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1分作品、1枚作品です。
あの目つきは、世の中を恨んでいるようだった。 普通に、ただ普通に生きてきた人を殺したいようなあの目つきは、自分がどれだけ不幸で悲劇な「女」であるかを言いたげだった。
転職を8回も繰り返し、結婚生活は早々に破綻している。その原因は恐らく人格で、人格もまた破綻している。そんな人間がマネージャーを目指すというのは滑稽としか思えなかった。そもそもそんな人間が職についても良いのかという疑念は決して晴れることはなかった。身振り手振りを交えて製薬業界について意気揚々と語る彼女の姿は勇ましかった。自分に降りかかる火の粉を振り払い、敵を長刀で切りたおし、彼女の指導的立場の人までも斬りつけてしまう。そんな彼女は末期の日本を体現していた。
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