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一 括 講 読

投稿時間:06/03/15(Wed) 21:42:39
投稿者名:kari
ホスト名:i219-165-150-120.s02.a012.ap.plala.or.jp
Eメール:yumi1110@khaki.plala.or.jp
URL :
タイトル:厚生年金過去問について
こんばんわ。
kariと申します。
厚生年金保険法の平成17年度本試験1問目のEについてお伺いします。
この問は
「従前額保障等により、平均標準報酬月額及び平均標準報酬額に平成12年改正時の再評価率を使用する場合、平成17年4月以降の再評価率は、0.926を、前年度の物価変動率に3年度前の賃金変動率を乗じて得た率で除していた率を基準にして、政令で定める。」
→×
の枝です。
いくつかの過去問集や予備校の解説集を読むと答えが2つに分かれているようです。
即ち、
 前年度の物価変動率に3年度前の賃金変動率を乗じて・・・
の前年度が前年であるので×
という答えと
 平成12年改正時の再評価率が平成6年の再評価率であるので×
という答えです。
 どちらが正しいのでしょうか?

 また、平成12年改正時の再評価率と平成6年の再評価率の部分はどう区別し、理解するべきか、
 問題にある0.926はどこから来ているのか
がとても疑問です。

 初歩的なことかもしれませんが、宜しくお願いします。 

投稿時間:06/03/15(Wed) 23:44:53
投稿者名:nemuta (ID: Un1NN0c)
ホスト名:p6e2562.osaknt01.ap.so-net.ne.jp
Eメール:nemuta@abox.so-net.ne.jp
URL :
タイトル:Re: 厚生年金過去問について
これはかなり難しい箇所の設問で、正直受験生が意味がわからなくても仕方のない箇所からの設問です。

しかし…

法第43条の2第1号により「物価変動率」を計算するには総務省が作成する「年平均の全国消費者物価指数」を使用します。

ですので物価変動率も年単位の変動率になります。年度の物価変動率はありません。

つまりこの問題は、尋ねている箇所はきわめて難しいが、正誤の判断基準は基礎的な箇所にある問題なのです。

>>>続く

投稿時間:06/03/16(Thu) 00:00:02
投稿者名:nemuta (ID: Un1NN0c)
ホスト名:p6e2562.osaknt01.ap.so-net.ne.jp
Eメール:nemuta@abox.so-net.ne.jp
URL :
タイトル:Re^2: 厚生年金過去問について
続き>>>

念のため、設問が述べている箇所の趣旨を書いておきます。相当細かい箇所になるので(3)より下は受験対策上重要ではありません。

(1) 従前額保障とは平成12年法改正で報酬比例部分の額が5%減額されたことに伴う既得権の保護措置である。
(2) この場合平成12年法改正による額と、平成6年法改正による額を比較して平成6年法改正による額の方が高ければ従前額保障を行うのであるから、当然この場合平成12年法改正による額を計算してみなければならない。
(3) 平成12年法改正による額を計算する場合に使用される再評価率は、平成12年改正法附則別表1により定めることになっている。
(4) ところが平成12年改正法附則別表第1には平成17年3月までの再評価率しかなく、平成17年4月以降の再評価率は政令で定める率ということになっており、さらにこの法附則別表第1の備考には、政令で定める率の計算基準が書いてある。
(5) この備考に書かれている計算基準によると、当該年度の前年度に属する月に係わる率を、法第43条の2の1号と2号の率を乗じて得た率に乗じて得たものを基準として再評価率を定めることになっている。法第43条の2第1号が「前年の物価変動率」になり、第2号が「3年度前の賃金変動率」になる。
(6) さらに平成16年改正法附則51条により、この備考の「当該年度の前年度に属する月に係わる率」という言葉全体を「0.926」という数字に読み替えることになっている。
(7) 以上(3)〜(6)をまとめると、「平成17年4月以降の再評価率は、0.926を、前年の物価変動率に3年度前の賃金変動率を乗じて得た率で除していた率を基準にして、政令で定める。」ことになる。

