Spring Tour 2005

The Long And Winding Road


セントレアの名所・ちょうちん横丁


(⇒)今年2月17日に開港した中部国際空港「セントレア」は、ちょうちん横丁などのショッピングゾーンや、日本初の空港展望風呂があったりと、本来の空港の目的以外の施設が充実している。開港当初は、もの珍しさも手伝って大混雑だった。約1ヶ月を経過した今日は、だいぶ騒ぎがおさまっていたが、やっぱり空港見物が目的のお客も数多く見られた。見物客の混雑に巻き込まれるのはイヤなので、早々にチェックインしてセキュリティエリア内のラウンジに逃げ込もうと思ったが、横風が強くてチェックインは見合わせとなってしまった。


日本唯一の空港展望風呂


本来ならば、チェックイン済みの搭乗券がなければ入れないセキュリティエリアへの入場クーポンをもらったが、カードラウンジで一服しているうちに強風がおさまり、搭乗手続きが再開した。結局、そのクーポンは使わないまま手元に残り、お土産となった。セキュリティエリアのラウンジはANA、JAL共用ということで、JAL側に合わせる形で全面禁煙である。搭乗前にタバコを吸いだめする人間にとっては「使えない」ラウンジで、狭いながらも喫煙コーナーがあった小牧時代に比べてラウンジにいる時間が短くなりそうである。

11時40分の定刻に遅れること30分、ようやく松山行きANA1825便はセントレアを出発した。ボンバルディアDHC8-400という機種で、比較的最近導入されたプロペラ機である。名古屋→松山のような近距離では、ジェット機のような高度まで上昇しなくてもいいので、巡航速度がジェット機より遅くても、所要時間は一緒くらいである。横に2+2列の座席配置は観光バスの車内のようだが、それでも小さなワゴンでドリンクサービスがあった。終始雲の下を飛んで松山には13時20分ころ到着した。

松山から足摺岬を回って高知の南国市まで向かう道のりを考えると気が遠くなりそうである。空港近くのお店でトヨタ・パッソを借り、3気筒の独特のエンジン音を楽しみながらトロトロと伊予インターに向かう。松山道に乗って少しはペースが上がったが、対面通行区間ばかりで普段の高速道路のペースではとても走れない。長い長い道のりである。そのうち小雪まで降ってきた。「Spring Tour 2005」と銘打ちながらスキー場へ向かっているような感じである。そういえば昨年のSpring Tourもせっかく沖縄まで行っておきながら、ガタガタ震えていたっけ・・・。

有料道路区間も西予宇和インターで終了。ここからは国道56号線(通称宇和島街道)を行く。宇和島付近の混雑を抜けると逆光の水平線が広がる。国立公園に指定されている宇和海に沿って走る。小さな集落をひとつひとつこなしていくと、次の目標地点の宿毛○○Kmという数字が徐々に減っていった。

先日、特急がオーバーラン事故を起こした宿毛駅を横目に見ながら国道321号線に入る。いよいよ足摺岬の玄関口土佐清水に通ずる道である。2時間半もぶっ続けで運転しているので、さすがに疲れを覚えた。先を急ぐ旅だけど、たまらず「道の駅すくも」で休憩をとった。夕日がきれいな場所らしく、大きな看板には「だるま夕日」と呼ばれる、海に沈む夕日が描かれていたが、あいにくの曇り空で望むべくもない。せっかく四国に来たのだからと、茶店に入りうどんを食べた。3月中旬とはいえ真冬並みの気温だったので、うどんの温かさが身にしみた。

土佐清水市街を抜けて、足摺スカイラインに入る。ここまで200`を走りづめできたが、その疲労に追い討ちをかける、コーナーのきついワインディングロードである。時刻は18時を回り徐々に薄暗くなってきた。ヘッドライトをつけたクルマが目立つようになり、ちょっと焦りを覚えた。やっとの思いで峠を越えて、下り坂になると木々の間に海が見え隠れする。遥かな道を走り抜け、ようやく足摺岬に到着した。

岬の灯台への道のりは、既に足元がおぼつかないほど暗くなっていた。それでも、ここまで来たのだからという思いで、岬の突端の「もうこれ以上行けない」というところまでは往復した。ここが旅の折り返し点。色を失って、水墨画のような色彩になった足摺岬を後にした。

