「味付けかしわ」
鶏肉に味噌タレをまぶしたもの。「かしわ」と言えば西日本。味付けかしわは、滋賀県の湖西地区のご当地グルメ。焼いた鶏を売っているのではないので、家に持ち帰って焼く。あっさりした鶏肉とこってりした甘辛のミソダレは相性はバッチリ。鶏肉は若鶏と親鶏があり、若鶏は子どもやお年寄向き。
昔から高島市近辺では「とんちゃん」と呼ばれている味付けかしわがあった。一昔前までは、焼肉と言えば「とんちゃん」、ちなみにカレー入れるのも鶏肉だったという。その「とんちゃん」は、昭和38年頃に生まれたらしい。今では味付け地鶏は珍しくないが、高島市にある「かしわ店 鳥中」が全国の味付けかしわの発祥の店と言われている。高島では昔から家庭の味として親しまれているという。
滋賀といえば近江商人。「近江泥棒」といわれたのは、近江商人の成功が妬まれたため。近江商人は近江で作られて蚊帳、麻布、畳表やちりめん、薬などを担いで、全国各地を行商し、成功を収め、江戸時代には大阪や京都に大きな店舗を構えた。味付けかしわは、価格はリーズナブルだし、タレの味も濃い方なので他におかずがなくてもご飯が食べられる。このへんは、いかにも節約精神十分の近江商人の発想らしい。
「サラダパン」
サラダパンというと、一般的には、コッペパンにポテトサラダをはさんだものだが、滋賀県北部のサラダパンは、自家製コッペパンに、たくあんをマヨネーズであえたペーストをはさんだもの。これは地元「つるやパン」の看板商品。今までは滋賀県へ行かなければ食べられなかったが、最近ネット通販でも帰るようになった(1個130円)。
つるやパンは、滋賀の湖北の人にとっては、子どもの頃からおなじみのパン屋さん。50年ほど前に、今の社長の祖母が、甘くないパンはできないだろうかと考えて、思いついたのが、たくあん。当時、滋賀県では自宅で大根を干してたくあんをつくる習慣があり、「たくあんも野菜だから、サラダになるのでは?」ということでマヨネーズであえて挟んでみたのがはじまりだったのだといわれている。地元ではたくあんと気づかず、子どもの頃から食べ続けている人も多いのだそうだ。
ご当地グルメ研究所