中京競馬場から始まる旅A

湯 沢 夜 之 雪


中京競馬場ツインハットスタンドと筆者

中京競馬場から始まる旅の第2弾は、寒中らしく雪国へ。と、その前に前日から始まった中京競馬の新春開催参戦について触れておかねばならない。2016年1月17日(日)。豊橋から名鉄の急行列車に乗車し、開催日に臨時停車する中京競馬場前駅へ。駅から競馬場までの道のりが長いのにはいつも閉口する。ともあれ9時50分発走の第1レースには間に合った。馬券の方は昨夜ネットで購入しており、レースぎりぎりでも大丈夫。本当は馬連も当たってほしかったが、ワイドのみ的中でもトータルプラスで、まずは幸先のいいスタートだった。

しかしそこからが「ガミリ地獄」。まず第2レースは馬連とワイドの5頭ボックスを持っていたものの、なにせオッズを見ずに買っているものだから、1着入線の2番人気の馬が抜けていてハズレ。第3レースは馬連とワイドのフォーメーションを合わせて18点買っていたものの、的中したのはワイドの人気どころのみ。いわゆる「買いすぎ」でガミってしまった。ここまではダートのレースで、この時期は芝に負担をかけないためにダートのレースが多い。小回りで直線の短いダートコースは、枠順の良し悪しが影響するため、枠順発表前に予想していたのでは、なかなか当てるのは難しい。

中京競馬収支表 (16.1.17開催)
レース 投資 回収 収支 累計
中京1R 1,200 1,370 +170 +170
中京2R 2,000 0 -2,000 -1,830
中京3R 1,800 600 -1,200 -3,030
中京4R 4,800 2,050 -2,750 -5,780
中京5R 5,400 0 -5,400 -11,180
中山11R 3,000 2,270 -730 -11,910
京都11R 1,600 1,380 -220 -12,130
合計 19,800 7,670 -12,130 38.7%

第4レースは毎度お馴染みの障害未勝利戦。馬連とワイドのフォーメーションを合わせて48点も買ったが、1〜3着は上位人気の馬が独占。これこそ買いすぎの極致で、大幅にガミってしまった。後から思えば、この辺で止めておけば、まだ損害は少なかった。しかし競馬場の私は「次のレースは3連複まで持っているから、当たれば一気に逆転だ」と息巻いていた。18頭立て大外枠の3番人気の馬を軸に、9頭に流す馬連、ワイド、3連複。中京の芝2,200bはスタートから第1コーナーまでが長く、外枠の馬はそれほど不利にならないというのが定説なので、なんとなく期待が持てそうな馬券である。しかし、その本命馬は最後の直線でいったん先頭に並びかけるも、外から次々と差されて結果8着。この日最大の5,400円を注ぎ込んでいたのでガックリ。帰りの駅までのオケラ街道の長かったことといったらなかった。

駅で中部空港までの乗継ミューチケットを買ってホームで待っていると、目の前に現れた快速特急はリニューアルされたばかりのパノラマスーパー。神宮前までわずか8分の乗車だったがテンションが上がりっぱなしだった。その後ミュースカイに乗り継いで中部空港へ。ここからは久々の空の旅となる。

秋田行きのANA1837便は緑帯の特別塗装機。通称「エコボン」と呼ばれるボンバルディアDCH8-Q400である。普段見慣れている青帯塗装と雰囲気が違い、あまりの珍しさに普通の乗客もスマホで写真をバシャバシャ撮っていた。かく言う私も始めての遭遇だったので、シャッターを押しまくったのは言うまでもないが。まぁそんな機体も、乗り込んでしまえば普通のQ400で、普通に秋田に運ばれた。

