最終更新日1997/9/21

「フェーム」観劇記念 みはるちゃんの思い出

8/17、東京芸術劇場にて「フェーム」観劇。
卒業以来、初めてみはるちゃんを観たのです。 懐かしさにドキドキ致しました。

「フェーム」(昔、深夜のTVシリーズを見ていました。懐かし〜) は全体的に作品も出演者もハイレベルかつパワフルで素晴らしく、 みはるちゃんを観たいが為に行ったのに思わぬ収穫!という感じでしたが、 その中でも、みはるちゃんは一歩もひけを取らず輝いていましたよ。
歌も、ダンスも。そう、みはるちゃんはこれからよ! 見ててごらん!て感じでうれしくなってしまいました。
プログラムの中に演出助手の方の日記コーナーがあったのですが、 その中で、みなさん振りを覚えるのが早くてびっくり、中でも 森奈みはるさんはさすがです、ということが書かれていて、 「うんうん、さすがみはるちゃん!」と誇らしくなってしまいました。

みはるちゃんをご存知ですよね?
ヤンさんの相手役として花組のトップ娘役を務めていたみはるちゃん。 「三拍子揃った実力はトップ娘役中でも随一」と謳われながらも、 決して恵まれていたとは言えない状況・・・その中でも 常に輝いていたみはるちゃん。
私が彼女のことをこんなに好きだったのだ!と思い知らされたのは、 彼女が卒業してしまった後だったような気がします。

私が初めて宝塚を観たのが「心の旅路」でありましたし(私はその時 みはるちゃんのポーラが主役だと思いました)、 友人達は花組ファンが多く、その影響で組としては花組好きになり 花組を一番多く観ていました。それが、 ヤンさんとみはるちゃんの卒業以降、めっきり花組観劇回数が 減ってしまったのです。前は一公演数回(一番多かったのが「ブラックジャック」かな。 でもヒトケタですよ!)観ていたのに、ミキ体制になってからは 一公演一回になってしまいました。
みきさんはじめミユさんタモさん リカちゃん、さっちんさん、とみなさん好きではあるのに。

ヤンさんも好きでしたが、 ヤンさんがロンドン公演で抜けた「ブラックジャック」東京公演( 余談ですがブラックジャック役に関しては、私は東京のミキさんの方が お気に入りです)にも 熱心に通っていましたし、私の花組のお目当ては実はみはるちゃんだったんだなあ、 と今更ながら、しみじみ思っています。

なんだか身近な存在になりすぎていたのかなあ、みはるちゃん。
みはるちゃんがそこにいることが当たり前になってしまっていたのかも しれません。(「メランコリックジゴロ」のフェリシアなんかの時は 明らかに「みはるちゃん、嫌だ」(ブリッコ〜)と思っていた・・・という 時期もありましたし。)

卒業公演の千秋楽の日、大雨の中、私もおりました。 尋常でない雰囲気の中とはいえ、ついつい「みはるちゃ〜ん!」 と絶叫してしまった自分(注:私は普段は決してそのような言動をする人間では ございません)にびっくりしました。いなくなってはじめて分かる みはるちゃんの有り難味ってか。

