35周年の Spring Tour
ようやくJR東海のリニア・鉄道館を初訪問

浜松から豊橋へは新幹線でわずか12分。しかしSpring Tour旅立ちで使うとなると普段とは全く車窓が違う。自由席に座れば聞く曲はひとつ。Tスクエアの「宝島」。このホームページでもたびたび話題にしているが、春旅用に編集した最初のカセットテープの1曲目である。高校1年で吹奏楽部に在籍している姪と今年の正月にこの曲の話題で盛り上がり、あらためてこの曲を1曲目に選んで良かったと思った。

さて1987年に始めた恒例のSpring Tourは、今年35周年を迎えた。本当なら沖縄の万座ビーチに行くはずだったが、沖縄県内に重点措置が発令されて断念。同じプレミアムフロアでも、インターコンチネンタル万座ビーチリゾートとクラウンプラザ岡山では雲泥の差だとは思うが、夕方17時以降のラウンジでのハッピーアワーが楽しみである。あっとう間に豊橋に着いて名鉄パノラマスーパーの展望席に乗り継ぐ。岐阜方面行きでは後ろ向きに走り、後面展望となるが1時間弱に渡ってビデオカメラを回した。その結果は右下の動画をご覧あれ。

名古屋からはあおなみ線に乗り換え。まっすぐ岡山に向かわないのは、今年の3月末で期限切れとなる「リニア・鉄道館」の招待券を持っているからである。株主に対して渋ちんのJR東海には珍しく無料入場券を送ってきたので、その思いは無駄にしたくない。また、あおなみ線は末端区間の野跡~金城ふ頭間が未乗となっており、リニア・鉄道館最寄りの金城ふ頭駅まで乗り通せば、あおなみ線完乗となり一石二鳥である。その末端区間の動画もアップしているので興味があったらどうぞ。


みそかつ入り幕の内で呑みテツ

終点の金城ふ頭駅を降りると目の前にリニア・鉄道館の建物が鎮座してる。10時の開館時間を待って入場。展示車両にまつわるうんちくをブツブツ言いながら30分ちょっとでひと回りした。その昔、飯田線の佐久間レールパークに置いてあった車両も多く、久々に再会して懐かしい思いだった。その模様は長編の動画でYoutubeにアップしているので、よろしければ右下の画像からアクセスよろ。

復路のあおなみ線は目標より1本早い電車に間に合い、名古屋駅11時17分発のぞみ217号に変更。エクスプレス予約だと、このような予定の微調整がきいて誠に助かる。で、選んだ席は話題の7号車「S Work」車両。しかしながら実態は他の車両とそれほど変わらず、15号車や16号車よりも明らかに混んでいるように思えた。それなら私は端っこの車両で十分で、おそらくもう「S Work」は予約しないと思う。

その7号車で1,000円で買った駅弁を肴に呑みテツを始めた。名古屋を出発した途端に雪が本降りとなり、新岐阜を通過すると明らかにスピードダウンし始めた。スプリンクラーの効果で線路上の雪は無かったので、おそらく吹雪のため見通しが効かず減速しているのではと類推した。米原を過ぎると雪が無くなり、回復運転で全速力の走りを堪能。新大阪到着時点では、ほとんど遅れを解消していた。

新大阪で次の列車を待っていてはたと気付いた。次に乗るのはひかり507号岡山行き。静岡、浜松に停車するおなじみのひかり号である。リニア・鉄道館を出るときに運行状況を確認したところ、東海道新幹線に遅れが出ているので、少しでも早く新大阪に着いた方がいいと思い予約変更したが、のぞみ号が遅れればひかり号も同じように遅れるので、予定を早めなくても良かったのだ。というわけで新大阪駅で無為な時間を過ごし、13時少し前、ほとんど定刻でひかり507号に乗り込んだ。新大阪までのS Work車両と同じ号車と席番号を予約していたが、当然ながらひかり号の方はガラガラだった。アルコールが進んだことである。

今回、新大阪と岡山の往復はJR西日本の企画きっぷ「おとなびWEB早得」を利用した。こだま号あるいは各駅停車のひかり号限定であるが、新幹線自由席でも定価5,610円のところが、なんと往路2,370円、復路2,450円。なぜ往復で値段が違うのかよく分からないが、とにかく激安である。普通だと遠距離逓減制の恩恵を受けてきっぷは通しで買った方が得になるが、このきっぷを使うと新大阪できっぷを分けた方が安くなるのである。50歳以上でないとおとなび会員になれないが、中高年の方はちょっと知っておきたい情報である。

うららかな山陽路の陽光を浴びてSpring Tourっぽくなったころで岡山に到着。西口のペテストリアンデッキに直結しているANAクラウンプラザホテル岡山に14時半ころチェックイン。ラウンジアクセス付きのプレミアムフロアを予約しているが、ANAの株主優待割引で1泊8,240円と格安である。18階のクィーンベッドルームからの眺めについては、右下の画像から動画に進んでいただければご覧になれるので、よろしかったらどうぞ。

お楽しみの20階のスカイバー&ラウンジ洊(せん)には16時過ぎに出掛けた。17時まではティータイムで、スイーツのセットとコーヒー、紅茶などのセットが無料でいただける。そのまま17時を過ぎて居座ることも可能で、この日は16時50分頃アルコールのメニューに変わり、まずはハイネケンを頼んだ。つまみに簡単なスナックも付いてくるので、飲みながらバクバク食べる私のような人種でなければ十分に2時間くらいくつろげるのだと思う。

