラテン色の強い「Majestic」の方がいいだろうということになりました。 @A曲目でクルージングの世界に我々を誘ってくれるのですが、Bの「Cry For The Moon」はこのアルバムの中ではロック系といえるでしょう。それもそのはず、1988年秋にNHK教育テレビで放映された「ロック講座」(講師:松岡直也氏)の課題曲でした。放送の中でこの曲がいろんなパーツに分解されて解説されて「なるほど、ふむふむ」と参考したのももう15年も昔のことです。いまでもその時のテキストは残っていますが… Cは一転ラテンの曲ですが、当時グリコの「カフェオレ」のCMに使われていたと思います。B面に入ってDは当時流行りのユーロビートをエッセンスに加えたラテンファンク。それに続いてE「Gossamer」が私にとっては思い出深い曲です。社会人2年目の1990年の夏、私は新島に添乗に出掛けたのですが、その時往路の船上で夏の太陽を浴びながら、この曲の世界にどっぷりつかりました。この夏休み、伊勢湾フェリーなどわずか1時間の船旅でも予定されているのでしたら、この曲を聴きながら船旅を楽しんで欲しいなと思います。 ラストはお決まりのマイナーの曲で、和田アキラ氏の印象的なギターソロとともに締めくくられるわけですが、やっぱりこのアルバムは夏の旅の空の下聴くのが一番お似合いのようです… |
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2003年9月 『Hotel California』 Eagles (1976) | ||
@Hotel California | DWasted Time (Reprise) | |
ANew Kid In Town | EVictim Of Love (暗黒の日々) | |
BLife In The Fast Lane (駆け足の人生) | FPretty Maids All In A Row (お前を夢みて) | |
CWasted Time (時は流れて) | GTry And Love Again (素晴らしい愛をもう一度) | |
HThe Last Resort | ||
夏が終わり、徐々にクールダウンしていく9月。このオフ・シーズンの月に案外ぴったりくる歴史的な名盤が、今回紹介する「ホテル・カリフォルニア」です。タイトル・チューンの「ホテル・カリフォルニア」はあまりにも有名で、私もこの曲を初めて聞いたのは中学生の頃でしたが、今回はそれ以外の曲を中心に綴っていこうと思います。 9月に聞きたい、ちょっとクールな曲が数曲含まれていますが、まずひとつめはA「ニュー・キッド・イン・タウン」でしょう。大作「ホテル・カリフォルニア」の後を受けて、この曲のアコースティック・ギターのイントロが始まるのですが、グレン・フライの甘いボーカルとあいまって優しさを感じる曲です。ギター・リフがかっこいいBを挟んでCの「時は流れて」はドン・ヘンリーのブルージーなボーカルが光るスロー・バラード。これも9月に聞くと心地よい一曲です。 B面に入って「時は流れて」のリプライズがあり、「呪われた夜」を彷彿とさせるEが続き、F「お前を夢見て」は3拍子(8分の6拍子)のスロー・ロックです。この手のロックを聞くのには、やはり9月がぴったりです。そして、ギター・リフが印象的なGを挟んで、H「ラスト・リゾート」となります。7分25秒の大作ですが、聞き所は、いったんフェード・アウトしてから徐々に盛り上がる曲の中盤部分です。歌詞はともかく、明日への希望を抱かせる、最後を締めるにふさわしい曲です。 こんな有名なアルバムですので、皆さん一回は聞いた事もあるでしょうが、秋の夜長に今一度じっくり耳を傾けてみてはいかがでしょうか… |
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2003年10月 『Hi Infidelity』 REO Speedwagon (1980) | ||
@Don't Let Him Go | ETough Guys | |
AKeep On Loving You | FOut Of Season | |
BFollow My Heart | GShakin' It Loose | |
CIn Your Letter(涙のレター) | HSomeone Tonight | |
DTake It On The Run | II Wish You Were There | |
あらためてこのアルバムのクレジットを見て、リリースが1980年だったことに驚きました。というのも1981年の春から夏にかけて15週連続で全米1位を記録し、私の記憶の中では1981年を代表するアルバムという位置付けだったからです。実際にビルボードの1981年の年間アルバムチャートの第1位でもあります。 さて、1981年といえば私は中学3年生。特に部活を引退した秋にシングルチャートをにぎわせていたD「テイク・イット・オン・ザ・ラン」には受験勉強中のストレスを癒してもらいました。10月のこの時期になると、普段はなかなか聴かないこの「禁じられた夜」を聴きながら遠き日のことを思い浮かべたりします。 このアルバムからのシングル・カットで最もヒットしたのはA「キープ・オン・ラビング・ユー」で、1981年3月21日付のビルボードTOP100で見事1位に輝いています。日本では、唯一邦題の付けられているC「涙のレター」が洋楽チャートを駆け上りました。その他、いかにもアメリカン・ロックと呼べる@とB面に並ぶEFGHあたりは、1年に300日もライヴを演っていたという、ツアーバンドならではの曲でしょう。そして最後を締めるのは「アイ・ウィッシュ・ユー・ワー・ゼア」。後に全米1位を獲得した「涙のフィーリング」に通じるバラードで佳曲です。 ちなみに、REOのヴォーカル兼ソングライターはケビン・クローニン。デビュー11年目に全米1位を獲得するという「苦労人バンド」にぴったりの名前です。 |