今回は、彼女の 今後の活躍を祈って、宝塚時代の舞台の思い出を綴ってみようと思います。


みはるちゃんは・・・・ 脚が太かった?
「プロローグの白いタイツのみはるの脚、注目して下さい。 こ〜んなです!」と、「メガ・ビジョン」のスタ小部で ヤンさんにいじめられてたみはるちゃん。
そりゃ、ジェンヌさんの中では太い方だったのかも しれないけどさ。一般人に比べれば細いに決まっているし! それに、多少太くたって、内容は全部筋肉(ステキング) ですぜ。器械体操で鍛えたというあの筋肉とバネがあればこその、 軽やか極まりない「みはるダンス」だったのです。
みはるちゃんは・・・・ 目がでかい
そう、みはるちゃんは目がでかい。そしていつもその目はうるうるしていた。 お星さまキラキラである。あーいうのを「夢みるような瞳」と いうのでございましょう。
みはるちゃんの 歌はいつもハイテンション
ダンスと同じくらい素敵だった、みはるちゃんの歌声。
澄んだ声に抑揚たっぷりの歌い方で、ドラマチックにお芝居やショーを 盛り上げてくれました。
ビデオでしか観てませんが「秋・・・冬への前奏曲」の冒頭の歌。 タータンの「カプラの〜山高くそびえ〜」(これも良かった!) 次に「我が友〜互いに手を〜」とみはるちゃんが加わるところは 素晴らしかった(この作品は何度観ても泣けたよ・・・タニーも この作品は良かったのに。なぜ今は・・・)。
「火の鳥」プロローグの「燃えるも〜える」なんかも好きでした。
みはるちゃんの 歌はド演歌もお色気系も
お色気系の歌を忘れちゃなりません。
いや〜良かったっすよ。 92年のTMP(ビデオ)の、イチロさんとのデュエット 「ソーインラブ」なんて最高です。 この手のお歌なら大得意のお二人、雰囲気も実に良く合って、 あふれる情感が雪崩のように襲ってきますわ。
みはるちゃん「不思議ね〜、ふた〜りで〜いる〜と〜」 ここの、「ふたりで〜」という歌いまわし、 「星〜も〜、輝くわ」の、「ほし〜も〜」で盛り上げて、 「が〜や〜くわ〜」、「」でふわっと 息を抜くところ、みはるちゃんならではの艶っぽさ。 「別れようと私のものよ」なんて歌詞もぴったり。 歌の間ずーっとイチロさんを見つめ続けているのも みはるちゃんらしいのでした。
この場面だけ何度も繰り返し見たものです。

「火の鳥」のフローラ星。 小林幸子状態のお姿で歌いまくる場面。 全編色っぽくて最高でしたわ。
「燃えるくちびる、ことばはいらない〜」、「ことばは」の「こ」で また、はーっと息をぬくのがたまらん。
それと、最初の「火の鳥と共に〜よみがえる〜」のところですが、 ここはTV放映された大劇場版では普通にレガートに歌ってますが、 東京公演の時は朱未知留風に激しくドスをきかせた歌い方だったのですよ。 これが大好きでした。よくまねっこして歌ったものです。

「哀しみのコルドバ」の四重唱「エルアモール」。
なんたってみはるちゃんが断然!良かった。
お嬢様・じゅんちゃんの「ベールの白さに〜約束交わす人がいる」 と対照的な、みはるちゃんエヴァの「いばらの刺さえ、寄り添い 耐える人がいる」・・・
ド演歌風な情念を感じさせるのでした。泣けたよ。
アンフェリータの「ひまわりの歌」もみはるちゃんで聴きたかった。
みはるちゃんの 歌は心に染みる
みはるちゃんの歌は歌詞がはっきり伝わってきて いちいち感動させてくれました。前述の「いばらの刺さえ〜」なんてのも まさに、そう。

「ベイ・シティ・ブルース」。この作品、脚本はちょっとへぼかったけど なぜか結構通いました。音楽&音楽の使い方はかなり良かったと思う。 (小池先生&吉田優子先生だもんね)
中でも、みはるちゃんオリビアの「お願い、お月さま」の歌。
半ば狂ったオリビアの純粋さ、一途さを切なく聴かせ、、 「も〜う〜二度と〜」と半音半音で盛り上がるところなんて 素晴らしくて、この歌だけで(作品とは別のところで)泣けてきました。

後、忘れがたいのは「ブラックジャック」の後半の三重唱のところ。 ここもみはるちゃんが一番!
「思いが伝わらないのは言葉が足りないせいではなくて」・・・・ 正塚先生の歌詞もいつもながら良いけど、その内容をはっきり 表現してくれるみはるちゃんの歌い方が最高に良かったのです。

今こういう歌を聞かせてくれる 娘役さんは・・・見当たらない。

みはるちゃんは・・・ 兎の様にぴょんぴょん跳ねた
みはるちゃんといえばやっぱりダンス!
「のびやか」「しなやか」「はつらつ」 「軽やか」・・・とよく形容されました。 いつでも舞台いっぱいに踊りまわっっていたみはるちゃん。 あの輝くような笑顔も、すーっと伸びる腕も、可愛らしい首の 使い方も、大好きでした。

