た び う ち
〜 「 香 港 競 馬 ( 國 際 一 級 賽 ) 」 編 〜

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昨年、ANAの上級会員を志してから、交通手段がどうも飛行機に偏っている。昨年は、上級会員になるため、無駄な搭乗(いわゆるマイル修行)を繰り返した。今年度は、ボーナスマイルで、搭乗区間の2倍のマイルが貰えるので、なるべくANAに乗るようにしている。そして来年4月以降は、そのマイルを消化するために、やっぱり飛行機に乗りまくることが予想される。都合3年間に渡ってANAサンのお世話になることになり、まんまと策略にはまってしまった感じである。

以上のような理由で、本来なら今回の旅も自費で航空券を買うべきだったかもしれない。しかし、マイルが登録できないはずの特典航空券で、なぜかマイル登録できてしまった(能登→羽田、佐賀→伊丹)。それも100%フル加算してもらった上に、ご丁寧にボーナスマイルまで付いてしまっている。ANAサンの好意とみなして有難くいただいておくことにした。

さて、香港往復の航空券を発券するにあたって、接続する国内線を4区間まで無料で発券できるというルールを使い、咋秋の「修行の旅」で断念した能登空港と佐賀空港を往復することにした。旅は初夏の日差しが眩しい能登空港から始まった・・・

4月24日(土)11時20分、羽田からのANA747便は15分遅れで能登空港に到着。ようやく能登空港に来れたなぁと感慨ひとしおだった。というのも、昨年11月8日に岡山からの便が遅れ、予定していた能登往復ができなかったからである(詳細は「目指せSFC〜日本全国修行の旅A」参照)。修行の旅の時、初めて降り立った空港で必ずしていたように、空港の玄関前で記念撮影をし、滞在わずか20分で能登を後にした。どうも修行のクセが抜けきらないようである・・・


初夏の日差しに子マリンが映える

羽田に戻り、初体験の「あいのりタクシー」で成田空港に向かう。実は、上級会員に配られた無料クーポンにより、このタクシーもタダである。羽田から成田へは、さまざまなアクセス手段があるが、成田エクスプレスやスカイライナーよりも速く、そして快適に移動できた。「あいのり」といってもお客は自分ひとり、道路渋滞もなくスムーズに成田に運ばれ、所要時間は50分を切っていった・・・

成田空港には出発4時間半前の14時過ぎに到着した。あまりにも早く着きすぎたが、上級会員の役得で「signet」というラウンジで待てる。パスポートコントロールを過ぎた、搭乗口の間近にあるので、搭乗時間まで時間を気にすることはない。さっそくビールやら水割りやらをあおり、ものの1時間もすると完全な酔っ払いのオジサンと化していた。国内線のsignetと違って、サンドイッチとかのり巻きなども用意されていて、これから機内食も出るというのに食べまくってしまった。腹が朽ちると眠くなってくる。ほぼフラットになるリクライニングシートに身をゆだねると、1分も経たないうちに眠りに落ちた。ここのところ多忙を極めていて、睡眠不足気味だったので、このシートの存在は有難かった。

搭乗時間にはラウンジ内にもアナウンスがあるが、それよりも前にラウンジを出た。というのも、外に無料のインターネットスペースを見掛けていたからである。出国間際にいろいろな情報をチェックし、ついでに自分のHPの掲示板に書き込んでみた。この後、香港でも佐賀でも無料でインターネットにつながる所を発見し、それぞれの場所で書き込んでみたが、いい世の中になったものである。


SFC修行の旅で断念した能登空港に到達

さて、搭乗口の行列を「SFCカード」を見せながらごぼう抜きして、「上級会員の威力ってすごいなぁ」と感心していると、自分の座席にCAさんが寄ってきて「加藤様、いつもご搭乗ありがとうございます」と挨拶された。これが、上級会員への挨拶かと思いながら、「ども、ども」と平静を装いながら「いい人」っぽく振舞ってみた。SFCになってから初めて国際線に搭乗したので、かなりドギマギしていたが・・・

成田から飛び立てば、香港までは4時間半の道程。その間に機内食が出て、食後に映画を一本見れば着いてしまう近さである。機内では、日本でもこのGWに公開される「スクール・オブ・ロック」を観たが、私のようなロック好きにはたまらない小ネタ満載(お堅い校長がフリートウッド・マックのスティービー・ニックスを好きだったりとか)の映画だった。


成田のsignetにて。睡眠不足もやや解消


2度目の香港・沙田(シャティン)競馬場


国際GTレースへの期待が高まる

その他、小林克也さんがナビゲートする「ベストヒットUSA」の特別編(タイムマシンスペシャル)も上映されていた。こちらは、80年代洋楽のビデオクリップがテンコ盛りで、私の音楽趣味にジャストミート!!これだけでもANAに乗った甲斐があるというものである。

