PROGURAMMING CONCEPT内容
小さな星、St. GIGA。ここには不思議な生命がいます。ハーモニウム…。
ハーモニウム、それは生命の懐かしいかたち。ハーモニウム、それは傷つけることも、傷つくこともしらない
ハーモニウム、それは不安や怒り、野心や老いることもしらない。ハーモニウム、星に住む微かな生命、それは、たった二つの言葉しかしらない。｢私は、ここにいます｣「あなたが、そこにいてよかった」
ハーモニウム、それは、星の歌を食べて生き、美しい音に出会うと、アクアマリンブルーに輝きます。ハーモニウム、それは銀河の誕生と星の死に、
地球が生まれてしばらくしてから何万年も降り続いた雨の音に、海と、生命の誕生に、耳を澄ましてきました。そして、水の惑星の奏でる音楽に触れ、この不思議な青い星と同じ色の輝きを発し続けてきました。
風の薫を聴くとき、潮騒に包まれているとき、ふと見上げた月に耳を澄ますとき、あなたのなかにハーモニウムの輝きを感じることはありませんか。
わたしたちの青い星、地球。Ｓｔ．ＧＩＧＡは、美しい地球の歌に耳を澄まし、さまざまな生命に、海に、草花や水に、
そしてあなたのなかにも眠るハーモニウムに語りかけます。「わたしは、ここにいます」「あなたがそこにいてよかった」
小さなハーモニウムの光が一つになってこの星をより青く美しく輝かせるように…。そして、この星が、いつまでも、美しい歌をうたいつづけるように…。そのために、Ｓｔ．ＧＩＧＡは、生まれました。
“Ｉ'm here." "I'm glad you're there." We are St. GIGA
ハーモニウムの存在についての地球での最初の記録は、カート・ヴォネガットの小説「タイタンの妖女」（The Sirens of Titan :1959）に見られます。
私たちの中には海がある。私たちのからだの中には、原初の海が流れている。だが私たちはその声を聴くことを忘れてしまった。時間とは、太陽と、月と、海と、
そして私たちが歩む風景の移り変わりであったはずだ。だがそれを、私たちはメートルやキロの尺度に置き換えてしまった。
そのことによって、私たちは便利な文明を得た。そしてそのことにより、私たちは何かを失いつつある。自然を、そしておそらくは、私たちの内なる海を。
耳を澄まそう。私たちの内なる声に。私たちは、何を求め、どこに行こうとしているのか、そして私たちはどこから来たのか、を知るために。St. GIGAの願いはひとつだ。
私たちの内なる自然の声を聴くための耳となること。そこでは、失われつつある海が、風が、星が、歌っている。耳を澄まそう。樹木の息づかい、風の声、潮騒、
大地の響き、星たちのつぶやき…私たちの内に眠る、生命の遠い記憶が蘇るまで。St. GIGAが語りかけるのは、
私たちの内なる海、そのなかで眠る胎児、私たちの中を流れる潮流なのだ。
窓辺によって見る。
絶え間なく後方へ流れ去る太平洋。
景観は地球の丸みに沿ってカーブを描いている。
カーブに沿って淡いブルーの光輪。
その外側は宇宙の暗闇だ。私は息をのんだ。
しかしなにかが欠けている。
途方もない壮大な眺めだ。しかしここには音がない。
荘厳な音楽の伴奏がない。
意気揚々として勝利を奏でるソナタもなければ、
シンフォニーもない。
わたしたちは、めいめい自分で、この天体の
音楽を作りあげねばならないのである。
チャールズ・ウォーカー
米国宇宙飛行士（小学館刊「地球／母なる星」より）
"From THE HOME PLANET by Kevin W .Kelly with the Association of space
Explorers. Copywright. （C）1988 by Kevin W. Kelly. Originally Published in the
United States by Addison-Wesley Publishing Company and in Japan Shogakukan
Inc., Reprinted by permission of the Publisher."
