北海道縦断 豪遊ツアー


一人掛けグリーン座席の筆者


JR東日本の「大人の休日倶楽部」に入会して8年目。乗り放題のおときゅうパスを使っていろんなところに出掛けたが、この秋の発売からグリーン車に乗れるパスが発売された。普通車用に比べて値段が約2倍(35,000円)で、決して安いものではないが、2列+1列アブレストの北海道の特急グリーン車なら乗り出があり、ゆったりできそう。そんなわけで2024年9月30日から10月2日の3日間の休みを取った。

まずは富士山静岡空港からFDA171便で丘珠空港へ。秋の初めの時期だと沖縄は1か月季節が遅く、北海道は1か月季節が早い感じだが、機内からタラップを降りてターミナルビルまで屋外を徒歩移動すると、陽射しは強いが秋特有の冷涼さを感じた。丘珠空港からは札幌駅前までは北都交通の空港連絡バスで移動。車内は夜行バスのシートっぽくてちょっと豪華だった。

さて札幌駅から使い始めるグリーン車用のおときゅうパスは、グリーン車の指定券が6枚しかもらえない。この旅の行程で乗車する特急列車は計7本で、6枚の指定券にあぶれた列車は自由席に乗らざるを得ない。一方、昨今の風潮でJRグループの特急列車は全車指定席で自由席車両がないものが増えている。というわけで乗車時間が短めで、自由席を連結している札幌~旭川間の特急ライラック号の自由席に乗車。予定では札幌12時発のライラック15号だったが、バスから駅のホームまで走ったのが功を奏し、1時間前の特急ライラック13号11時発に間に合った。さすがに発車直前に飛び乗ったので窓側の席を確保するまではいかなかったが。


丘珠空港に到着したFDA171便


利尻富士は見えずとも北の海に日が沈む


朝食付7,000円のホテルムサシ

終点の旭川到着は12時25分。次の稚内行き特急サロベツ1号の発車まで1時間以上あるので、とりあえず改札を出ることにした。旭川といえば醤油味の「旭川ラーメン」を連想するが、ここではっと気がついた。明日の予定は函館で2時間半ほどの自由時間がある。この日に旭川ラーメンを食べ、明日に函館ラーメンを食べれば、北海道の三大ラーメン(札幌、旭川、函館)のうちの2つを本場で食べられそうだ。さっそくスマホでお店探し。有名店の「青葉本店」は店の前まで行ってみたものの並んでいる人がいて入店をはばかられた。次善の策として地元のチェーン店である「梅光軒 旭川本店」に入店した。

旭川ラーメンは豚骨と鶏ガラの動物系スープをベースに魚介系の昆布や煮干しの出汁を合わせ醤油だれを入れて提供するというもので、食べてみたら見た目以上にあっさりとしていてギャップがあった。旭川ラーメンの動画は函館ラーメンの動画とともにアップ予定なので、「旭川ラーメン かとにゃん」で検索すると出てくるのでは。

旭川駅に戻り特急サロベツ1号に乗車。北海道に土地勘のない人からすると旭川から稚内なんてすぐじゃんと思われるかもしれないが、特急列車が全力で走って4時間弱かかる距離である。旭川を出るときには昼下がりだった車窓が、抜海付近で日本海が見える頃には日没時刻。終点の稚内駅到着時にはとっぷりと日が暮れていた。で、サロベツ1号到着から特急宗谷号発車までの19分間を利用して、日本最北端の駅の動画を撮影。左の画像からご視聴あれ。

というわけで稚内滞在19分で、今度は札幌行きの特急宗谷号の乗客となった。稚内から札幌の宿泊を挟んで函館まで一気に北海道を通貫する。かつての急行宗谷号は山線経由ながら稚内→函館を12時間かけて結んでいた。今回の旅はそれを再現する旅でもある。

夜行列車を思わせる車内の雰囲気に負けて、酒を飲んでは惰眠を繰り返し、5時間以上の道のりはあっという間であった。札幌到着は22時56分。この日は北口のサンルート札幌に投宿。長い一日だった。

翌朝は札幌発8時43分の函館行き特急北斗6号で遅いスタート。前日に乗車した261系0代の半室グリーン車と比べると、この261系1000代のグリーン車は1車両まるまるグリーン室なので見た目も広々としていて気持ちいい。ただ1列側の座席は山側なので、噴火湾の海の車窓が見られないのが恨めしい。4時間弱で函館に到着した。

函館駅前はインバウンドの観光客も多くちょっとオーバーツーリズム気味。この騒動を避けるため朝市周辺ではなく郊外にラーメン屋を求めた。その店は函館市電5系統の大町電停近くの「福々亭」。観光客とは無縁の地元民のための店である。

函館駅前から市電に乗り、いったん終点の函館どつく前まで乗り通した。終点の電停から5~600mほど戻ってお店に到着。13時半ころの入店だったので、店内にお客も少なく問題なく動画を撮影できた。味の方はさっぱりとした塩味で、チャーシューが美味だった。塩ラーメンはやっぱりチャーシューが命である。

列車の出発まで1時間以上あるので、そのまま函館を散策。元町公園が近くにあり、「海が見渡せる公園」というGooglemapの案内文に惹かれて行ってみることにした。途中で函館市旧イギリス領事館があり、行きがけの駄賃で入館。すべての部屋に暖炉がしつらえられているのはいかにも北海道らしい。そのうちの一室の窓がが開け広げられており、函館港が見渡せて素晴らしい眺望だった。またその後に立ち寄った元町公園でのひとときものんびりできて、有意義に函館での時間を過ごすことができた。

市電で函館駅に戻り15時01分発の北斗15号で一気に南千歳に戻り、1時間ほどの待ち合わせで帯広行きの特急とかち7号に乗車。帯広到着は21時21分だった。

翌朝の帯広の気温は15度。すっかり秋の装いで駅前の並木の黄葉が美しい。このあと列車と飛行機を乗り継ぐと最高気温32度が予想されている残暑の静岡に逆戻りである。


暮れなずむ最北端の街 稚内漁港を望む


函館市旧イギリス領事館裏の英国庭園


サロベツ1号→宗谷の折り返し時間19分を利用して日本最北端の駅をご紹介


函館市旧イギリス領事館に入館してみた


開いた窓からは港町が見える素敵な部屋


旧函館区公会堂は形も色も目立つ


函館湾を見下ろす元町公園でのひととき


函館駅前に戻るとインバウンドの波が


黄葉が美しい帯広の秋の朝

<終>

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