香港到着は22時過ぎ。今までの優雅な空の旅から、いきなり現実に引き戻されたような感じだった。入国審査の列にイライラし、クレジットカードが使えるATMを探すのに手間取り、ホテル直行のバス乗り場が分からず、仕方なく「エアポート・エクスプレス」に乗車した。さんざん空港内を歩き回ったので、電車の座席にありつけた時には、どっと疲れが出た。

エアポートエクスプレスで30分。終点に到着した後も、延々と続く地下鉄への連絡通路にため息をつき、地下鉄のキップの自動販売機は高額紙幣を受け付けず、つたない英語でどうしたらキップが買えるかを駅員さんに尋ねたりして、ストレスはたまる一方。予定よりずいぶん遅くなり、23時半過ぎにやっと最寄り駅の尖沙咀に到着した。

夜間に見知らぬ土地でホテルを探そうとすると、日本でもまごつくことがあるが、案の定たどりつくまでに迷いに迷った。あらかじめ地図で確認して、駅から東の方向にあることは分かっていたが、道路が斜めに走っているため、歩いている方角が東なのか北なのか分からなくなってしまった。そうこうしているうちに雨も降り出して、ずぶ濡れになりながら、やっとのことで宿泊先である「ラマダホテル」を探し当てた。気が付けば、日付が変わっていた・・・

<コラム・・・マイル修行の収支決算>

昨年10月下旬と11月上旬に、3日間ずつ延べ6日間にわたって行った「日本全国修行の旅」は、航空券代だけで約40万円かかった。目的は、単にANAの上級会員資格を得ることだけである。こう考えれば、なんともったいないことをしたんだろうと思われるかもしれない。しかし、40万円のうちの約10万円は、今回の旅で回収できた。というのも、今回の香港往復と、国際線に切り込んだ国内線3区間は無料だからである。
昨年の「修行の旅」で貯め込んだ16000マイルが、そっくり特典航空券に変わり(マイル2割引キャンペーンで、普段の香港エコノミー往復2万マイルが1万6千マイルでOKだった)、この時期の早割りGET21の香港往復が61000円、能登→羽田の早割り21が15800円、羽田→佐賀の特割7が18300円、佐賀→伊丹の特割1が12300円、しめて107400円が回収できたわけである。
ちなみにこの7月には、上級会員資格を得たことで貰ったアップグレード券を使い、ロサンゼルスにビジネスクラスで往復してくる(既に手配済)。ここで「ビジ割」333000円から実際の航空券代(早割GET運賃)85000円の差額248000円が回収できる。
で、まだもう1往復分の国際線アップグレード券があるので、新年早々に台北かシンガポールに行く予定である。台北ならビジネスクラスと早割GETの差額約11万円が、シンガポールなら差額約30万円が回収できて、ペイするどころかオツリが来そうである・・・
チェックインの時「たぶんダメかも」と思いながらアメリカン航空のマイレージカードを提示し、「マイルを登録できますか?」とやったが、やっぱりダメで、「だったら他のもっと安いホテルにしとけば良かった」と後悔した。空港到着からホテルまでは、この旅でネガティブなものが全て出た時間帯だった。とにかくこの日は疲れ果てていたため、シャワーを浴びるやいなや、ベッドに直行だった。

明けて4月25日。この旅の最大の目的である、香港競馬を観戦する日である。まずは、ホテルの近所にあったセブンイレブンに向かう。ひとり旅だと、旅先の食事はコンビニで調達するのが常である。これは国内だろうと海外だろうと変わらない。サンドイッチやカップラーメンといっしょに新聞も買ってみた。


外国人専用の香港ジョッキークラブの最上階にて


国際GTレースの日らしく国際色豊か


これが馬券購入のマークカード


どことなく日本の競馬場を思わす観覧席


沙田競馬場ご自慢の世界一のスクリーンビジョン


マークカードの裏に馬券が印字

香港にはスポーツ新聞はないらしく、一般紙を買うとオマケで別冊のスポーツ欄も芸能欄も付いてきた。風俗のガイド欄みたいなものも付いてきて、「これは子供には見せられないだろ」と思わずツッコミを入れてみた。競馬新聞も別冊で、それらがビニール袋にごっそりまとめて売られている。日本でいうと元旦の新聞みたいな感じで、これが毎日(日曜ごとの毎週?)売られているなら、記者は何人必要なの?と思ってしまった。