優れたバレリーナを称える時の言葉として、「踊るよろこび・生きるよろこびを 感じさせてくれる」というものがあります。 私はこの言葉をみはるちゃんに贈りたい。
彼女のダンスを観ていると、自然に、いつのまにか こちらの心も浮き浮きとしてくるのでした。
みはるちゃん、ありがとう。うおー。

みはるちゃんのダンス場面はどれもこれも好きですが、 その中から少し取り上げてみます。

「ジャンクション24」(ビデオ)の、「ブレイク・ア・レッグ」。
「リズ」という役名がついていましたね。 ヤンさんを中心にリカちゃん・チャーリーと共に 若いダンサーのお稽古場風景ということで 踊りまくりで良かったあ。「ダンスの花組」(もう過去?) ならでは場面でありました。(今思うと「フェーム」風だったな)
みはるちゃんはトップになってからは あまりダルマ系のお衣装がなくて、ここのレオタード姿は 貴重かも。おみ脚の筋肉が拝めます。

「イッツアラブストーリー」の秋の場面。
その前の夏の場面が「・・・・・」だったので、 なおさら秋になって登場したみはるちゃんが輝いてみえたものです。 公園で出会って恋におちる少年少女、ヤンさんともども 実に初々しく可愛らしかった。
みはるちゃんはいつもひとつひとつのポーズをびしっと決めてくれたものですが、 この場面の、ヤンさんの腕につかまって脚を180度上げるところ もぴったり決まって素晴らしかったですね。綺麗だったあ。この瞬間の舞台スチール を持っていますが、うーん、顔がバレリーナしていて素敵。
後、走り込んでヤンさんの背中に飛び乗ってポーズを決めるところも・・・ (東京公演ではみはるちゃんが数日間ショーのみ休演したことがあって 、秋の場面は渚あきちゃんが代役でした。とても良く踊って いましたがここはさすがにかなり重そうであった)

同じく「イッツアラブストーリー」の大階段前のデュエットダンス。
トップになってはじめての(!)フィナーレのデュエットダンスで、 みはるちゃん「嬉しいです」と言ってたと思う。 しかしミキさんの歌付で、みはるちゃんの出番は少なかったのだ・・・ でもとっても良かった。ソバージュの鬘も良く似合って、 最後ののけぞりポーズも、さすが〜!でした。

「火の鳥」の大階段前のデュエットダンス。
これも短すぎたけど・・・。
ここは音楽が素晴らしくて、シューマンだったかな? 通奏低音がぼーーと鳴ってその上にピアノの静かなメロディが乗っている というものでした。
みはるちゃんは曲を良くつかんでいて、切れ目のないレガートな 動き。いつもと一味違っていました。こういうダンスだって 出来ちゃうのさ。後半、メロディが変化してからも良いです。 「ポロロン」とピアノが急停車するとみはるちゃんもアラベスクで びしっと止まるのでした。かっこいいー。(TV放映版では 少しぐらついてますが、東京公演ではきっちり決めていましたよ)

「メガ・ビジョン」のミキ悪魔の場面。
尼僧服をパッと脱ぎ捨てて踊り出すところ。うーん、みはるちゃんは はじけていたっ。膝をひょいひょい跳ね上げたり、腕をぶんぶん 回したりする振りがノリノリで可愛かった。(隣で同じ振りを踊ってる じゅんちゃんがいかにも、良く言うとおっとり、悪く言うとドタドタ して見えてしまったものだ)
中詰めのマンボクィーン。
男役スター連中を従えてぴょんぴょん 飛び跳ねながら前進してくるところ、可愛い可愛い、跳ねてる、跳ねてる! もう観る度に「いや〜、いいっすね〜」と唸っていましたよ。
お衣装は真っ赤なドレスで 綺麗だったけど、ちょっと美空ひばり系だったのがイマイチ。 ああいう場面だったらもっと可愛い、 脚の出るお衣装が良かったのにー。

みはるちゃんの フランス人形
「火の鳥」アンドロイド星の場面の、フランス人形。
真っ赤なドレスに、くりんくりんのカールヘアで・・・ これがあなた、可愛いの可愛くないのって、もうっ。 実は私は人形は苦手なのですがこのみはる人形なら、 持って帰りたいっ!!と切に思ったものです。
お人形場面のお約束、ずずずーと開脚して床にぺたん。と つぶれるところも、可愛すぎるう。

その後、「火の鳥製薬」のホレ薬を飲んでしまい突然恋する乙女に 変身して火の鳥に迫りまくるところもグーグー。 東京公演では、みきさんが「意外と積極的なのね〜」とオロオロ言って 笑いを取ってました。

みはるちゃんの ビーナス
「ワンタッチオブビーナス」!
ダメモトで行ったアートスフィア、時間ギリギリにサバキが手に入って 観ることが出来ました。その幸運に大感謝です。 みはるちゃんの代表作と言われつつも、ビデオもなしTV放映もなしの 幻の名演となってしまったこの作品、観られて良かった!