ビールはあっという間に終わり、次に赤ワイン、そして「戸河内」というウィスキーの水割りと、徐々にレベルを上げていく。この頃になると西の空に太陽が沈んでいこうかという時間帯である。そろそろと思い、私はスマートフォンを操作した。ヘッドホンからはエリック・クラプトンの2001年のアルバム「レプタイル」に収録されている「アイ・エイント・ゴナ・スタンド・フォー・イット」が流れる。「これ、これ!」と私はひとりごちた。

このアルバムがリリースされたころ、私は今回と同じようにSpring Tourで岡山を訪問した。岡山駅西口のホテルでFMラジオから流れてきたのが、スティーヴィー・ワンダーが1980年のアルバム「ホッター・ザン・ジュライ」で歌っていた「疑惑」のカバー曲。エリック・クラプトンの合いの手のようなギターとホンキートンク風のピアノがカッコイイ曲だった。あれから21年の時が過ぎたが、もうホームページを始めている頃で、私の中ではそれほど古い思い出という感覚はない。それでもSprinng Tourの季節が来るたびに「あの春の夕方を再現したい」と狙いかれこれ21年。ようやく今回そのシーンを再現。岡山に泊まってよかった!

18時すぎにラウンジを後にして自室で呑み直す。ちょうど高木美帆選手が1,000mで金メダルを獲得決定したところで、いいタイミングだった。過去、冬のオリンピックとSpring Tourの日程が重なることが多く、今年もそんな旅の想い出ができた。

いよいよ酔っぱらってベッドでうとうとし、目覚めたらちょうど真夜中。もちろん寝ようとしたが、寝られなかったので、明日も休みだし覚悟を決めて起きることにした。右の画像は、ちょうどそのくらいの時間に撮った夜景である。ひまつぶしにYoutube動画の編集をしていたが、持ってきたPCはWindows7世代(10に無理やりバージョンアップしているが)なので、編集に時間がかかって全くはかどらない。途中で二度寝、三度寝にチャレンジするも、気が付いたら下のような画像が撮れてしまった。


岡山駅新幹線ホームに朝日

翌朝は岡山駅に9時40分に入線してくる、こだま840号をホームで出迎えるために、9時半ころホテルをチェックアウト。目論見どおり700系レールスターの入線シーンは撮れたが、岡山駅を発車し、最高速に達するまでのシーンはなぜか撮れていなかった。右下の一番最後の動画が、どことなくバランスが変なのは、それが影響しているかもしれない。まぁそれはさておき、新大阪までがこの旅を「Spring Tour」と呼べる最後の区間なので、BGMはとっておきのものを聴いた。それはエア・サプライの「アイ・キャン・ウエイト・フォエヴァー」。アバの「ザ・ウィナー」を評して「果物は腐りかけが美味い」と旅のページで書いたことがあるが、この曲もそんな曲である。1980年代前半に世界的な大ヒットを飛ばし、一時代を作ったエア・サプライだが、80年代後半になると人気が翳っていった。この曲はピークを越えた後にリリースされた曲で、1985年はじめの私が大学受験をしていた頃によく流れていた曲である。真っ暗な中、一筋の光明が見えるような曲調に、当時の私の心は癒されたものである。そんな経緯があって、その後Spring Tourに持って行くようになったが、いかんせんピークを過ぎた頃のエア・サプライの曲なんて周りの人は誰も知らない。だからこの曲も「果物は腐りかけが美味い」と思ってしまうのである。

岡山から約80分かけて新大阪に到着。これでビデオ撮影はオールアップ。少なくとも名古屋までは呑みテツが可能である。名古屋への移動手段は近鉄特急ひのとり。今日はレギュラーシートの予約だが、窓は1席にひとつ、そしてリクライニングしても後ろの席に影響がないシートなので、基本的にどの席を予約してもそれほどハズレがない。ならば乗り心地のいい真ん中あたりを押さえるのが無難である。アルコールの方は、昨日残ってしまったウィスキーの水割りと、コンビニで買ったペットボトルに入った安い赤ワイン。昨晩というか今朝というか、睡眠不足がたたったのでワインで悪酔いしてしまった。フラフラになりながら近鉄と名鉄の連絡改札を通り、往路と違い今度は前面展望となったのに、パノラマスーパーの展望席(前から5列目)で昼寝を決め込んだ。余談だが、展望席の最後部の5列目の席は意外と居心地がいいのでおススメである。で、目覚めると東岡崎を発車したところ。大阪~奈良~三重と雪こそ降らないが陰鬱とした雲の下を走っていたのと比べると、目の覚めるような陽光の下を走っている。今年のSpring Tourを締めくくるに相応しい車窓だった。


名鉄パノラマスーパーの後面展望。東岡崎→知立版知立→名鉄名古屋版もあり


野跡→金城ふ頭のひと駅のみ未乗のまま残っていた「あおなみ線」


近くにありながらなかなか行けなかった「リニア・鉄道館」に初訪問


関ケ原付近の大雪でダイヤが乱れた模様


岡山駅を発着する列車が眺められる


岡山市内で十指に入る高層ビルのANAクラウンプラザホテル岡山18階客室からの眺め


プレミアムフロアに8,240円で宿泊し、20階ラウンジでのハッピーアワーを楽しむ


こちらの700系新幹線は車内でタバコが吸えないが、おとなび会員なら格安で乗車可能

<終>

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