エコー


 最近はカラオケも誰もがする時代になって、「おーい。もう少しエコーかけて!」なんて、言うことをよく言ったりします。そのおかげか、エコーがするコンサートホール、エコーがする音楽室なんて聞くと非常によいコンサートホール、音楽室ではと思う人がいるかと思いますが、それは大きな間違いです。
echo-14k  いろいろ辞書で調べると、

エコー(echo<ギリシャ語 ekho(妖精の名前)<echo(音))
@こだま、山彦、反響
A放送などの残響装置、声の響きをよくしたり、山彦効果を作ったりするため、反響・残響をつける装置
>B以下関係ない項目でした。

 カラオケで言うエコーは声の響きを良くするという意味で使われています。建築音響学においては@の意味で使われます。

 最初のに書いた「エコーがするコンサートホール、音楽室は良いコンサートホール、音楽室といえるのか?」という問については、最悪であるという答えをしなければなりません。すなわち、エコーがする室内空間は決して作ってはいけない音楽空間なのです。

 では、建築音響学で言うエコーとはなんなのか?簡単に言えば、山などで「やっほー」と言うと「やっほー」と返ってくる山彦です。山彦は声が遠くの山に反射して返ってくる現象ですが、室内においてもその現象が起こります。これをエコーと呼びます。建築音響では直接聞こえる音と反射して聞こえる音とが明瞭に聞き分けることが出来るときに「この室内はエコーがでるなぁ」といいます。

17m.gif-21k  それではなぜエコーが発生するのでしょうか?映画やアニメにおいて、毎秒16コマから連続した画像に見られるが少しチラチラする。これが、毎秒20コマになると連続して見やすくなります。これは目の場合ですが、耳においてもこれと同じ事が言えます。断続音が1/16秒から連続して聞こえるようになります。音の速度を毎秒340mとすると、1/16秒で約20mになります。すなわち、直接音と反射音の距離の差が20mよりも長くなれば1/16秒以上の時間の差が出来て、耳に直接音と反射音とを区別することが出来るようになり、反射音をエコーとして聞くことが出来るようになります。ただし、いろいろな研究の結果、厳密に言うと直接音と反射音の距離の差が17m以上でエコーが発生する環境になると言われています。

 建築音響においては直接音と反射音の距離の差17mをこえないようにすればエコーがでない空間が作れるのですが、大ホールなどになるとそれは難しくなります。そこで、エコーを出さないように工夫しているのです。

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