秋田空港から湯沢までが、今回の旅を始める前に最も懸念していた部分である。まず普通に空港リムジンに乗車するが、秋田駅のはるか手前の御所野で下車し、そこから徒歩で高速バスの停留所であるイオン御所野店前へ。秋田駅から来た湯沢行きの高速バスに乗車するという段取りである。湯沢行きの高速バスは予約ができないため、もし満員で乗れなかったら、そこでこの行程は瓦解する。バス停もすぐに見つかるかどうかは出たとこ勝負である。そんな不安を抱えながらリムジンバスに乗車。出発前に先ほどの競馬の続きをワンセグで観戦。京成杯も日経新春杯も、どちらもガミった。今日の競馬はこんな流れだったと諦めた。バスは10分ほどで御所野に到着。これだけでお代が770円とは、空港リムジンはいい商売である。

御所野バス停から道なりに歩いて10分ほどでイオン御所野前バス停を見つけた。幸い晴れていたのと、歩道の雪かきがされていたので事なきを得た。湯沢行きの羽後交通高速バスは座席に余裕のある状態で到着。最後席左側を陣取り、深々とリクライニングシートを倒した。これで緊張から開放され、ゆっくりと酒を飲むことができる。もっとも明後日に健康診断を控えているので、ほどほどにしないといけないが…。

バスは夕暮れの秋田自動車道を行く。雪原と森の中を行くので、ただでさえ「ただひたすら白かった」という感じだが、暗くなるにつれてますます色彩を失いモノトーンになっていく。こんな車窓を見ながら水割りを飲み、ラジオで安部礼司を聞くというのは至上の時である。おまけに秋田〜湯沢間はたったの1,130円。さっきのリムジンバスとは大違いである。


この時期はダートのレースが多い


第4レースは毎度お馴染み障害未勝利戦


今年度リニューアルされたパノラマスーパー


秋田空港に到着した「エコボン」特別塗装機


秋田市郊外の御所野で湯沢行バスに乗車


日が暮れるにつれてますます色彩を失う車窓


「湯沢 夜之雪」…雪の夜の街は真夜中でも雪明りがあり、ほのかに明るい。中央右手奥の光がJR湯沢駅

横手から一般道に下り、18時10分ごろ終点の湯沢営業所に到着。本当は一つ前の湯沢駅前角で降りた方が良かったが、降車ボタンを押す人がいなかったので降りそびれてしまった。いずれにせよ今晩の宿である湯沢グランドホテルには徒歩圏内で、18時半前にチェックインした。当地では湯沢ロイヤルホテルと並んで格式のあるシティホテルで、地元の人が結婚披露宴をするとなれば、このホテルを選ぶというような感じである。通された部屋はシングルながら丸テーブルも肘掛椅子もあり、昔ながらのサイドテーブルにはAM/FMラジオも装備されていた。もっとも使う人はいないらしく、ボリュームを上げ下げするたびにガリガリとけたたましいノイズを発していた。

さて、天気予報どおり夜半過ぎから雪が降り始め、窓の外はぐっと冷え込んできたようだ。今ではスキー場に行くことはなくなってしまったが、スキー宿で夜の雪を観ながら一杯飲むというのにハマッていた時期もあった。窓の外は真っ暗でも、部屋の明かりを消せば雪明りでほのかに明るい。「蛍の光、窓の雪」とはよく言ったものだと感心してしまった。


必要にして十分なホテルの朝食

翌朝は、いわゆるアメリカン・ブレックファストをいただいた。バイキング形式の朝食に比べると食べ過ぎないので、健康診断を翌日に控えている自分にとっては好都合である。さて朝の支度を整えて9時20分ごろホテルをチェックアウト。湯沢から鉄道の旅を経て、山形空港から小牧空港へひとっ飛びである。

まずは、新庄行きの鈍行列車に乗車。701系電車(いわゆる「走ルンです」)のロングシートはいただけないが、沿線の雪景色は風情があり、車内装備の稚拙さを補って余りある。こんなときにふと考える。701系導入前に走っていたED75+50系客車が今走っていたらどんなに良かっただろうかと。確かに50系客車は非冷房で快適ではない。またデッキ付の2扉でラッシュ輸送にも難がある。でも、沿線が雪景色となるこんな時期はスチーム暖房が効いていて、心地よい列車の旅になること間違いなしである。結局、あの頃は良かった的なオタ話なのだが。