というものです。

従前額保障をする場合には平成6年法改正による額で支給されるのは事実ですが、問題の趣旨は従前額保障による年金額の計算方法を聞いているのではなく、「従前額保障をするかしないかを決める場合には、平成12年法改正による額を計算してみる必要があるが、その計算には平成12年法改正による再評価率を使用する必要があり、そうした場合に平成17年4月以降の再評価率はどうなりますか?」というものですから、「平成6年の再評価率であるので×」は当たらないと思います。

投稿時間:06/03/16(Thu) 21:34:10
投稿者名:kari
ホスト名:i220-99-242-10.s02.a012.ap.plala.or.jp
Eメール:yumi1110@khaki.plala.or.jp
URL :
タイトル:Re^3: 厚生年金過去問について
nemuta様
とても詳しい解説を有難うございます。

実は3度くらい読んだのですが、まだ理解できていません。
これからプリントアウトしてじっくり読みたいと思います。
個人的には平成12年度改正と平成6年度改正の従前額保障が理解できていないようで、そこがネックになっているのかな?
とも思っています。

ですが、
> 従前額保障をする場合には平成6年法改正による額で支給されるのは事実ですが、問題の趣旨は従前額保障による年金額の計算方法を聞いているのではなく、「従前額保障をするかしないかを決める場合には、平成12年法改正による額を計算してみる必要があるが、その計算には平成12年法改正による再評価率を使用する必要があり、そうした場合に平成17年4月以降の再評価率はどうなりますか?」というものですから、「平成6年の再評価率であるので×」は当たらないと思います。

という点はわかりました。あと前年と前年度のところも大丈夫です。

お忙しい中本当に有難うございます。
いつも掲示板を拝見して、勉強させて頂いています。

これからもどうぞ宜しくお願いします。


投稿時間:06/03/16(Thu) 23:22:33
投稿者名:nemuta (ID: Un1NN0c)
ホスト名:pd327e4.osaknt01.ap.so-net.ne.jp
Eメール:nemuta@abox.so-net.ne.jp
URL :
タイトル:Re^4: 厚生年金過去問について
> 個人的には平成12年度改正と平成6年度改正の従前額保障が理解できていないようで、そこがネックになっているのかな?
> とも思っています。

ごく簡単に言うと、平成12年法改正によって報酬比例部分の給付率が5%切り下げられたのですが(例:7.5/1000→7.125/1000)、この切り下げがかかった平成12年法改正による年金額と、切り下げのかかる前の平成6年法改正の年金額とを比較して、平成6年法改正の年金額が高ければそちらを支給するというのが従前額保障です。

そんなもの、切り下げのかかる前の平成6年法改正の年金額の方が高いに決まってるじゃないかと思うかも知れませんが、平成6年法改正の年金額の計算に使う再評価率表は改定されないのに対し、切り下げがかかった平成12年法改正による年金額の計算に使う再評価率は改定されるため、いつかは従前額保障はなくなるというのが制度の考えです。

今回の問題は、この、平成12年法改正による年金額の計算に使う再評価率の、平成17年4月分以降の改定方法についての問題でした。

>
> という点はわかりました。あと前年と前年度のところも大丈夫です。
>

その部分がわかれば、十分です。

投稿時間:06/03/17(Fri) 21:30:38
投稿者名:kari
ホスト名:i219-164-32-58.s02.a012.ap.plala.or.jp
Eメール:yumi1110@khaki.plala.or.jp
URL :
タイトル:Re^5: 厚生年金過去問について
nemuta様

たびたびの解説ありがとうございます!
やっとわかりました!!!
5%の切り下げはこういうことだったのですね。

つぶやきのような書き込みに丁寧に解説していただき、本当に有難うございました。
これをきっかけに年金を得意科目に持って行きたいと思っています。

今後も宜しくお願いいたします。

kari



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