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2003年11月 『Escape』 Journey (1981) | ||
@Don't Stop Believin'(愛に狂って) | EEscape | |
AStone In Love(お前に夢中) | FLay It Down | |
BWho's Crying Now | GDead Or Alive | |
CKeep On Runnin' | HMother, Father | |
DStill They Ride(時の流れに) | IOpen Arms(翼を広げて) | |
ジャーニーといえば中学から高校にかけての私のアイドルバンドで、その最高傑作が今回紹介する「エスケイプ」です。ちなみに、1981年と1982年の全米年間アルバムチャートのそれぞれ第6位にランクされているロング・セラー&ビッグ・ヒット・アルバムです。 11月に紹介するということで、まず取り上げなければならない楽曲はB「クライング・ナウ」でしょう。ジョナサン・ケインのピアノ・リフとロス・ヴァロリーのベース・ラインにスティーヴ・ペリーのハイトーン・ヴォーカルが乗っかる訳ですが、音と音との間に適度な間隔があるところがクールな印象を受けます。また全体で5分ちょうどの曲ですが、その3割を占める終盤のニール・ショーンのギター・ソロは聴き応えがあります。中学のころは、そのギターの音を口で完全コピーしたものでした。晩秋の夜に独りでチビチビやりながら聴くのにぴったりな曲です。 もう1曲、晩秋に相応しい曲を挙げるとすればH「マザー・ファザー」でしょう。不思議なコード進行でプログレの香りがします。このアルバムの少し前に発表されたTOTOの「ハイドラ」と並ぶプログレ・ハードの隠れた名曲といえるでしょう。この曲の聴きどころはずばりギターとピアノのユニゾンで演奏される間奏部分。なんともロマンチックです。盛り上がりながらエンディングを迎えると、次は泣く子も黙る全米第2位を記録した佳曲「翼をひろげて」という構成。感心してしまいます。 このアルバムは他にもミディアムテンポの「愛に狂って」からハードなロックン・ロールの「キープ・オン・ランニン」やタイトル曲「エスケイプ」まで多彩な曲が満載で聴き飽きません。80年代洋楽初心者の方にもオススメできるアルバムです。 |
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2003年12月 『Hotter Than July』 Stevie Wonder (1980) | ||
@Did I Hear You Say You Love Me(愛と嘘) | EMaster Blaster(Jammin') | |
AAll I Do(キャンドルにともした恋) | FDo Like You(孤独のダンサー) | |
BRocket Love | GCash In Your Face(哀しい絆) | |
CI Ain't Gonna Stand For It(疑惑) | HLately | |
DAs If You Read My Mind(目を閉じれば愛) | IHappy Birthday | |
12月は一年の中で最も日没が早く、それだけ活動時間帯に夕焼けを目にすることが多いのですが、このアルバムは、木枯らしの吹く乾いた12月の夕暮れ時に相応しいアルバムです。 A面ではABと続くクールなサウンドが、12月に聞くと逆にぬくもりを覚えます。Cはシングルカットされ1981年の初めに全米11位まで上昇した曲ですが、はっきり言って21世紀に入ってからエリック・クラプトンが「Reptile」というアルバムでカヴァーするまで忘れかえっていました。改めて名曲だったことを思い知らされました。 B面は、おなじみ「マスター・ブラスター」でスタート。いかにもスティービー・ワンダーらしいこの曲は、論評するまでもないでしょう。そしてこのアルバムのハイライトは最後の2曲。「レイトリー」は別のコーナーで私が「21世紀に残したい80's Hits」の一曲に挙げている名曲です。特に正月を待つ学生時代の冬休みに、オレンジとブルーのグラデーションの夕空を見ながら聞いた一場面が忘れられません。そして「ハッピー・バースデー」は私が12月生まれということで、この時期になるとよく聞いたものです。もとはマーチン・ルーサー・キング牧師の誕生日をアメリカの祝日にしようと書かれた曲ですが… スティービー・ワンダーは数々の全米1ヒットを記録しており、このアルバムはそういう意味では目立たないアルバムですが、バランスがとれた名曲揃いで、私のオススメです。 |