板 谷 峠 へ の 道


山形駅西口広場から逆光の街

ゴールデンウィークは仕事の日々。よそ様が遊んでいる中で働くのは精神衛生上まことによくない。連休明けには門司港まで長距離ドライヴをする計画を前々から立てていたが、それでは旅の途中で酒が飲めない。たまたま自治会の草刈りのために取得した日曜休みの次の日も公休がはまっており連休となっていた。北九州ドライヴから中3日だが、ここにも旅行を入れてしまおうと連休中の5月4日に思い立った。こういう時に使えるのがJALの「どこかにマイル」。出発空港と時間帯を決めて申し込めば、4つの候補地のうちどこかに6,000マイルで往復できるという特典航空券である。秋田、花巻、山形、但馬の4空港が候補となったのでポチッとやった。できれば乗り降りしたことのない花巻か但馬が良かったが、旅行先は山形に決定と連絡が来た。それなら以前から食べたいと思っていた「峠の力餅」を買いに奥羽本線の峠駅に行くことにした。

なにせ出発日の午前中に地元の行事の予定が入っているので出発はかなり遅め。浜松を11時51分発のこだま715号で旅立ちとなった。いつものようにエクスプレス予約の「こだまグリーン早得」でグリーン車に格安で乗車。出発するやいなや、さっそく酒盛りである。


阪急宝塚線蛍池駅からの乗り換え案内と大阪モノレールの動画。後半は帰りの前面展望


ホテルメトロポリタン山形に宿泊

通常、伊丹空港に行くには新大阪で降りてリムジンバスで行くのが定石だが、今月末で期限切れとなる阪急の株主優待券を使い切りたいので敢えて京都で下車。新幹線を降りた時にはかなり酔っぱらっていた。それでも京都駅と四条烏丸の乗り換えをこなし、阪急京都線特急の転換クロスシートに無事納まった。

乗車するやいなや白昼から飲んだ酒が効いて爆睡。目覚めると古都京都はどこへやら、いつのまにか大阪府内に入っており高槻市に停車した。新幹線を降りて以来地下ばっかりで「せっかく京都で降りたのになぁ」と思ったことである。

十三で宝塚線急行に乗り換え10分で蛍池へ。ここから乗り換え風景も含めて大阪モノレールの動画を撮影する。寝ぼけ眼に鞭打って多少シャキッとした。てなことをやっているうちにたった一駅なのですぐに伊丹空港に到着。山形便が出発するまで1時間以上あった。


走ルンです701系で米沢へ

山形行きJAL2237便はエンブラエル170で運航。FDAでお馴染の機体である。16時20分出発だが、割と早くに全員が搭乗を終え早発となった。機内の模様を含め動画にしたので左上の画像からご覧あれ。まぁそれはともかくエンブラエルは革張りのシートで座り心地が良く、また直後の席に乗客がいなかったのでリクライニングを倒し放題。ここでもウイスキーの水割りが進んだことである。目的地にたどり着く前にフラフラになるのもどうかと思うが、これがやりたかった事であり、旅の醍醐味である。

早発したおかげで山形空港には定刻の15分くらい前に到着し、山形駅行きのシャトルバスの発車までが長かった。運よく乗客用ドアの直後に座席を確保できたので、このバスも前面動画を撮影できた。いや実はそんな席を確保するべきでなかったのかもしれない。というのも山形駅に着くまで30分以上、無理な格好でカメラを回さないといけなくなったから。酔っぱらっている状態でこの行為は本当に辛かった。

バスは東根インターから東北中央道に入り、山形JCTを経て山形道の山形蔵王インターで高速を降りた。事前にすべての乗客が山形駅まで行くことを確認しているが、ご丁寧に駅の東側から遠回りして駅にアプローチ。路線バスだから勝手に降りるインターを変更するのはご法度だろうが、なんとなくやりきれない。定刻の18時25分に山形駅に到着。西口のマックスバリュでつまみと氷を買い込みホテルにチェックインした。


