帰ってきたビバンダム〜ミシュランMXKの感想
私は正直言って犬キャラ号2代目のタイヤであるブリヂストンB65(そう、「ドーナツ効果」でお馴染みのBシリーズ)にかなり不満を持っていました。とにかく、タイヤの特性がパンダと合わないのか、終始サスペンションと喧嘩をしているようなフィーリングで、高すぎるグリップも含めてクルマに対する攻撃性が高いのがとても嫌でした。しかし、タイヤ自体のレベルは決して低いものではなく、例えば路面がいいときの羽が生えたようなスムースさには感動したものですし、ウェットグリップ、耐久性もなかなかで、問題は純粋なマッチングと細かいチューニングでしょう。
そういうわけで、まだまだ寿命にはほど遠いにもかかわらず(結局9000kmしか走ってない)、どうにも我慢できなくなった私はローンの返済後、ほんの少しだけ残ったボーナスを握りしめカーショップへ向かいました。その前から幾つも候補は考えていて、標準だったミシュランMXLの後継モデル、MXTは言うに及ばず、ブランドとしては嫌いだけどやはり相性はいいであろうピレリP2000とか、あとユニロイヤルなんかのマイナー系欧州ブランドや70扁平に変えることまで本気で考えていました。
結局、今までの経験からもミシュランが一番無難だとと思い、MXTをオーダーしようとしましたが、あいにく代理店にも在庫が無く、今すぐには入らないと言われました。別にそれでも良かったのですが、その時店員が「MXKならウチに在庫がありますよ」と言いました。「え?MXK??」不覚ながら私はこのタイヤのことを知らなかったのですが、その名の通り軽自動車用で、日本専用モデルとのこと。「日本専用モデル」というのが引っかかったので、1本だけあったMXTと並べて入念にチェックしてみました(素人が何を見ると言うんでしょうね!)。
まず気になったのは、同じサイズであるはずなのに”K”の方がちょっと細く見えること。トレッドがちょっと撫で肩になっているせいでしょうか。そのトレッド表面を見ると”T”に比してシンプルなパターンで、ウェット性能では劣っていそうです。そして、持ち上げると僅かながら”K”の方が重い。これはマイナスポイントです。肝心の乗り心地に大きく影響するトレッドやサイドウォールは、指で押したりしても違いがよく分からなかったので、コンクリートの床に、力加減を変えたりしながら叩き付けたりしてみました。そうすると、”T”と”K”では明確な違いがあり、”K”が「ボン」という感じのこもった音と共に柔らかく衝撃を吸収するのに対し、”T”はパシッという硬質な手応えで反力も強い。明らかにダンピング特性にも違いがあります。今回のタイヤ交換はシャーシへの攻撃性低減というのが最大の目的なので、”K”にする事に決めました。しかし、こんなコトしてタイヤ選んでいる人っているのでしょうか?(笑)。ちなみに値段は”K”の方が1本当たり500円くらい安いです。
ずいぶん長い前置きでしたが、いよいよ取り付けて1日走り回ってみると、思っていた以上にパンダとの相性が良く、また私の好みにバッチリ合ったタイヤでありました(^^)。
まず乗り心地の良さ。B65よりも、記憶にあるMXLよりもソフトで静かで快適、なによりボディに優しい感じが嬉しい(自分より犬キャラ号の為だったからね!)。にもかかわらず、ボヨンボヨンするどころか、むしろ非常に姿勢がフラットになりました(といっても、パンダの基準で(^^;))。どういう訳か、路面の凹凸に対して、突っ張らずにスッスッと足が動くようになったんですね。特に、B65の時はフロントが終止ピクピクと不快な上下動を繰り返していた(後ろだけ新品のダンパーが入っているせいもある)のがウソのように消え去ったのは驚きでした。よほど、ダンピング特性が犬キャラ号と合っているんでしょう。あと、これほどソフトなのにMXLみたいにコーナーで腰砕けになってしまわないのも好感が持てます(後述するようにグリップが低すぎるだけかもしれないけど(^^;))。
そして、走り。中立付近でどうにも頼りないフィーリング(これはもともとパンダの持つ資質でもある)のため頼りなかった直進性がすっかり改善され、そこから切り込んでいくときのナチュラルさもB65とは比較になりません。B65では舵角によって手応えが妙に変化していっていたのですが、MXKはどこまで切り込んでも一定の手応えで、その手応えも軽いのに明確な路面からの反力を示す絶妙の感触です。
で、走りでもみんなが気になるハンドリング。グリップ力では、MXKはかなり絶望的です。自分ではさして頑張ったつもりもないのに、盛大なスキール音と共にグリップを失うこともあり、ブレーキもロックしやすく、正直言ってアクティブ・セーフティの面で不安を覚えるほどです。B65ではアクセルオフやブレーキングで前輪に荷重を掛け、ステアリングを切り込んだ瞬間にノーズがインに飛び込んでいく感覚を楽しんだものですが、MXKではまったくそういう挙動を見せなくなります。MXKでは、ターンインはあくまで穏やかで、これをもって「アンダーステア」と勘違いしてしまう人がいそうなくらい。グリップは前述の通り低いのですが、反応が穏やかなのでバランス的にはとてもいい。なにより、コントロールの容易さが嬉しく、ラインを数cmのオーダーでコントロールするような、繊細なコーナリングが楽しめます。ブンブン振り回せるかわり、細かいコントロールの難しかったB65とは対照的な性格ですね。
言うまでもありませんが、このグリップの低さ自体がクルマに対して優しいことが、最も重要なんです。
もう一つ、MXL/MXTやB65に対してシンプルなトレッド・パターンのため、あまり期待していなかったウエット性能ですが、思ったよりもグリップは高いし、水はけもいいです。ま、この点ではB65も素晴らしく、グリップ力ではB65の方がちょっと上、対ハイドロプレーニングでは同等、コントロール性ではMXKと、ほぼ互角の戦いと言ったところです。いずれにしても、パンダの場合、タイヤよりもワイパーの性能で雨中の走りが制限されてしまいますからねぇ・・・(^^;)。
MXKの一つ気になったのは、転がり抵抗が大きいのか、なんか何かを引きずって走っているような気がすること。この点はB65が飛び抜けて素晴らしい部分ですし、シリカをコンパウンドに配合したりして転がり抵抗を減らしたMXTなんかに対して、設計の古いMXKの不利な部分でしょう。
要するに、MXKはとても好感触だったわけですが、これはパンダの重量、パワーが軽自動車そのものであることと無関係ではないでしょう(笑)。
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