と び う め
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寝台特急『北陸』の入線で大騒ぎの図
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年齢を重ねるとともに季節の中では早春が一番好きになってきた。そういうわけで、この時期の旅は心が弾む。毎年恒例のSpring
Tourを来月に控え、大宰府の飛梅が満開になる時期を狙って、北陸まわりで九州に向かうことにした。
北陸まわりにした理由は、今年3月12日かぎりで廃止となる寝台特急『北陸』号を体験してみたいと思ったから。本当は、大騒ぎになる廃止直前は避けたかったのだが、乗車を先延ばしにしてきたら、思いのほか早く廃止が決まってしまった。せめて8両編成の半数を占める個室寝台に乗ろうと、1か月前の朝10時に豊田町駅の窓口に並んだが、取れた席は開放寝台の上段という最悪の席(寝台特急「追憶の旅路」参照)。まぁ短時間の乗車だけに乗れるだけでもヨシとしなければ…。
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今年の3月限りで廃止が決まった九州に向かうのに、浜松から新幹線で東京に向かうのは違和感があるが、例によって「こだま」の喫煙席を「走る居酒屋」に変えて、ゆっくりとくつろいだ。が、東京に到着してからは、一転して嵐の中に巻き込まれた。休日前22時台の京浜東北は帰宅ラッシュの真っ最中。でもこれは序章に過ぎなかった…。
上野駅13番ホームはカオス状態だった。「北陸」廃止までまだ1ヶ月もあるのに、カメラを持った鉄道ファンが右往左往。22時45分ころ推進運転で「北陸」が入線してくると、一斉にフラッシュが焚かれ、騒ぎはピークに達した。私もその騒ぎの中で2〜3枚撮影したが、とても満足なものが撮れる状態ではなかった。そういうわけで早々に車内に逃げ込んだ。
最悪なことに開放B寝台の4つの席のうち3席は同じ仲間連れ。それもちょっとマニアックな人たちで、席に着くなりあーだこーだ鉄道にまつわるコアな話をし始めた。私は通路側の引き出し式簡易座席に追い出され、3人の話を聞くともなく耳にして、いちいち心の中でツッコミをいれるハメになってしまった。
日付が変わったのをしおに自分のベッドにもぐりこんだ。そのままヘッドホンで音楽を聞いていたので、知らない間に眠り込んでしまい、目覚めたのは5時過ぎの朝一番の車内放送が入った時だった。列車はあいかわらず暗闇の中を走っていて、上段ベッドからはその車窓すら見えず、かといって二度寝するわけにもいかず、金沢までの時間は苦痛の一言であった。
金沢駅1番ホームは、前夜の上野駅をそのまま持ってきたような騒ぎになっていた。最後部の8号車のテールサイン、そして先頭のEF81電機に掲げられたヘッドマークをカメラに納めて早々に退散した。
JR西日本の株主優待券を活用するため、浜松からの乗車券は金沢で打ち切り、金沢であらためて博多までの切符を買いなおす。ターゲットは雷鳥8号の先頭車パノラマグリーン席1列目だったが、窓口に問うと2列目までは満席だという。それなら自由席でいいやということになって、博多までの乗車券・特急券のお代は9,440円。意外に安かった。
485系の特急雷鳥は今春3月のダイヤ改正で、わずか1往復に減ってしまう。その1往復もあと1年の命だと噂されている。国鉄色の485系を見ると、大学生のころ北陸ワイドで特急銀座を何往復もしたことを思い出す。当時は感じなかったが、シートのひじ掛けのかなり上に窓框があり、時代を感じさせる。雪化粧をした山々を見ながらのんびりと旅を楽しんだ。
こうして普通に旅を続けていたが、気になっていることがひとつあった。それはズボンの股の部分が擦れて破れ、この旅を通して段々と穴が大きくなっていることである。座っている分には分からないが、歩くとかなり目立つ大きさである。新大阪での乗り継ぎの際にはリュックで隠して事なきを得たが、九州ではどうにもならない感じである。ひかりレールスターで13時過ぎに博多に到着すると、ジャンパーを腰に巻いて、すぐに博多駅の地下街でスラックスを探すハメになってしまった。
ズボンを取換えて、心機一転大宰府への旅を開始した。JRで二日市まで移動し、徒歩連絡で西鉄二日市駅へ。ちょうど路線バスと競争になり、ほぼ同時に西鉄駅に到着した。
二日市からは西鉄電車で大宰府へ。終点の太宰府駅は支線の終着駅とは思えない立派な神殿造だった。そぼふる雨の中、参道を歩いて天満宮の境内に到着。そこかしこで牛の像が目に入ったが、後で調べてみると大宰府天満宮がなぜここにあるのかということに大いに関係していた。菅原道真が亡くなった後、遺骸を牛車で運んでいたところ、牛車を曳いていた牛が突然立ち止まって伏せ、そのまま動かなくなったらしい。道真の弟子が「これが菅公の御心だ」と、牛が伏せた場所に道真を葬り、その場所が大宰府天満宮となったということである。だから牛が銅像になってるわけだ。
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金沢駅に到着後もやっぱりこうだったの図
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東尋坊をデザインしたヘッドマーク
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国鉄色パノラマグリーン・クロ481-2000台
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今春で1往復に減る485系の特急雷鳥
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ひかりレールスターで一気に博多へ
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西鉄電車に乗り継いで大宰府へ
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大宰府天満宮を模した神殿造の駅舎
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祝日らしく国旗が掲げられた参道
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菅公の遺骸を乗せた牛車に由来があるとか
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心字池に架かる太鼓橋より次の橋を望む
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季節がら受験生風の若者が多いさて本殿に到着し、お参りもそこそこにお目当ての飛梅を鑑賞。狙い通り満開で、来た甲斐があるというもの。飛梅は、菅原道真が京都から大宰府に左遷されたときに、京都の邸宅にあった梅が主人を慕って一夜のうちに大宰府まで飛んできたというもの。道真が京都を出る時に詠んだ「東風吹かば
匂ひをこせよ 梅の花 主なしとて 春な忘れそ」という歌とあいまって、私が好きな伝説のひとつである。
天満宮でひとしきり感慨にふけった後は、「興味はないけど、せっかくここまで来たんだから」という理由で、九州国立博物館を訪ねた。
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ようやく本殿に到着。右手には飛梅が
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早春の大宰府ならではの満開の飛梅
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桜の花もいいけれど梅の花に春の息吹
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菅原道真を慕って京都から飛んできた
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せっかくなので九州国立博物館も
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境内では白梅だけでなく紅梅も満開
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九州国立博物館をバックに筆者
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日航と静岡の文字の同居もわずか興味のある人は何時間でも居られる場所だが、私は駆け足で展示物を眺めた。特別展で見た豊臣秀吉の夭折した子「鶴松」関連の展示が印象に残った程度だった。
帰りは、この3月で静岡空港から撤退する日航機に「お別れ搭乗」。静岡空港は土砂降りで、今後の日本航空を暗示しているかのようだった。 |
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西鉄自慢の3000系急行で天神へ
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雨の静岡空港に日航機がたたずむ
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<おしまい> |
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