院内〜及位間で県境を越え、山形県へ。真室川が線路に寄り添うと新庄は目前である。新庄でつばさ140号に乗り継ぎ、さくらんぼ東根駅へ。山形空港はこの駅の西側にあるが、空港ターミナルビルは滑走路の西側にあり、駅からはずいぶんと離れている。歩いていくわけにはいかないので、ワンコインライナーと称する普通のタクシー(乗り合いタクシーだが、普通のコンフォート)に乗って空港を目指した。


山形での唯一の収穫「芋煮そば」

そのタクシーの運転手さんから不吉なことを聞いた。「朝から飛行機は欠航みたいだよ」 それでも現実を受け入れられず「今日は東京が大雪みたいだから、羽田から飛べなかったんでしょ」くらいにしか考えず、とりあえず空港に行ってもらった。しかし現実は朝から全便欠航。その時は「機材繰りができなくて欠航になった」と思っていたが、後で調べてみると山形空港の除雪が追いつかずに欠航になってしまったらしい。山形のような雪の降るところでも、このドカ雪は珍しいことのようだ。カウンターで航空券を払い戻してもらい、ここからどうやって自宅に戻ろうかと途方に暮れた。まぁ、いずれにしても新幹線で帰るしかあるまい。となると、さっき乗車した「つばさ140号」を、さくらんぼ東根で下車してしまったのは大失敗であったことに思いが行った。また東根駅に戻るのも癪だし、山形始発の新幹線もあるので、山形駅行きのシャトルバスに乗車した。朝から全便欠航だったので当たり前だが、乗客は自分ひとりの貸切状態で、空港から途中のバス停をすっ飛ばし、山形駅までダイレクトに行ってもらえた。

結局、つばさ140号の2時間後に発車するつばさ144号の指定席をモバイルスイカ特急券で押さえた。ついでにEX-ICで東京〜浜松のひかり号の指定席も予約したので、山形から浜松まではチケットレスで帰れる。14時04分のつばさ号を待つ間に、山形新幹線のホームにある立ち食い蕎麦屋さんで、当地の名物である「芋煮そば」を食べた。これを食べたことが山形に寄った唯一の収穫だったかもしれない。というのも、お目当てのつばさ144号は、山形駅に到着する前に窓ガラスが割れたとかで走行不能になり、山形で運行打ち切り。代わりの編成の手配にとまどり、われわれ乗客は吹きっさらしのホームで長いこと凍えていた。

発車予定時刻から30分経って、ようやくつばさ号が入線。山形を離れて、ほっとするのも束の間で、福島からは連結相手のやまびこに待ってもらえず単独走行。ただでさえ2両しかない自由席は超満員となり、我々の指定席車まで立ち客が溢れ出すというすさまじい状態になった。それでも順調に走れば、まだ可愛い。つばさ144号はポイント保護のためとかで、本来停車しないはずの新白河、那須塩原にも運転停車。走れば走るほど遅れが増えていくという状態だった。そういうわけで、EX-ICで予約していたひかり号を、1時間後の列車に変更した。こんな大混乱の復路であったが、東海道新幹線はポーカーフェースで通常運行。ガラガラの指定席でタバコをくゆらし、ようやく人心地がついたのだった。


湯沢グランドホテルの一室にて筆者


湯沢市内では格式のあるシティホテル


ホテルの部屋からも見えた湯沢駅(橋上駅)


雪まみれの状態で「走ルンです」701系入線


秋田・山形県境の及位駅は難読駅名で頻出


新庄駅で出発を待つ「つばさ140号」


モニュメントが印象的なさくらんぼ東根駅


山形空港で出発を待つ山形駅行シャトルバス


現場では機材繰りで欠航と思っていたが、実際は山形空港の積雪で飛べなかったとのこと

<終>

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