2004年インターハイ手記

大城絢美選手 全国高校総体6位への軌跡


2004年8月8日、広島県福山市の芦田川漕艇場で行われた全国高校総体ボート競技・女子シングルスカル決勝で母校浜松北高の大城絢美選手が6位に入賞し、浜松北高漕艇部の歴史に新たなページを加えました。
顧問の松下博先生から、インターハイの詳細な手記をいただきましたので、雄図会のみなさんと感動を分かち合おうと思い、ホームページに掲載いたしました。松下先生、ご協力ありがとうございました。


暑い毎日が続きますがお元気ですか。
同窓会総会お疲れさまでした。きっと大いに盛り上がったことでしょうね。ところで、インターハイに行って来ましたので、遅くなりましたがご報告いたします。

出場した選手は、女子シングルスカルの大城絢美ですが、6月の東海大会では練習不足と腰痛もあって4位に沈み(しかも決勝で静岡2位の選手にも破れ)、本人は悔し涙にくれました。後半に勝負をかける追い込み型の自分がラストで置いて行かれたのがショックだったのです。

ここで悔しい思いをしたのが良かったのか、大会後インターハイは絶対後悔しない大会にしようと、目標を「決勝進出、上位入賞」とし、練習計画をしっかり立て、それに従って本人も一生懸命頑張りました。7月の終わりに天竜で部の夏合宿を行ったのですが、このとき彼女は通いで参加しました。その時のスケジュールは、朝5時から7時までの練習を終えて学校へ登校し、午前中は補講、午後は運動会の話し合いやダンス、その後夕方の5時からまた天竜で練習・・・・そんな感じでした。本当に良くやるなあ、北高生らしいなあと思いましたが、この合宿中に1000m4分3秒という自己ベストが出たので自信を持ってインターハイに臨むことが出来ました。

8月2日に広島まで移動し、3日、4日の配艇練習を経ていよいよ5日が予選でした。予選は3ハイ上がり、あらかじめメンバーを見てアクシデントがない限り3位には入るはずだと思ってはいましたが、準々決勝をにらみ、たとえ勝ちが確実な展開になっても手を抜かず、しっかりラストスパートを入れるレース展開をしようと話していました。結果は、4位と差がある3位になりまずまずだったのですが、聞いてみると、コンディションが悪く波が手にかかり、手が滑るのを防ごうと腕に力が入り、腕ばかり疲れてスパートがかけられなかったという反省点が残りました。考えた末、水対策には急遽ゴルフ用の手袋を買って備えることにしました。

準々決勝は一緒に漕ぐ神奈川の選手が頭ひとつ抜けているだろうが、あとの4人は大城を含めて大きな差は無いと考えていました。だから、2位の可能性も5位の可能性もあると。2ハイ上がりなので、力が互角の中で勝ち抜かなければなりません。ここが最大の勝負と思ったのですが、見事2位で上がってきました。しかも、まだ力を出し切ったようでもなかったので大したものだと思いました。前夜は弱気な発言もあったのですが、試合になると緊張せずに出来たようで、新聞社の取材を受ける表情も底抜けに明るく、気持ちもぐっと乗ってきている感じがしました。

最終日の準決勝は壮絶な試合になりました。コンディションが珍しく良かったので本人のやる気は高まりましたが、一緒に漕ぐクルーは事前に調べた段階でエルゴのタイムや実績、そして予選からのレースを見て大城より力が上と思われる選手が3人、残りの2人ももちろん弱いわけではない(やはり準決勝までくると力のないクルーは残れないシステムですね)、決勝に進むには上の3人のうち1人を倒さねばなりません。3人の中では力が劣るだろうと思われたのは愛知県旭丘高校の田上選手でしたが、この選手とは去年10月の中部大会、今年6月の東海大会で計4回戦って1度も勝っていない因縁の相手、東海のチャンピオンで全国選抜大会では5位に入っている強敵です。いつも通りスタートは出遅れ、私が見ていた750m地点では5位、ただし、2艇身ぐらいの間に全クルーが入っているような大接戦。後半に自信を持っている大城ならチャンスが十分あると思い「ラストー!上げろー!」の声に力を込めました。コンスタントはレート32位できてたので、練習通りラストは34から35で勝負できるだろうと思ったのですが、レート計を見ながら追いかけても期待したほどレートは上がってきません。大丈夫だろうかと不安になりました。後で聞いてみると、ラストはレートよりも1本1本大きく強くと思って漕いだら自分でも驚くぐらい艇の伸びを体感できたというのです。ここへ来てもレースをするごとに成長していることが分かりました。もつれた試合も終わってみれば何と2位。しかも1位とは0.06秒差、3位とは0.02秒差、4位とは0.97秒差という結果でした。ちなみに田上選手は4位。ついにインターハイの舞台で雪辱が出来たというわけですから本人にとって最高のレース、会心のレースになりました。

こうしてとうとう決勝に進みました。インハイに行く前に掲げた「決勝進出、上位入賞」の目標を達成してしまったのですから大したものです。決勝は「これが本当に最後のレース、思い切り楽しんで来いよ。」と送り出したのですが、結果は6位。1日に2本目ということもあったのでしょうか、タイム的には離されてしまいました。でも胸を張れる6位だったと思います。世界ジュニア、アジアジュニアの日本代表選手、全日本新人選手権優勝選手、全国選抜3位の選手たちと一緒に漕いだのですから・・・・。本人も本当にいい顔をしていました。

それから、この結果とは別に嬉しいことがありました。1,2年生の部員18人のうち13人が、広島まで9時間もかけて自主的に応援に来てくれたのです。佐鳴湖での練習を終えてから鈍行に乗り込み、夜中の10時過ぎに福山の駅に到着という強行日程もものともせず。しかも手作りの大横断幕を持って。すごい連中だなあと感心しました。大城が後輩たちの応援の前で準々決勝を勝ち上がり、次の日まで残った4人の前で決勝まで戦ったことは、きっと彼らにとって何にもまさるメッセージでありプレゼントであったろうと思います。

インターハイは私にとっても、本当に面白い、そして凄いところでした。何を見ても刺激的でした。多くの人に励まされたり声をかけてもらったり祝福されたりと、私はボート部の顧問をさせてもらっていること、大城にインターハイへ連れて行ってもらったことに感謝、感謝です。

雄図会の皆様にも激励会を開いていただき、また激励金もいただき本当に有り難うございました。心から感謝しております。どうか会員の皆様にもよろしくお伝えください。今後もご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

予選


いざ準々決勝へ


準々決勝



静岡県立浜松北高等学校       松下 博








松下先生と大城絢美選手


応援団と横断幕(右から2人目が服部副顧問)





接戦の準決勝





全国2位となった天林男子ダブルスカルの選手と


表彰式


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