ミッフィー 田代山紀行
2006年夏






会津高原尾瀬口駅に到着


             会津高原尾瀬口駅
       
         東武鉄道 会津高原尾瀬口駅 
         到着しました
         早速携帯メールを送ろうと思ったら
         圏外
         なんてこと
 
         バスにゆられて45分
         湯の花温泉につきました
         圏外
         おー、まい、がっ
         民宿の電話を借りてやっと連絡
         ミフィ太郎水疱瘡出てない?大丈夫?

         携帯電話 電波がなければ ただの箱
          文明の利器を過信してはいけない と
         深く思ったことでした
         どうぞみなさまも じゅうじゅうお気をつけて     
                            





かえる






田代山登山口にて
冷蔵庫発見
中は
登山者名簿入れ?


            会津の人
          
          えっ 
          登山口に冷蔵庫
          これっていったい何
          不法投棄ってやつ   
          それとも 宇宙人の基地
               
          勇気を出して扉を開けてみたならば
          中は 登山者届け入れらしい
          シュール!
          ああ 会津の人のセンスってすごい
          冗談なのか 本気なのか
          なんだかよくわからない
          笑っていいのかどうか わからない
          どうしよう
                  
                               






かえる






松


             森林限界
         
          登り始めた 
          すぐに苦しい
          予想通りに苦しい
          天気曇りで気温は低く 手は冷たいけれど
          はやばやと汗がふきだして目にはいる
          バンダナを出して頭に巻いた
          掃除のおばさんみたいになる
                   
          体が重い重い とても重い
          ぶよぶよと 重い
          動いてくれない
          山道が足を受けつけてくれない
          足の裏が戸板のよう
          内転筋がねぼけて働かない
          足首がぐにゃぐにゃ外に傾く
          歩きにくい
                 
          苦しい苦しい
          胸焼けがする
          登りはじめはいつも胸焼けがしたものだっけ
          でもこんなにひどいことなかった
          わたくしは夕べ夕飯の皿を食べ過ぎました
          それがこんなにゲプゲプしている理由です
          岩魚の刺身や野菜のてんぷらがおいしくて
          最後に自家製裁ちそばも平らげたら
          おなかは2歳児のようにぽんぽこりん
          いまだにぽんぽこりん

          おまけに心臓がよわっちいもので
          すぐに酸素が足りなくなって
          大あくび また大あくび
          スパイダーウーマンの広い背中が
          どんどこどんどこ遠ざかる
          待って待ってえ

          のろのろ のろのろ
          こんなことで山頂にたどりつけるのかって
          ご心配でしょう
          でも 大丈夫
          よろよろ のろのろでも
          一歩一歩 足を出せば
          いつかはきっと着く 
          そのことだけは分かってる
          どんな山でも そうだったから
          だから今日も
          霧の中をひたすら登る

          とつぜん
          まわりがぼわんと明るくなった
          空が広くなった
          樹林帯を抜けたのだ

小田代近く


 
          森林限界!

          森林限界にたどりついた!
                    今回もまた たどりつけた
          ミッフィーの神様ありがとうございます  
          この瞬間がとてもすき
          灌木と岩と小さいかわいいお花
          がんばったかいがあった
          どんなに苦しい登りでも
          ここまできたら もうつらくない
          (つらいけど)
          ここからは別世界
          お山の世界
          ああ 楽しいね

          下界で毎日すごしながらいつも
          夢みています
          また森林限界に行くときを  

              
                              






かえる






山頂にて

             夏山
         
           青い空 白い雲 緑の山
           夏山3点セットです
           これが揃えば 文句はございません
           暑い中 遠くまできたかいがあった
           まぶしい夏の太陽
           ギラギラ輝く夏雲は
           大胆にモコモコ形を変えてゆく
           やがて 見事なペネタ型に
           蛙たちの歓声が聞こえそう
 
                             
雲と森と






かえる








山頂湿原


           霧にまかれた
         
          霧にまかれた
          いつのまにか
          白いもやもやに包まれている
          すべての音が霧に吸い込まれ
          ざっ ざっ 
          自分の靴音だけが聞こえる
          止まってみた
          じっとしてみる
          あまりの静けさに
          かすかに耳がキーンとなる
          霧の中に見え隠れしてる池糖のほとりに
          ワタスゲがかすかにゆれている
          ほわほわ ほわほわ

          なんだか
          せつなくて胸がいたみます
          あなた ここはどこですか
          涅槃ですか
                   
          涙がにじみます
          もうずっとここにとどまっていたい
          この静寂の中に溶け込んで
          夢も見ずに 安らかに 眠っていたい
                                





かえる






湿原の小花


          ひばりのエチュード
         
         ひばりが鳴いているね と言いました
         お空の高く 見えないところ
         鳴いている 
         ひゅるりら ひゅるりら
                   
         ひゅるりら ひゅるりら 風に吹かれて
         知らない山を歩いてみたい
             
         ああ 時には子のない母のように
         無心に山をのぼりたい
                                    






かえる






山頂湿原


         東北の山に登る人
         
        『その人は ふと振返って静かに微笑むと
         曇天の下 ひとり 山に入っていった
         その後誰も その姿を見ることはなかった』

         東北の山を登る人は
         そんな後ろ姿をしていてほしい

         たとえ本当は
         二日酔いで頭が朦朧としていて眠くて倒れそうでも
         たとえ本当は
         山頂で食べるお弁当と下山後の温泉のことしか頭になくても
         
         嘘でもいいから背中には
         寂寥のオーラを漂わせてほしい
         そして一抹の明るさと不思議な希望と優しさと
         それが東北の山の色
                     
                                             





かえる
お し ま い






さんげんは東北の山が大好きです。 東北の山にはなんともいえない奥ゆかしい風情があります。
若い頃、みちのく一人旅に出かけては少しずつ登ったものです。 前頁の巻頭ポエムの中に記してあるのがこれまで登ったことのある山名です。
どの山も思い出深いです。八甲田の暴風の恐ろしかったこと、 月山から湯殿山に 向かう山道の神秘的だったこと(「霧にまかれる」はそのときの思い出によります)、 蔵王で捻挫したこと、安達太良山の秋の快晴の空とゴロゴロ荒地・火口の不思議なとりあわせ。など、 思い出すたびうっとりします。
スパイダーウーマンも、今年の夏、今回の田代山の他に白神山地にも行き(いいなあ) すっかり東北の山ファンになったとか。 子供たちが大きくなったらたくさんのぼりにいきたいですね。 スパイダーウーマンとのおばさん姉妹でも、または一家4人でも。。 鳥海山、岩手山、早池峰山、会津駒ケ岳・・・など憧れの山はたくさんあります。

なお、この「田代山紀行」をもちまして いったん「ミッフィーと生きる」の本編更新を 休止いたします。詳しくはまたご挨拶をいたします。これまで、本編「大もくじ」ご愛読 まことにありがとうございました。




ミッフィー 田代山紀行 表紙に戻る




ミッフィー もくじに戻る

ミッフィー ホームに戻る