さっそく部屋に戻って、朝食を摂りながら新聞を広げる。一般面は北朝鮮で起きた列車爆発事故が大きく取り上げられていたが、硬い記事はここまで。競馬面はもとより、スポーツ面もサッカーのトトカルチョの記事ばかり。香港の人はよっぽどギャンブル好きなんだろうねぇ。そういえば昨夜テレビをつけていたら、現地のケーブルテレビ局みたいな所で、一晩中、今日の「クイーンエリザベスU世カップ」の予想番組をしていた。ギャンブルに対する本気度は凄まじいのかもしれない・・・

    
☆収支一覧表 (単位;香港ドル)
レースNo 投資 回収 収支 累計
1R 30 0 -30 -30
2R 60 61 +1 -29
3R 150 0 -150 -179
4R 70 0 -70 -249
5R 70 0 -70 -319
6R 100 0 -100 -419
7R 100 150 +50 -369
8R 340 0 -340 -709
9R 360 0 -360 -1,069
合計 1,280 211 回収率 16.5%
※1香港ドル=約14円
   
スポーツ面で笑ったのは、リーガ・エスパニョーラやセリエAなどのチーム名や選手名が、全て漢字の当て字だったこと。中田英寿なんかはそのまんまだけど、ロナウジーニョやジタンなどは???って感じだった。

競馬新聞は、日本のように◎や▲などの印がない。予想家がめいめい推奨馬を4〜5頭挙げているだけである。もとより前走や前々走の結果の見方が分からないので、全レースを予想している予想家(8人位いた)の推奨馬を1番目から◎○▲△の順で並べなおし、◎10点、○5点、▲3点、△1点として計算して、点数の多い馬を買うことにした。いわゆるグリグリチェック法(?)というやつである。沙田競馬場へのツアーバスが出発する11時45分までには、あらかた買い目まで決めてしまった。


香港ジョッキークラブ会員しか入れないパドック


パドックの前がゴール板。返し馬が駆けていく

尖沙咀地区からバスで約40分くらいで沙田(シャティン)競馬場に到着した。ツアーの参加者は日本人が半分、欧州人が半分といったところで国際色豊かな顔ぶれである。専用のエレベーターで最上階に運ばれて、外国人専用のラウンジ観覧席に案内された。雰囲気は、京都競馬場のゴンドラシートにちょっと似ていた。

以前、この沙田競馬場に来た時には、馬券の買い方が分からず、おそるおそるマークカードを窓口に出したら、広東語でまくしたてられて突き返され、ちょっとトラウマになっていた。今回はマークカードの塗り方などを親切に日本語で教えてもらえる上に、往復のバス代と昼食込みで460ドル(約6500円)だからお値打ちである。締め切りまで時間がなかったものの、さっそく第1レースに30ドルほど賭けてみた。結果はハズレだったが・・・


写真判定の結果は?あなた判ります?


QEUカップ;4コーナーを回ってダンゴ状態

ビュッフェスタイルの昼食を摂るのも忘れて、次々とマークカードを塗り、窓口に持っていく。すると窓口でマークカードの裏に馬券が印字される。上の画像の馬券の内容を解説すると、馬連(QIN)各目10ドルずつで、「9*3+5+8+10」が第9レースにBDGIの4頭ボックスの意味。そして合計60ドルと印字されている。慣れてしまえば簡単である。

第5レースの前に、パドックツアーに出掛けた。一般の観覧席の前を通ったが、日本の競馬場に雰囲気がそっくりだった。そしてオーロラビジョンがゴール前に鎮座しているのも日本そっくり。なんでも沙田競馬場の「スクリーンビジョン」は世界一の長さなんだそうな。

パドックは香港ジョッキークラブの会員しか入れないエリアだが、外国人専用エリアの住人はフリーパス。人ごみが凄かったが、一瞬だけでも、間近に馬を見られて満足した。

いったんはLサターンが抜け出すも・・・


橙色の勝負服の勝ち馬Hが外目を強襲


そうこうしているうちに、第7レースの香港ドメスティックGT「チェアマンズ・スプリント賞」が発走した。このレースは、昨年暮れの国際GT「香港スプリント」で勝った「サイレントウィットネス」が一本かぶりだった。それもそのはず、目下10戦10勝である。

私も@の「サイレントウィットネス」からワイドと馬連の流し馬券を買っていたが、その@が人気通り走って、この日唯一儲かった馬券になった。凄かったのは、ゴールとともに沸き起こった大歓声。この後のQEUカップの歓声を凌いでいた。一説によると「サイレントウィットネス」は、日本で秋に行われる「スプリンターズステークス」にも出走する構えありとのこと。もし出走したら買ってみたい馬である。


結果は馬連複万馬券、3連単52万馬券!