伊丹発山形行きJAL2237便。エンブラエル170はFDA便も含めてよく搭乗する


山形県一高いビル「霞城セントラル」の夕景


トレインビューでもあるホテル9Fからの朝景


山形空港シャトルバスは山交タクシーによるマイクロバス運行。高速経由で運賃1,300円


山形のホテルから板谷峠に至る道程。今回のハイライト的な動画となっている


久々に719系の集団見合い座席

その夜はホテルメトロポリタン山形のシングルルームに宿泊。ルームチャージで6,100円の部屋なので大した期待もせずに泊まったが、さすがにJR東日本系ホテルのトップブランドのホテル。20平方メートルと余裕のある広さで、かつ9階の部屋の窓からは、市内にそれほど高いビルがないため素晴らしい眺望を楽しめた。早朝の時間帯には山形駅に入線してくるJRの車両を動画撮影しまくった。


駅前?に八重桜の咲く峠駅のスノーシェッド


米沢駅からはヨネザアド号で上杉神社へ

翌朝は7時11分の山形線普通列車に乗るためホテルを6時40分ごろチェックアウト。新庄始発で6時56分に入線してくる「走ルンです」701系を待ち構えた。予想通り通勤通学客で混みあい、発車間際ではシートの確保が難しい状況だった。とはいえ、かみのやま温泉と赤湯の間ではかなり空いたので恐れるに足らなかったが。

米沢で2両編成の719系に乗り換え。集団見合い式シートが特徴的だが、せっかくのなのでそのお見合い席(=ボックスシート)に座った。峠駅までの区間はそれこそ動画撮影にいそしんだので、興味があれば左上の画像からYoutubeを見てね。

そしてこの旅の目的地、峠駅に到着。島式ホームの一面二線の形態で、ホームに待合室がある。特徴的なのは全体をスノーシェッドに覆われていて、外観はおおよそ駅っぽくない(左の画像参照)。そしてこの駅を目的地として定めた理由は「峠の力餅」(下の画像参照)。山形新幹線が開通する前から買いたいと思っていた名物をようやく購入。立ち売りのおじさんに「これを買うためにこの駅で降りた」と伝えたが、意外とそっけなかった…。


峠の力餅を買うための旅だった

峠の力餅を買ったのでちょっと気が抜けた。駅にはわずか9分の滞在で米沢に折り返す。米沢で下車し、今度はオマケの目的である上杉神社に向かう。


米沢市市民バス「ヨネザアド号」に乗って上杉神社へ。信玄の好敵手を祀る神社


左沢線に乗るのは実に29年ぶり2度め。後面展望でじっくりとご覧あれ


帰りのヨネザアド号は黄色の車体

米沢市市民バスの循環路線は「ヨネザアド号」というペットネームが付いている。navitimeの時刻と現場のバス停の時刻表が食い違っていてギョッとしたが、9時15分発のバスに乗って上杉神社へ。ものの10分ほどで到着して、いよいよ米沢城址の上杉神社を参拝する。

と、その前に手前の松岬神社を参拝。こちらは上杉鷹山公を始め、上杉景勝公や直江兼続公などを祀っている。私はどちらかといえば謙信公より鷹山公に共感しているので、こちらも念入りに参拝した。そして上杉神社を参拝。こちらは私が戦国大名のうちで最も好きな武田信玄公の好敵手であった上杉謙信公を祀る。謙信がいなければ信玄にまつわるドラマは生まれなかったはずで、こちらも厳かな気持ちでに参拝。これでこの旅の目的のほとんどは達成した。

ふたたびヨネザアド号に乗って米沢駅へ。山形に行く鈍行電車がまたまた719系だったので、今度はお見合いを一つ後ろで見守る席を選びアルコールを解禁した。県庁所在地に向かう列車とはいえ午前中の電車は空いており、ハイボールが殊のほか進んだ。

山形に到着して最後は左沢線で締める。左沢線は全線開業100周年とのことだが、私がこの路線に乗車したのは1993年7月の一度きり。29年ぶり2度目っていうと甲子園の出場校っぽいが、正直なところ前に乗ったことは1ミリも覚えていない。まるで初乗車するような新鮮な気持ちで寒河江に向かった。もちろん寒河江で降りるのも初めてで、駅舎はびっくりするほど立派だった。寒河江駅で空港ライナーという名の予約制タクシーに乗ってこの旅は実質的には終了。私にとっては少し遅めのゴールデンウィークだった。


毘沙門天の「毘」と越後の「龍」ののぼり


左沢線寒河江駅にて実質この旅は終わった

<終>

旅と音楽のこころへもどる