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一 括 講 読

投稿時間:06/03/19(Sun) 18:43:59
投稿者名:しんじ
ホスト名:EATcf-482p60.ppp15.odn.ne.jp
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タイトル:労使協定について
労基法24条の通貨払いについての過去問で解答の解説に「通貨払いの例外として認められているのは労働協約に定めがある場合であって、労使協定ではありません。とありました。以前から『法令>労働協約>就業規則>労働契約』という解説をみる度に労使協定はどこに位置するのだろう?と思っていました。労使協定は組合も含めた経営者と従業員代表との約束で労働協約は経営者と組合との約束で労使協定の中に労働協約も含まれていると理解していましたが、しっくりきません。労使協定はどこに位置するのでしょうか?馬鹿な質問かもしれませんが、教えてください。

投稿時間:06/03/19(Sun) 20:00:17
投稿者名:nemuta (ID: Un1NN0c)
ホスト名:p8494eb.osaknt01.ap.so-net.ne.jp
Eメール:nemuta@abox.so-net.ne.jp
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タイトル:Re: 労使協定について
労働協約や就業規則と、労使協定はその法的性格が全く違います。

労働協約や就業規則には規範性があり、使用者は、これらが適用される労働者に対し、その内容に従って労働することを命じることができます。

しかし労使協定にはこの規範性がありません。

従って例えば、36協定を締結しこれを行政官庁に届け出ても、ただそれだけでは、使用者は労働者に時間外・休日労働をさせることができないのです。

この場合、「時間外・休日労働させる場合がある」旨を就業規則等に規定しておかなければなりません。

それでは逆に、「時間外・休日労働させる場合がある」旨を就業規則等に規定してある場合に、36協定無しで時間外・休日労働させるとどうなるかというと、これは法第32条違反になります。

法第32条は使用者に、週40時間、1日8時間を超えて労働させてはならないと命じているからです。

しかし、法第36条は、36協定を締結しこれを行政官庁に届け出た場合は、その協定の範囲で法第32条違反を問わないと言っています。36協定を締結しこれを行政官庁に届け出た場合は、時間外・休日労働させても(社内ルールとしてさせることができるかどうかは別問題)、法第32条に違反しなくなるのです。

つまり労使協定の効果は、法が労使協定の存在を前提に法の制限を緩めていることにあります。これを免罰効果と呼びます。

労使協定の効果はこの免罰効果のみにあるので、労働協約や就業規則のような規範性はもたず、「住む世界が違う」のです。ですから規定の強弱関係の中にも出てきません。

ただ、労働協約は労組法第14条により、労働組合と使用者が合意した労働条件その他の労使関係に関する事項を書面にし、労使の当事者が署名又は記名押印したものですので、労使協定が過半数労働組合との間に締結された場合は、特段の事情がない限りはその労使協定は労働協約になります。これを労働協約となる労使協定といい、労働協約なのですから免罰効果と共に規範性を持ちます。ただし、規範性は労働協約の適用を受ける労働者(原則その組合の組合員)に限られます。

投稿時間:06/03/19(Sun) 22:21:27
投稿者名:しんじ
ホスト名:EATcf-482p60.ppp15.odn.ne.jp
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タイトル:Re^2: 労使協定について
労使協定は会社内の事業主と労働者の約束なので、それで定めている限りは行政官庁は会社内では話し合いがついている様だから文句はいわないよ。但し内々の話し合いだから約束を破っても法律的な拘束力はないよ。ということですよね。それが免罰規定と規範性と理解しましたが、今からじっくり熟考させてもらいます。有難うございました。

投稿時間:06/03/19(Sun) 23:16:03
投稿者名:nemuta (ID: Un1NN0c)
ホスト名:p8494eb.osaknt01.ap.so-net.ne.jp
Eメール:nemuta@abox.so-net.ne.jp
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タイトル:Re^3: 労使協定について
うーん、まあ、でも少しイメージが違いますね。

労使協定は、単に労働基準法の規制を緩和する(免罰効果を与える)場合に「こうしてくれたら規制をゆるめるよ」という条件のひとつとして、労働基準法に定められたルールに過ぎないと考えてください。