ここからはナイトドライブ。足摺岬に着くまでは、手持ちの音楽を聞きながら走ってきたが、人気のない暗い夜道をひとりで運転するのはあまりにも淋しく、AMラジオのスイッチを入れた。驚いたことに何百`も離れた東京のニッポン放送の電波を受信できた。「これはいい!」と、結局、南国市のホリディイン高知に到着するまでの3時間、ドライブのお供になった。

翌朝の高知は快晴だった。しかし冷え込みはきつく、四国山地を越える高知道の山々は雪で白くなっていた。愛媛県に入ると一転して、どんよりとした曇り空。横風も強く典型的な冬型の気候に変化した。2日間で500`走り、今治でレンタカーを乗り捨てた。

今治駅からは、福山行きの路線バスに乗車した。1999年7月に今回と同じように、しまなみ海道のバスに乗ったが(「しまなみ海道〜梅雨の向こう側へ」参照)、あいかわらず楽しくなる路線である。島と島を結ぶ橋は、それぞれ特徴があり、また、高速道路が全通していないため、ゆっくり一般道を走るのもかえって好ましい。ひとつひとつ丹念に島を巡っていく渡し舟的な雰囲気である。

福山到着が11時半過ぎ。次のひかりレールスターは1時間後なので、駅前の福山城に立ち寄ることにした。こんなに駅前にありながら、都心の喧騒から隔離された別世界にワープできた。再び降り始めた冬の名残の雪とあいまって、まぼろしのようなひとときであった。

新幹線に乗ってしまえば、もう浜松に帰ったようなものである。途中、新大阪で乗り換えをしなければならないが、レールがつながっているという安心感がある。その反面、何百`も離れていようが、旅の終わりを実感してしまい、現実に引き戻されてしまうのであるが・・・。雪は断続的に降り続き、関ヶ原付近は、まるで東北あたりの雪国に迷い込んだようだった。春本番が目前に迫ってはいるが、今シーズン最後の伊吹山の雪景色を心ゆくまで味わった。

<おしまい>

3月の声を聞き、今年もSpring Tourの季節がやってきた。今年はどこに行こうかと思いをめぐらしていたが、しばらく行っていなかった四国に落ち着いた。四国には未踏の地が多いが、その中でも大物である足摺岬をメインに四国を半周するドライブルートを作り上げた。

2005年3月12日、朝7時。浜松駅バスターミナル11番のりばから、中部国際空港(セントレア)行き路線バス「e-wing」に乗車した。遠鉄にとっては久々の高速バス復活で、果たしてどれだけの需要があるか心配されたか゛、フタを開けてみたら、毎日続行便を出すほどの盛況で、ご同慶の至りである。今日も、浜松駅発車時点で30人ほど乗車し、浜松西インター駐車場には続行便も待っていた。東名に入れば空港までは全て自動車専用道路を走り、1時間25分で終点に到着である。快適なドライブだったが、問題点がひとつ。国際空港のアクセスバスだから、当然英語のアナウンスは必要に思う。先月、台湾に行った折、台北空港から市内へのリムジンバスで、目的地のバス停で降りられず、終点まで連れて行かれたのは、ひとえに中国語のアナウンスしかなかったためである。もし逆の立場だったら日本語のアナウンスだけでは不安だろう。(⇒)


浜松駅バスターミナルを出発!


「e-wing」のロゴをひっさげてセントレアに到着


スカイデッキでたたずむ人々


松山行きANA1825便に搭乗


ANAカラーのDHC8-400が松山に到着


「道の駅すくも」にて筆者とパッソ


足摺岬の灯台型モニュメント前で


岬の突端の「もうこれ以上いけない」場所


展望台から足摺岬を見下ろす


ホリディイン高知で迎えた冷え込んだ朝


峠は雪化粧;高知道・馬立PAにて


しまなみ海道を走る福山行き中国バス


しまなみ海道のハイライト多々羅大橋


福山に到着・駅前にはボンネットバスが


福山城を背景に寒そうな筆者


季節はずれの雪が舞う新大阪駅にて


伊吹山を通過する頃は雪国の様相


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