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一 括 講 読

投稿時間:06/03/10(Fri) 00:37:19
投稿者名:ハッスル
ホスト名:softbank221085168024.bbtec.net
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タイトル:有給休暇の取得について
自分の会社は株式会社である塾なのですが,有給休暇が実質的にとれません。 葬式と自分の結婚式くらいしか 堂々と
休みをとることができません。授業に穴をあけるわけにはいかないのですが、代行要員がいるにも関わらず 休暇や振替休日を
認めないのは 違法性があると思います。皆さん どう 思われますか。?

投稿時間:06/03/10(Fri) 08:46:21
投稿者名:nemuta (ID: Un1NN0c)
ホスト名:p62bfb4.osaknt01.ap.so-net.ne.jp
Eメール:nemuta@abox.so-net.ne.jp
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タイトル:Re: 有給休暇の取得について
年次有給休暇を取得する権利はいわゆる形成権と解されています。
形成権とは権利者の一方的な権利の行使で法律関係が完結するような権利です。

一般的な請求権に基づく権利の行使と異なり、労働者が一方的に時季を指定し休めば完結しますので、そこに使用者の承認や認可、許可という概念は入り込む余地がありません。

使用者にできるのは、客観的に見て業務の運営を妨げる場合に「時季を変更すること」だけであり、この時季変更権は客観的な理由に基づく明確な行使が必要ですので、単に労働者の時季指定に返事をしなかった程度では時季変更権の行使になりません。

つまり、年次有給休暇については、労働者が時季指定した場合において「使用者が許さなかった」という状態は法律上考えられないのです。

従って、仮に「年次有給休暇を取らせてもらえない」という申告を監督署にするとしても、多くの労働者は単に職場の雰囲気で取れないとか、上司が取らせてくれない程度の申告なので監督署は動きようがないのです。

法律に基づいて解釈するならば「使用者がどう言おうと、それが客観的に合理性のある時季変更でない限りは、労働者は勝手に休めば良い。労働者が休まないのは、休めないのではなく、労働者が権利を行使していないのに過ぎない」になるのですからね。

このため監督署が動いてくれるのは、年次有給休暇を取ったことを理由に減給等の不利益取り扱いを受けた場合や、明確な時季変更権の行使が何度もあってそれが不合理なものである場合くらいだと思います。

ただし、使用者が、心理的抑圧等によって法に定められる労働者の権利を抑圧している事実があるなら、民事訴訟の対象にはなります。ただしこの場合の請求対象は、休暇の取得ではなく慰謝料になるでしょう。またこのような民事案件については労働局のあっせん事案になり得ると思います。

また、就業規則等で使用者が休日出勤を命じ得る場合において、その出勤に対して振替休日をするのか、代休処理するのか、割増賃金の精算で済ますのかは、就業規則等に基づいて使用者が決めうる事項であることが多いので、就業規則等の内容によりますが、振替休日または代休処理されなかったとしても誤った処理とは言えない場合があります。

投稿時間:06/03/10(Fri) 09:44:41
投稿者名:ハッスル
ホスト名:softbank221085168024.bbtec.net
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タイトル:Re^2: 有給休暇の取得について
> nemutaさん  大変 わかりやすい説明で ありがとうございます。 有給休暇は 形成権であり 労働者の権利として 行使しうる ということが よくわかりました。 ありがとうございました。

  

投稿時間:06/03/10(Fri) 09:35:09
投稿者名:ハッスル
ホスト名:softbank221085168024.bbtec.net
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URL :
タイトル:Re^2: 有給休暇の取得について
> 年次有給休暇を取得する権利はいわゆる形成権と解されています。
> 形成権とは権利者の一方的な権利の行使で法律関係が完結するような権利です。
>
> 一般的な請求権に基づく権利の行使と異なり、労働者が一方的に時季を指定し休めば完結しますので、そこに使用者の承認や認可、許可という概念は入り込む余地がありません。
>
> 使用者にできるのは、客観的に見て業務の運営を妨げる場合に「時季を変更すること」だけであり、この時季変更権は客観的な理由に基づく明確な行使が必要ですので、単に労働者の時季指定に返事をしなかった程度では時季変更権の行使になりません。
>
> つまり、年次有給休暇については、労働者が時季指定した場合において「使用者が許さなかった」という状態は法律上考えられないのです。
>
> 従って、仮に「年次有給休暇を取らせてもらえない」という申告を監督署にするとしても、多くの労働者は単に職場の雰囲気で取れないとか、上司が取らせてくれない程度の申告なので監督署は動きようがないのです。
>
> 法律に基づいて解釈するならば「使用者がどう言おうと、それが客観的に合理性のある時季変更でない限りは、労働者は勝手に休めば良い。労働者が休まないのは、休めないのではなく、労働者が権利を行使していないのに過ぎない」になるのですからね。
>
> このため監督署が動いてくれるのは、年次有給休暇を取ったことを理由に減給等の不利益取り扱いを受けた場合や、明確な時季変更権の行使が何度もあってそれが不合理なものである場合くらいだと思います。
>
> ただし、使用者が、心理的抑圧等によって法に定められる労働者の権利を抑圧している事実があるなら、民事訴訟の対象にはなります。ただしこの場合の請求対象は、休暇の取得ではなく慰謝料になるでしょう。またこのような民事案件については労働局のあっせん事案になり得ると思います。
>
> また、就業規則等で使用者が休日出勤を命じ得る場合において、その出勤に対して振替休日をするのか、代休処理するのか、割増賃金の精算で済ますのかは、就業規則等に基づいて使用者が決めうる事項であることが多いので、就業規則等の内容によりますが、振替休日または代休処理されなかったとしても誤った処理とは言えない場合があります。



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