姿の美しさはもちろんのこと、ワガママで大ボケだけど 憎めないみはるちゃんビーナスの可愛らしさは、未だに思い出すとときめいちゃいますよ。 「お待ちなさい、床屋!」のせりふ。 電話のベル音に脅えてうずくまってしまう場面。 後、デパートの洋服売り場で一騒動起こして、試着室のカーテンの間から 決まり悪そうに顔をちょこんと出している光景。 それから、ヤンさんとの新婚家庭(?)で、幸せそうに歌いながら ネクタイを結んであげる(めちゃくちゃな結び方で・・・) 場面などが 印象に残っています。

みはるちゃんは・・・ ドスもきかせた
「ブラックジャック」のアイリス、 悪党のアジトに踏み込む場面。
「スコットランドヤードのリーガンよ!」「手を上げて!」 と次々にドスをきかせまくり。客席から「おおー」という どよめきが上がったほどでした。
「ラストダンス」(ビデオ)の、 悪役の事務室に忍び込んで純奈お嬢さん(名前忘れた)と 悪事の証拠写真を撮りまくる緊迫した場面。 「次!」「次!」と純奈にページをめくらせる。

こういうみはるちゃん、好きでした。

みはるちゃんの 恋する乙女。
恋する乙女を演らせたら日本一。
「哀しみのコルドバ」のエヴァしかり。 「ベイシティブルース」のオリビア、 舞踏会の場面でヤンさんのハーヴェイJr.に言う 「踊って下さる?」のせりふなんか素晴らしかった。 震えた声に溢れ出しそうなトキメキが感じられました。

みはるちゃんは・・・ よく観客を忘れて突っ走った。
そう、 みはるちゃんはお芝居にのめりこんだ。で、 のめりこむと客席が全く見えなくなるのか、 どんどん暴走していった。 客席「みはるちゃん、置いてかないでえ・・・」
そういう時は、目線もひたすら舞台上の相手役に一直線。 そしてどんどん前傾姿勢になっていくのであった。
そんなことも今となっては懐かしい。
「ブラックジャック」のアイリスなんかその典型でしたね。

みはるちゃんは・・・ いつも笑顔だった。
さあ、みなさん、思い出してみましょう。

悔しかったこと。
トップ娘役のサヨナラ写真集が出るようになったのが、 みはるちゃんの卒業後だったこと。(第一弾はよっちゃんでしたね)
ディナーショーも出来なかったこと。(あやちゃんとよっちゃんで 演ったけど、みはるちゃんも入ってればもっと良かったのにー)

いろいろな話は耳にしたけど、舞台のみはるちゃんはいつだって 輝いていて素晴らしかった。だからいいんだけど。
それでもそれでも・・・卒業公演はやはり不完全燃焼だっただよ。 (観る側が)。 同時退団なのに、デュエットダンスがないなんて・・・・・。
フィナーレのヤンさんは、ミキさんの歌で一人で踊っていた。 (ここのお衣装は「金角銀角」みたいだった)

みはるちゃんは大階段を一人で降りてきて、 男役スターに囲まれて、ショートの鬘もかっこよく (東京公演ね)マドンナ風に歌い踊った。 とてもステキだった。
・・・・だからいいや。よしとしよう。
あの場面は、ショースターとしてのみはるちゃんを高く評価してくれていた 三木先生の出来る限りの手向けだったのだと思います。
みはるちゃんの台詞で一番好きなのは
「生きるわ、たとえどうなっても」「ブラックジャック」の如月恵)

こーれは良かったなあ・・・・


以上、思い出すままにみはるちゃんの思い出を綴ってみました。 ご意見・ご感想をお待ちしてます。

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