株主優待で行く新和歌浦


新和歌浦バス停から和歌ノ浦方向を望む


こないだ私のYouTubeチャンネルに電鉄株の株主優待を利用したお得な旅行について配信したら、思いのほか好評だった。その動画を作製する前からこの旅の行程は決まっていたが、いい機会なのでひとつの例として今回の旅を取り上げようと思う。

毎年5月は昨年度発行された株主優待券の期限切れ直前となるため、駆け込みで株主優待券利用の旅をすることが多い。今回も名鉄1枚、近鉄1枚の株主優待券が余っており、南海の6回カード式の優待券が未使用のまま残っていたので、自然と和歌山方面への1泊旅行を計画することになった。海の見える部屋があるお手頃な値段の宿ということで、新和歌浦の「新和歌ロッジ」に素泊まり7,600円で予約を入れた。


新和歌浦の新和歌ロッジの部屋から海を望む。松岡直也のEvening TideがBGM

往路は名古屋までJR在来線に乗車。なにせ名鉄の株主優待券が残り1枚であるので、帰りに使うことにして行きはJRに乗ったわけである。もともと新和歌浦には16時に着けばいいので浜松を9時過ぎに出発した。豊橋で新快速に乗り換えて久々に名豊間を在来線で移動。蒲郡を中心に広がる海と山の車窓が新鮮に見えた。

名古屋駅の東海道線下りホームの立ち食いスタンドできしめんをすすり、近鉄名古屋駅に移動して特急ひのとりに乗車。近鉄は株主優待券利用で乗車券は無料になるが、さすがに無料の急行を乗り継ぐのはかったるいので、ついつい有料特急のお世話になる。ひのとりは通常の特急よりも200円ほど料金がかさむが(名阪間で2,130円)、シェルバックシートのおかげで後ろの人に気兼ねなくシートを倒せるのが良い。名古屋から2時間少々で終点の大阪難波に到着。

近鉄の大阪難波駅と南海のなんば駅は地下鉄御堂筋線10両編成の先頭車両と最後尾車両ほどの距離があり、いつも雑踏をかき分けて進むのに骨が折れる。やっとのことで南海なんば駅に着き、頭端式のターミナルから南海10000系の特急車両に乗車する。10000系が登場したのは1985年なので来年で40年になるが、それほど古さを感じさせない。まぁ南海の車両はもっと古いものも普通に本線を走っているので対比効果かもしれない。

なんばを14時20分に発車した特急サザン29号は淡い陽射しの中を南下する。尾崎からみさき公園にかけて海が見え隠れし、その後は山間部の峠越えとなり、車窓の変化が富んでいて非常によろしい。15時19分に終点の和歌山市駅に到着した。

南海和歌山市駅から新和歌浦までは和歌山バスの35番系統で18分400円と近い。新和歌浦バス停から5~10分ほど歩いて本日の宿である「新和歌ロッジ」に到着した。

部屋に通されると10畳の和室。アウトバス・アウトトイレの部屋で40年ほど前に暮らした大学近くの下宿をついつい思い出す。しかしながら窓から見える眺望は素晴らしく、窓の下には浜辺が広がり、上の方に視線を移すと和歌浦湾を見渡せる。湾の向こうに見えるのは和歌山マリーナシティ。観覧車と高層ビルが遠くに見えて夜景もなかなかだった。

翌朝は逆ルートで帰るわけだが、名阪間で乗車する名神ハイウェイバスは特割運賃で大阪駅~名古屋駅間が1,570円と激安。近鉄の特急料金より安いのだから高速バスの乗車率は高くなるのは当たり前か。ケチケチ旅行はいろいろと安い乗り物を調べ、実際に乗ってみるのが楽しいという側面もある。

南海和歌山市駅から和歌山バスで新和歌浦へ


名阪の移動は近鉄特急券よりも高速バスが安い

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