効果は「労働基準法違反を問われなくなる」ただ単にその一点だけです。

労働契約の元で、労働者が働くためのルール(規範)とは、根本的に全く別物なので、労働協約や就業規則と、労使協定を比較すること自体に意味がないのです。

「内々の話し合いだから約束を破っても法律的な拘束力はないよ」という考え方も違います。法律的な意味で言えば労使協定は労働基準法上の免罰効果を与えるのですから意味は大きいです。もし36協定に定められた時間や日数を超えて時間外・休日労働をすれば、それが仮に労働協約や就業規則で許された行為であっても法第32条違反(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)になります。

また、労働基準法上の労使協定とだけ見れば、その効果は免罰効果に限られますが、例えば就業規則に「労働基準法第36条に定める労使協定を締結し、これを行政官庁に届け出た場合は、会社はその協定の内容に従って時間外労働、休日労働を従業員に命じる場合がある。従業員は正当な理由がある場合を除き、これに従わなければならない」と規定されていれば、36協定の内容は規範性を有することになります。

しかしこれは、労働基準法上の労使協定として規範性を持つのではなく、就業規則が労使協定の締結を予定しており、かつ締結された労使協定を就業規則の一部として取り込む規定があるために、「労使協定が就業規則の一部になる」ために規範性を有することになります。

投稿時間:06/03/20(Mon) 09:01:06
投稿者名:しんじ
ホスト名:EATcf-250p250.ppp15.odn.ne.jp
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タイトル:Re^4: 労使協定について
う〜ん例えば休憩時間の一斉付与適用除外業種に18歳未満の労働者がいる場合、労基法では18歳未満の労働者は一斉に休憩を与えなきゃいけないのだけど、労使協定があったら一斉じゃなくても許してあげますよという許可を得る為の手段、これが免罰効果と考えればいいのであって、だから労使協定と労働協約の位置を考えるのは無意味で労働協約等のルールをサポートするものが労使協定と考えればいいですか?頭が固くてすみません。

投稿時間:06/03/20(Mon) 15:52:27
投稿者名:nemuta (ID: Un1NN0c)
ホスト名:p62debb.osaknt01.ap.so-net.ne.jp
Eメール:nemuta@abox.so-net.ne.jp
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タイトル:Re^5: 労使協定について
まだ少し固く考えてますね。もっと単純に考えてください。

例えば使用者が労働者に1日10時間労働させることは労基法第32条違反です。

しかし36協定を締結し、これを行政官庁に届け出れば、その労使協定に書かれた範囲内であれば、労基法第32条違反を問いません。(免罰効果)

免罰効果とは、このように「労働基準法の制限が緩むこと」ただそれだけのことです。他には意味がありません。許可を得る訳でもありません。労使協定の締結(36協定の場合は+届出)だけで免罰効果は発生します。

しかしその事業所のルール(規範)として、使用者が労働者に時間外労働を命じることができるかどうかは、全く別の問題として考えなければなりません。

仮に36協定があり、これを行政官庁に届け出て、その労使協定に書かれた範囲内の時間外労働を、使用者が労働者にさせようとしたとします。

しかしもしその事業所に時間外労働に関する労働協約や就業規則の規定が無く、また労働契約にもそれが書かれていない場合、36協定があっても使用者が労働者に時間外労働を強制することができません。従って労働者は使用者に命じられても時間外労働をする必要がありません。

こういう強制力を「規範性」といい、労使協定にはその「役割が無い」のです。

今回挙げられた例で言うと、確かに休憩の一斉付与除外の労使協定があれば、18歳未満の年少者も含めて休憩の一斉付与を除外できますが、労使協定だけでは、使用者はその労使協定に書かれた内容で休憩することを労働者に強制することができません。

使用者が労使協定に書かれた内容で労働者に休憩を強制するためには、就業規則等に労使協定とまったく同じ内容を書くか、または就業規則等に「労使協定に定めるところにより休憩を与える」旨を書いておかなければなりません。

投稿時間:06/03/20(Mon) 17:10:38
投稿者名:しんじ
ホスト名:EATcf-480p178.ppp15.odn.ne.jp
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タイトル:Re^6: 労使協定について
わかってきました。労使協定は労基法に対する免罰を得る為の手段であって規範性は持たないとシンプルに考えればいいですか?ルールではない規範性を持たない労使協定を労働協約等と比較したり強弱をはかるのは無意味なこと。理解したと思います。長々お付き合いいただき有難うございました。



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