2日目は、もう少し南に下り、房総半島も南端に位置する千倉町の「道の駅ちくら潮風王国」を視察しました。
この付近の海は昔は鯖やさんま、ブリやマグロも採れていた。一時は100隻からの漁船が漁に出ていた。
(そのモニュメントの意味で当時の漁船を再現し、公園に据え付けている。)
乱獲と自然破壊(漁場になる豊かな海は「根」がある→回遊魚であっても産卵場所など海藻などが多い基点となる海域を「根」と言うらしい。その「根」が鯖を集めるための大量の撒きえ(いわしのミンチ)の沈殿で、海底の岩場が腐り、海藻も涸れて、だめになってしまったのだそうだ。)により漁獲量が激減、漁船による漁はもう行っていない。漁業に従事している人も30人あまりとなり、アワビやイセエビなどを育てる漁業に転換しているが、これも海藻の減少などで頭打ちであり、密漁の頻発なども合わせて厳しい状態だという。
最初はこうした漁業振興を目的にキヤッセと同じように国の補助金から事業計画を立て、三セクとして出発した。建物の仕様は高規格(公共施設ってほんと、良いつくりです、贅沢といっていい。)、有名なデザイナーによる設計でレンガ一個まで特注。総事業費は公園部分も含め約14億円。キヤッセとほぼ同じ事業費を投入している。
管理運営をしているのは、千倉町が52%、地元漁協が48%を出資して設立した株式会社千倉黒潮物産センター。正社員はわずかに4名。マネージャーはOPEN以来、ほとんど休みなし(年末年始、繁忙期は定休もなし。たまの休館もメンテなどのため結局休めないんだそうです。)精力的に営業(旅行会社等)にも出向き、閑散期には「さんまの掴み取り」などイベントを企画し集客している。 社員は少なく繁忙期はつらいが、閑散期にまとめて休みをとるようにということで頑張っている。なにしろ、役所の人ではない根っからの民間人(海を守る仕事をしていたとのことでした。)。とにかく、仕事に情熱をもつ姿勢に訪問議員一同感銘を受けました。
直営部門の鮮魚販売は年間1〜2億円の売上。さらに、u辺り3000円のテナント料が収入源。
そのテナントも定着しており退去もない(ということは採算がとれているということか)。 なんと開業直後から単年度黒字が続いている。
写真で見てのとおり、建物のイメージはレンガ倉庫。なかはフォークリフトが入れる、実際に魚市場として機能するように設計されていた。が営業してみると人が多すぎて危なくて、そうした機能は活用されていない。当初の目的に合っているどうか分からないけど、水槽内にはサメやらイカやらが泳いでるし、とにかく活気がある。
多くの観光客に喜んでもらえ、地場産品や地場の魚も売れ、地元で働く人の雇用を創出し、利益を出し、納税までしている。なにしろ、写真の最後のように道路の反対側には地元の農家が花摘み・花売りの小さなお店をたくさん出していて、それだけでもかなりの経済波及効果をもたらしていることがわかる。同じように予算をつぎ込んだ羽生は、どうなんでしょうか。
何が違うのか・・・。羽生は観光地じゃないから?それは答えではないと思う。やはり人の問題でしょう。
経営者の人柄、やる気、知恵、努力。一人の人間の力がここまで大きな影響を地域に与えるものか、と感慨無量でありました。
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