華やかに表彰式が行われた

続いての第8レースは国際GTレース(現地では「國際一級賽」と表記)「クイーンエリザベスU世カップ」である。このレースは「ワールド・シリーズ・レーシング・チャンピオンシップ」の第1戦に位置づけられていて、6月の「キング・ジョージ」、8月の「アーリントン・ミリオン」、10月の「凱旋門賞」、「コックスプレート」、「ブリーダーズ・カップ」、11月の「ジャパンカップ」、12月の「香港カップ」などの有名レースが暮れまで続く。去年、SARS禍のなか日本の「エイシンプレストン」が出走し見事2連覇を飾ったことは記憶に新しい。

今年も「ローエングリン」や「バランスオブゲーム」あたりが出走してくれれば日本人として応援できたが、残念ながら日本馬の出走はなかった。


オケラの身にとって香港のネオンは眩しすぎる


早朝の香港国際空港。筆者も寝ぼけまなこ


空港へは尖沙咀より香港島方面へ

その代わりに「ドバイ・デューティーフリー」で1着を分けあった「Aパオリニ」と「Dライトアプローチ」が揃って出走してきている。また、一昨年のジャパンカップで「シンボリクリスエス」に先着した「Eサラファン」も実力がある。迎え撃つ香港馬は「@ラッキーオーナーズ」が好評価で、一本かぶりの人気を背負っている。また堅実な「Mエレガントファッション」も注意せねばなるまい。


香港の共用ラウンジ。ここでまた掲示板にカキコ


ホーム・キャセイ機を背景にアウェイANA機


空港への「機場快線」のキップ

予定より10分ほど発走が遅れて、16時40分ゲートが開いた。スローペースで4角では、ほぼ一団。いったん「Lサターン」が抜け出すも、外から「Hリバーダンサー」が抜け出し、ゴール前では4分の3馬身差をつけて勝利。2着に「Mエレガントファッション」、3着にイギリスから出走の人気薄「Fスコッツビュー」が来て、3連単では52万馬券が飛び出した。Hは漢字で書くと「駿河」。静岡県にゆかりのある名前だからちょっと買っておけばと思っても後の祭りだった・・・

QEUカップの負けを取り戻そうと、スッた分をそのまま第9レースに突っ込んだのはマズかった。このレースも荒れて、QEUカップ同様の高額配当だった。そんなもの当たるハズもなく、結果1000ドル(約14000円)以上のマイナスを食らって撃沈。香港で使ったお金は、クレジットカード以外では1900ドルだったので、半分以上競馬に持っていかれた。さすがに気分は消沈して、夕暮れの香港のネオン街がやけに眩しかった・・・

手持ちの現金が60ドル(840円)になってしまったため、朝食同様、夕食もセブンイレブンで買うハメになった。この際、酔っ払って寝てしまおうと思い、焼酎みたいな米の蒸留酒(米酒と書いてあったが、マズかった)と、ツマミを買ってホテルに戻った・・・


佐賀出身の大隈重信公の銅像

結局、香港最後の夜はふて寝で終わってしまい、4月26日の朝を迎えた。9時40分発の成田行きNH912便に搭乗するため、朝6時前にホテルをチェックアウトし、尖沙咀駅に向かった。当地に着いた夜には、迷って30分くらいかかった駅とホテルの間の距離も、全てがクリアな状態になった今朝は、5分とかからなかった。

駅に着いてしまえば、後の行程は全てオートマチックで、地下鉄から機場快線(エアポートエクスプレス)に乗り継ぎ、香港国際空港へ。NH912便で成田到着後は、あいのりタクシーで羽田に向かい、佐賀行きANA455便のナイトフライトの後、待っている空港バスに乗り込んだ。ホテル到着は21時。ほとんど乗り物に乗っているか待っているかの一日だった。


大隈公の旧宅は雨に濡れてしっとりと


佐賀城で現存する唯一の重文「鯱の門」

佐賀の夜は台風のような嵐だった。しかし夜が明けると、雨は止んでおり、伊丹行きのANA554便に乗る前に、軽く市内見物できそうである。宿泊先の「佐賀観光ホテル山水荘」から、空港行きのバス停に向かう道すがら、大隈重信公の生家と佐賀城の「鯱の門」に立ち寄り、佐賀のみどころを全て見物した気分になってしまった。たかだか40分くらいの散歩だったけど・・・

伊丹から新大阪に出て、新幹線に乗ってしまえば、もう帰ったようなもの・・・と思ったのが甘かった。下り線の三島〜静岡間で停電しており、上りもあおりを食って、豊橋で立ち往生してしまった。「最後に来てそりゃないよ」と思ったが、豊橋から鈍行に乗り換えて浜松には20分遅れで到着。新幹線の改札口で確認したら、乗車していた「こだま464号」は、まだ豊橋駅で停まったままだった。究極の選択は正しかったようだ・・・
   

<おしまい>


佐賀空港でANA就航の国内の空港を完全制覇


豊橋で足止めを食らい鈍行で浜松に戻るハメに


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