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一 括 講 読

投稿時間:06/03/08(Wed) 10:59:26
投稿者名:もも (ID: P2BWO7Y)
ホスト名:bakerloo.dkkaraoke.co.jp
Eメール:
URL :
タイトル:労災の休業補償給付について
くだらない事ですが 質問させてください・・・。

全部労働不能日の人で、
平均賃金の60%未満しか会社からもらえない人は
賃金を受けてない事になり、労災の休業補償給付の支給要件を
満たしている。とありました。
(その他の要件もありましたが、すべて満たしている事にして・・・)

ではもし平均賃金が1万円の人で
まったく働いてない1日に会社から休業補償として
5900円もらった場合
1万円の60%未満だから、賃金をもらってない事になり、
労災の休業給付(給付基礎基礎日額×60%)ももらえるのでしょうか?
5900円(会社から)+6000円(労災から)=11900円?
平均賃金以上のお金がもらえる事になるのでしょうか?
では、無理して仕事に行き、半日働いた一部労働不能日の人で、
会社からその分の賃金として5000円をもらった人は、
その分の労災からの休業補償給付は
10000円(平均賃金)−5000円(賃金)×0.6=3000円
となるみたいですが、
無理して働いた賃金 5000円(賃金)+3000円(労災から)=
8000円?

60%未満の会社からの休業補償の場合、
働かない方がお得・・・?

それから・・・・会社が休業補償を出す場合、
例え平均賃金の50%と就業規則等で決まっていても
最初の3日間の待機期間だけは、労基上の休業補償として
60%以上である6000円以上を支払わなればいけないのですか?
4日目からは5000円にしてもよいのですか?

的はずれな質問だったらすみません・・m(__)m。

投稿時間:06/03/08(Wed) 12:04:37
投稿者名:nemuta (ID: Un1NN0c)
ホスト名:p8496ab.osaknt01.ap.so-net.ne.jp
Eメール:nemuta@abox.so-net.ne.jp
URL :
タイトル:Re: 労災の休業補償給付について
労基法(労災保険法ではないことに注意)の第75条第1項に、
「労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかった場合においては、使用者は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない。」とあり、

また次条である第76条に、
「労働者が前条の規定による療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の療養中平均賃金の百分の六十の休業補償を行わなければならない。」とあります。

この2つの条文により、労働者が業務上の傷病の療養のため、労働することができず賃金を受けない場合、労基法により使用者は平均賃金の60/100以上の休業補償を行わなければなりません。条文上は60/100ですが、労基法が最低基準であることから60/100以上あっても全額休業補償とみなされます。

従って、労災保険がもしも無いとすれば、使用者は労働者の療養による休業期間の始めから終わりまで、ずっと平均賃金の60/100以上の休業補償を行い続けなければなりません。

このような使用者の災害補償義務を肩代わりする保険が労災保険です。

そして、労基法第84条第1項に「この法律に規定する災害補償の事由について、労働者災害補償保険法又は厚生労働省令で指定する法令に基づいてこの法律の災害補償に相当する給付が行なわれるべきものである場合においては、使用者は、補償の責を免れる。」とあるために、労災保険が休業補償給付をしてくれる場合には、使用者は労基法による休業補償をしなくても構いません。

また、逆に、あくまでも労基法による災害補償義務が使用者にあるという前提で、その肩代わりするのが労災保険の本来の機能です(現在は通勤災害等、労基法の範囲外まで給付範囲を拡大していますが…)ので、労基法による災害補償(またはそれに相当する補償)が使用者の手で行われた場合は、労災保険は給付する理由を失います。

>>>続く

投稿時間:06/03/08(Wed) 12:35:09
投稿者名:nemuta (ID: Un1NN0c)
ホスト名:p8496ab.osaknt01.ap.so-net.ne.jp
Eメール:nemuta@abox.so-net.ne.jp
URL :
タイトル:Re^2: 労災の休業補償給付について
続き>>>

以上のことをご理解いただいた上で、ここからがご質問への回答になります。

待期期間中は、労災保険からの給付がないために、労基法第76条により、使用者は必ず平均賃金の60/100以上の休業補償を行わなければなりません。労基法第92条により就業規則の規定が労基法の規定に反することはできません。

逆に待期期間が経過し、労災保険が休業補償給付を支給すべき場合に、使用者が平均賃金の60/100以上の休業補償をしてしまうと、労基法の休業補償は完了したことになるので、労災保険は災害補償する理由を失うために休業補償給付しません。もし使用者が平均賃金の50/100を給付するなら、労基法の休業補償は完了したことにならないので、労災保険は休業補償給付を全額支給します。

最初の質問である「働かない方が得か?」という質問も、この労基法上の休業補償が完了しているかどうかによる規定です。労基法上の休業補償が完了していれば労災保険は休業補償給付しませんし、労基法上の休業補償が完了していなければ労災保険は休業補償給付を支給します。かつその場合の休業補償給付の額も労基法(による労基則)の規定に従います。下記の労基則第38条をご覧になった上よくご理解ください。

労基則第38条「労働者が業務上負傷し又は疾病にかかったため、所定労働時間の一部分のみ労働した場合においては、使用者は、平均賃金と当該労働に対して支払われる賃金との差額の百分の六十の額を休業補償として支払わなければならない。」

以上のように、規定の考え方は「労基法上の災害補償(またはそれに相当する補償)が使用者の手で行われたかどうか?」を基準に組まれていますが、実際に労災保険を勉強する場合の、通達等での表現としては「休業する日」に該当するかどうか?という部分で出てきます。

そしてこの「休業する日」であるためには「賃金を受けない日であること」が必要で、「賃金を受けない日」には「賃金を全く受けない日」と「賃金の一部を受けない日」があるとされており、この「賃金の一部を受けない日」の基準の内容として説明されています。

「賃金」という言葉が出てくるのでわかりにくいのですが、今まで述べたように、基本的な考え方としては事業主が労基法上の災害補償相当額の支給をしたかどうかが基準なのですよ。

投稿時間:06/03/08(Wed) 12:49:14
投稿者名:もも (ID: P2BWO7Y)
ホスト名:mail.dkkaraoke.co.jp
Eメール:
URL :
タイトル:ありがとうございました!
とっても分かりやすい説明ありがとうございます!
持ってるテキストよりもずっと理解できました!
これもプリントアウトして何度も読み返してみます。
nemuta先生の説明は、私のような超初学者にも自然に読む事ができて
頭にスーっと入ってきます。
いつもいつも勉強させていただいてます。
ありがとうございましたm(__)m
これからもよろしくお願いいたします。



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