百武彗星(C/96B2)観察日記



[百武彗星の経路]


C/1996b21(Comet Hyakutake) 3/14 600mm F4.9
ハレ−彗星から10年、待ちわびた肉眼彗星の出現を知ったのは、美星天文台が2月6日に撮影した彗星の新聞記事からでした。

3月初めは仕事が忙しく、おまけに5日以降は月明かりもあり、初めて撮影に成功したのは彗星発見後1ヶ月半もたった、3月14日 の朝3時でした。当日はてんびん座αの約1度の付近に約5等級で輝いており(600mm F4.9 10min)、肉眼では見えないものの、カメラのファインダ− を通して覗くと、仲良く輝く2つの星がはっきりと見えました。

2回目の撮影は、16日の朝2時でした。前日からの雨もやみ、透明度も比較的良く、尾も見え始めました。(600mm F4.9 10min)

17日、20日も待機していたのですが、天気が悪く撮影出来ませんでした。

23日は、クラブの有志で仙養ヶ原へ行く予定だつたのですが、仕事が忙しく自宅での撮影になりました。東の空にうしかい座のアルクトゥルスが見え始めた頃、その左側に百武彗星が1週間前とはケタ違いの大きさで光り輝やいているのが見えた為、あわてて自宅天文台へ駆け込みました。土曜日の夜で、月明かりもなく 最高の撮影日(600mm F4.9 10min)になりました。朝2時頃には、天上付近で肉眼でもかなり長い尾を見ることができました。仙養ヶ原に行かれた人たちは、かなり寒かったとは思いますが、忘れられない最高の夜になったのではないでしようか。私は参加出来なくて残念でした!。 自宅で165ミリで写した写真でも相当長い尾が写っていました。(かなり朝方寒く、ド−ムの中でも大変でした。私は約5時間頑張りました)おかげで日曜日は終日ベツドの中でした。

地球最接近の25日は雲がかなりあり撮影はあまりできませんでしたが、長女(小3)とニコンの15*70の双眼鏡で仲良く観望会をしました。翌26日も25日同様雲がありあきらめていましたが、月の沈んだ27日の朝1時前から1時間程度撮影が出来ました。雲がなければ一晩中観測できたのにとても残念でした。 今回は彗星の核がかなりしっかりしていた為ガイド星としては良かったのですが、彗星の移動量が大きくて追尾は少々大変でした。 3月の後半は望遠レンズより、広角・標準レンズでの撮影の方が彗星の全体像が良く写っており予想外でした。やはり今世紀最大の大彗星だったのでしょう。

4月に入ると夕方の空に見えるようになり、3日、11日とすばらしい彗星写真(600mm F4.9 10min)を撮影することが出来ました。当日はプレアデスと金星の最接近の日でもあり、撮影対象がたくさん有り大変でした。夕焼けの残る中、満月前の月があるにもかかわらず、しっかりとした姿をペルセウス座α付近に肉眼でも確認することが出来ました。

20日に美星の観測所に行くと、夕空に金星、月、水星、百武彗星と2度と無いような豪華な光景が広がっていました。 今回は彗星の軌道がとても良く、自宅天文台からも比較的簡単に撮影出来(約100コマ撮影)、10年前のハレ−彗星のときのような、鞆のグリンラインへの早朝撮影移動とかなく、とても楽をさせてもらいました。ただ3月の後半から天気が周期的に変わり、透明度の良い日が少なかったのが少々残念でした。今回は3月23日が月もなく、透明度も良く最高だったと思います。 ただ空の暗い所へ、一度も遠征出来なかったので、尾の写りのすばらしい彗星写真は1枚も撮影出来ませんでした。


[収録写真リスト]
Date撮影場所星座赤経赤緯等級撮 影 機 材
1996/3/14自 宅てんびん14h54m-15°13'〜6等PENTAX125SDHF F4.9 FUJI G-800
1996/3/16自 宅てんびん14h52m-12°00'5等PENTAX125SDHF F4.9 FUJI G-800
1996/3/23自 宅うしかい14h24m+32°00'1等PENTAX125SDHF F4.9 FUJI G-800
1996/4/11自 宅ペルセウス3h00m+40°00'2等PENTAX125SDHF F4.9 FUJI G-800


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