「粉もん文化」
大阪と言えば、お好み焼き、タコ焼き。実際、お好み焼き屋は2231軒、タコ焼店は642店あり、東京を大きく上回っている。
大阪のお好み焼きは、キャベツやねぎを混ぜた生地を鉄板に流し、豚肉・牛肉は鉄板で炒めて後からのせて焼く。ボリュームのある具と合わせて焼き上げ、マヨネーズやソースをたっぷりと塗って食べる。これを見ると「関西は薄味」とは到底思えない。
大阪のお好み焼きはお客が作ることはない。ほとんどの店では店の人が焼いてくれる。これこそ、大阪人気質から生まれたシステムなのである。店の人がお好み焼きを焼いてくれるのは、お客側からは、作っているのが見える店が多いため、イライラして待つことがない。店側としても早く作ることができるので、お客の回転率が上がるという一石二鳥になっているのである。
大阪はお好み焼きに加えて、うどん屋もたこ焼きの店も多い。
一般家庭では一家に一台たこ焼き器があると言われぐらいだ。

「かしみん焼き」
かしみん焼きとは、水に溶いた小麦粉を鉄板に丸く伸ばし、キャベツ、ねぎ、ショウガ、鶏肉(かしわ)、最後に牛脂のミンチをのせて焼いた料理。ソースを塗って食べる。お好み焼きの一種で「だんじり」で有名な岸和田市の地元料理である。関西でいう「かしわ」(鶏肉)と牛脂の「ミンチ」を乗せたものであることから、「かしみん」と呼ばれるようになったそうだ。お好み焼きを薄く焼いたような食べ物といってよい。鶏肉だけでは、焼くとぱさついてしまうが、牛脂を加えることによって、焦げ付きが防げるうえ、ぱさつきを押さえて味も濃厚になり、香ばしい焼き上がりになる。生地のぱりっとした食感と、鶏肉の「コリコリ感」が特徴だ。 このかしみん焼き。とにかく安い。オーソドックスな「かしみん焼き」(380円)のほか、「ねぎマヨ」「親子」「チーズ」(各430円)などがある。さらに驚くのは「粉から焼 130円」。粉空焼、つまり、具なしのものもあるが、魚粉の風味がきいていて、これが結構うまいのである。大阪人はとにかく金銭感覚が鋭い。問屋の街の歴史から価格意識が強く、いかに安く買ったが自慢になるほど。お中元、お歳暮も砂糖など重くてかさばるものが人気。なかでも、岸和田など泉州地域は価格意識が強いので、安くしないと評価されない。 かしみん焼きは、大阪人にもってこいの食べ物なのである。

ミックスジュース
ミックスジュースとは、その名の通り、複数の果汁を混ぜ合わせた飲料。日本では特に、牛乳とさまざまな果物をミキサーで攪拌した飲み物を指す。1970年代にジューサー・ミキサーの家庭普及により日本全国に広まるが、その後、清涼飲料水の普及によりすたれていくものの、2000年代でも近畿地方を中心に残っており、愛飲されている。近畿地方の喫茶店では定番メニューであり、主要鉄道駅構内にジューススタンドがあり、定番のミックスジュースをはじめ工夫を凝らした数種類のミックスジュースが販売されている。 1杯140円前後という手頃な価格も人気のヒミツのようだ。(社団法人 日本酪農乳業協会 「牛乳百科事典」) 注文を受けると一瞬だけミキサーを動作させる。これは、沈殿した果汁の粒をかき混ぜ均一化させるため。また、冷たさを保ち、どろどろ感をやわらげ飲みやすくするために、氷を果物と一緒にミックスさせてあることが特徴だ。基本的には、バナナ、みかん、黄桃に砂糖が入っている。 大阪の人は金に細かいといわれるが、正確に言うとコストパフォーマンスにこだわるタイプ。価値があれば金払いはいい。1杯140円という手頃な価格で、バナナ、みかん、ももなどの果汁が入っているミックスジュースは、一杯で三杯分が楽しめるのだから、いかにもお得。 大阪で人気があるのは当然なのである。

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