St. GIGAは、赤道上空３６，０００ｋｍ、地球の直径のおよそ３倍、地球から月までの距離のおよそ１０分の１のところを、地球と同じ速さで回る放送衛星から電波を送っています。そこからは私たちの青い星、地球が漆黒の闇に浮かんでいる姿が見えるはずです。宇宙から地球を眺めた宇宙飛行士たちは、一様に、地球の神秘的な美しさに感動するとともに、その故郷の星のあまりの壊れやすさに、いとおしさ、そして慈しみの感情でいっぱいになったと語っています。そして、また、同じように宇宙の沈黙の闇について語っています、独りで宇宙に浮かんでいるとき、聞こえるのは自分の心臓の音と血液の流れる音だけだといいます。それは、かつてこの世界に生まれようとしていたときに聞いた音。胎児が聞く音は、母親の血液の流れる音、そして心臓の音です。その音は、かつて私たちを生んだ海の音、波の音とほとんど同じだといいます。宇宙にひとりぼっちで浮かんでいるとき、人は、生まれてくる子供のように、そんな遠い生命の記憶に耳を澄ましているのではないでしょうか。
宇宙の沈黙の闇の中に浮かぶ青い惑星、地球を眺めたとき、人類は自分がどこから来たのかを再び発見したのです。水と空気をたたえた、限りなく美しく壊れやすい母なる星、地球を。そしてそこで音楽もまた再発見されたのです。それは、地球が奏でる生命の輝きなのだと。音、音楽、それは大気と生命の証です。波の音もモーツァルトも、鳥のさえずりや鯨の歌、そして人の言葉も、地球の奏でる音楽なのです。
地球から生まれた小さな星St. GIGAは、赤道上空３６，０００ｋｍから、いつも、水の惑星、地球の奏でる音楽に耳を澄ましています。そして、美しい音、地球と生命の輝きを集め、地球へ、朝な夕なにPCMデジタル音声に乗せて「音の潮流」として送り返しています。私たちの青い星と、そこに生まれた生命が、いつまでも、そして、より美しく輝き続けるようにと願いながら。
かつて私たちは自然の時間とともに生きていました。日の出と日の入り、月の満ち欠け、潮の満ち干、季節の移り変わり…。人もまた、水の惑星、地球を構成する自然の一部です。そして、私たちのからだの中にも、他の生命と同じように、こうした自然の運行に呼応して移り変わる自然の時間が流れています。そうした時間は、私たちを取り巻く、水、大気、大地、生命、天体といった大いなる自然と優しく調和して流れているはずです。日の出、新月、満月、満潮時、春から夏にかけての感情の高揚。日没、上弦、下弦の月、干潮時、秋から冬にかけての感情の沈静。こうした私たちの体の中を流れる自然に耳を澄まし、自然の時間の中に自らを解き放つとき、はじめて私たちは真に安らぎ充足することができるのではないでしょうか。St. GIGAが送る「音の潮流」は、こうした自然の時間の流れのなかに、自然に湧き上る人間の感情を浮かび上らせ、地球の美しい生命の輝きをちりばめていくことによって創り出されます。時間とは、まず、天体の運動が作り出す物です。そして生命はそのうえにそれぞれのリズムをつけ、メロディーを奏でていくのです。ですからSt. GIGAを導くのは、グリニッジ時間ではありません。自然の時間、太陽と月と地球の運動が、St. GIGAに時を告げるのです。
天体の時間と、生命の時間、それが一つになって美しい形を描き出しているもの、それは、潮の満ち干です。潮の満ち干は、太陽と月と地球とがつくりだす自然のリズムです。そしてそのリズムのなかで生命は生まれ、さまざまに形を変えてきました。TIDE,それは地球と生命の楽譜とも言えるでしょう。この〈GAIA SCORE〉に導かれて、St. GIGAの「音の潮流」は生み出されます。細分化されたプログラムによって構成されるタイム・テーブルではなく、自然の運行に呼応した“タイド・テーブル”がここに生まれました。
St. GIGAは、さまざまな文明の時間から解き放たれ、大いなる海の時間に導かれて「音の潮流」を送ります。St.
GIGAの「音の潮流」に身を任せるとき、私たちはナチュラルな感情の流れの底に、私たちを包み込んでいる大いなる自然を聴くことでしょう。
St. GIGAの“タイド・テーブル”を決めるのは、以下の三つのポイントです。
この３つの要素に導かれて、St. GIGAの一日の流れは４つのゾーンに分かれています。
St. GIGAの一日は、日本の東端、知床の日の出にはじまります（8月中旬から5月上旬までは南鳥島）。日の出は次第に西に移っていき、与那国島で終わります。この間が、「サンライズ・ゾーン」です。ここでは、各地の夜明けの自然の音と、その表情を伝えるボイスを、サンライズにふさわしい音楽とともに、Ｓｔ．ＧＩＧＡならではのミックスでお送りしていきます。
与那国島の日の出から、再び知床に日が沈むまでの日本列島に太陽が昇っている間が、｢水の時｣。ここでは、私たちの青い星の輝きを、美しい地球の音と音楽とボイスとで表現していきます。水に象徴される生命のみずみずしい表情が、音楽と自然の音と美しい言葉によって語られます。
知床の日没から与那国島の日没までが｢サンセット・ゾーン｣（２月上旬から１１月初旬までは南鳥島から）。日々くり返される壮大な地球のドラマ、日没の風景を、音楽と各地の自然音、そしてその表情を伝える言葉とで放送でお送りしていきます。
与那国島の日没から、次の日の始まりである知床の夜明けまで日本列島に夜が訪れている間が｢星の時｣。ここでは、奇跡の星、地球と宇宙を、そして人間の夢を、音楽、さまざまな地球の音、そしてファンタスティックなボイスとでうたいます。
この４つのゾーンが、Ｓｔ．ＧＩＧＡの｢音の潮流｣のフォーマットのベースとなります。この４つのゾーンの上に、太陽と月と地球とが作り出す潮の満ち干の波形が描かれます。潮の満ち干は、私たちのからだの中を流れる海にも強く作用しています。これがバイオ・タイドです。この潮の波形は、世界各地の実際の潮の満ち干のデーターから作られます。
St. GIGAのタイド・テーブルのベースとなるのは、東京芝浦の波形です。そして、毎週日曜日、またスペシャル・タイドの日には、St.
GIGAは世界各地の波形に導かれ、その土地の音に耳を澄まします。
こうした波形、地球の楽譜（GAIA SCORE）をガイド・ラインにしながら、
この４つの音を組み合わせ、St. GIGA独自の｢音の潮流｣を生み出していきます。
音楽は、地球の生命の輝きを最も美しく純粋に表現したものです。St.
GIGAが送る音楽に、既成のジャンルはありません。あらゆるスタイルの音楽がオール・ジャンルで選曲されます。
音楽は、自然の中から生まれてきました。音楽の母である自然の音を、St.
GIGAは｢地球の音｣(Sound of the Earth)として捉え、大自然のさまざまな息吹をお送りしていきます。St.
GIGAのS. E. は単なる効果音（Sound Effect）ではありません。音の風景（Sound-scape）には、広がり、厚み、そして歴史があります。St.
GIGAは、そうした生きている音の風景を、日本各地で、さらに世界のさまざまな場所で独自に収録し、これまでにない｢地球の音｣（Sound
of the Earth）をお届けします。
人の声もまた、自然の一部です。それは、鳥の声や、せせらぎや、風の音に溶け合い、交感するものであるはずです。St.
GIGAは、言葉を単なる情報伝達のための記号としてではなく、自然の声として、｢音の潮流｣のなかに織り込んでいきます。ですから、St.
GIGAには、ニュース、情報番組、あるいはトーク・エンターテイメントの類のDJプログラムは一切ありません。St.
GIGAが語るのは、｢水｣と｢星｣にかかわるロマンとフアンタジーにあふれる言葉だけです。この二つの言葉は、St.
GIGAでは、ウォーター・オデッセイ、スター・オデッセイと呼ばれます。
カート・ヴォネガットの小説｢タイタンの妖女｣に登場する不思議な生物、ハーモニウムは音を食べて生きています。そして美しい音に出会うとアクアマリンブルーに輝きます。そのハーモニウムが知っているたった二つの言葉が、St.
GIGAのシンボル、メディア･メッセージです。
"I'm here."
"I'm glad you're there."
真に調和のとれた世界では、この二つのメッセージのほかに、いったいどんな言葉が必要なのでしょうか。
時に微妙に、時にダイナミックにその表情を変えつつ、St.
GIGAの｢音の潮流｣は、私たちのバイオ･タイドに共振し、生命の輝きを豊かにうたいます。こうしてSt.
GIGAの“タイド･テーブル”は日々刻々と変化し、同じところにとどまることを知りません。
耳を澄ませば
天に立ちのぼる水の音楽が聞こえてくる。
海の響き、地球の夢、宇宙の森の音楽、
青い惑星の歌が、聞こえてくる。
すべては、波…。すべては、夢みる水…。
小さな星から届く生命の輝き、
青い星、地球が奏でる音楽…。
新しい世紀を迎えようとしているいま、人は、再び地球とともに歌おうとしています。鳥や鯨とともに。大いなる自然に向けて自己を解き放つ方法は二つ。COMMUNICATIONとIMAGINATION。いいかえれば、耳を澄ますことと夢みること。St. GIGAは、この二つの方法で、新しい世紀の、新しい音楽を生み出そうとしています。St. GIGAに耳を澄ますすべての人々とともに。存在はすべて波。St. GIGAは、美しい永遠の波を発見しようとしています。懐かしく、新しい、永遠の音楽が聞こえます。地球が奏でる生命の輝きが。
St. GIGA／PROGRAMMING CONCEPTより転載