キハ54に乗りたい!


ジェットで丘珠に降りたのは初めて


東海道線の静岡地区に313系8000番台が投入されてまる1年。ホームライナーで使用される373系ともどもボックスシートに大型テーブルが設置された車両に乗れる機会が多くなった。私のような呑みテツにとっては絶好の車両で、おりを見てはテーブルにツマミを並べて、飲んだくれている。そんな私が「また乗りたいな」と思う車両は北海道を走るキハ54形500番台。宗谷本線や釧網本線、花咲線など北海道でも端っこの方しか走っていない車両である。集団見合い式のシート配置で、真ん中のお見合い席は大型テーブル付。普通列車の車両ながら特急車両から取り外した中古の簡易リクライニングシートが設置されており、誠に居心地がよろしい。ちょうど大人の休日倶楽部パスが発売されている時期なので、今回は2泊3日で道東に出掛けることにした。


フジドリームエアラインズで富士山静岡空港と札幌丘珠空港が直結

おときゅうパスは17,400円のJR北海道だけ乗れるやつを購入したので、往復はエアーとなる。富士山静岡空港から札幌丘珠空港にフジドリームエアラインズが期間限定で運航しているので、往路はこれに乗った。普段はプロペラ機のみ離発着している、滑走路の短い丘珠空港に初めてジェット機で降りた。着陸後の急減速の模様はYouTubeにアップしたので興味があれば検索を…。

丘珠空港は札幌市街地にありながら、なかなか来ることがないので動画撮影。その内容は左の画像からご覧あれ。撮影している間にFDA171便用の連絡バスは発車してしまったので、後続の中央バスの路線バスに乗車。地下鉄東豊線の栄町駅に向かった。札幌では路線バスから地下鉄にIC乗車券を利用して乗り継ぐと自動的に割引になる。数十円とはいえ嬉しい制度である。

札幌から旭川まで特急カムイ17号に乗車し、旭川で特快きたみ号に乗り換え。当初の予定では東旭川で下車して旭山動物園に行くつもりだったが、キハ150形の1人掛けの座席に座ることができたので短区間で降りるのがもったいなくなった。シートに足を投げ出して北海道の原野の車窓を見ながら呑みテツするのと、60歳まぢかのオッサンが独り動物園に行くのを天秤にかけた結果、前者に決定。北見峠を特快きたみ号で越えた。

さて後続の特急大雪3号に北見までのどこかで乗り継がねばならない。遠軽でスイッチバックして進行方向が変わることと、17時を回って退勤時間にかかることもあり、遠軽で途中下車することにした。

遠軽での時間つぶしは散々迷った挙句、チェーン店の居酒屋である「つぼ八」に入った。それでも北海道らしく、ツマミはジンギスカンと海鮮丼を注文。ほとんど駅や列車の中で食事を済ます従来の旅とはちょっと様相が違う。

約2時間後、腹も朽ちて眠くなった頃に特急大雪3号のリクライニングシートに身を沈める。常紋峠も北見駅も覚えておらず、気づいたら終着の網走駅だった。

網走の宿は駅近くの北海ホテル。アウトバス、アウトトイレの和室だったが、全国旅行支援の割引を使って宿泊料金は3,784円だった。どうせ21時チェックインの6時チェックアウトだから安いのに越したことはない。

旅の2日目は6時41分発の釧網本線釧路行き鈍行に乗車。釧路に着くのは10時ちょうどなので、3時間20分も走る長距離鈍行である。最初はオホーツク海が見える進行方向左側に座ったが、実は藻琴湖や涛沸湖が見える右側が良かったと思っても後の祭り。乗客が入れ替わる知床斜里で進行方向右側に座り直し、釧路湿原対策は万全である。

川湯温泉駅で交換する対向列車が10分ほど遅れ、約20分の長時間停車となった。30年前ならいざ知らず、令和の世でこれだけの長時間停車をする鈍行は珍しい。改札の外に出て駅舎を撮ったりして過ごした。

標茶を出ると釧網本線のハイライト区間である釧路湿原が広がる。車窓からの眺めは左の画像からご覧いただくとして、湿原周辺はまるで人工物がなく原野そのもの。遠矢を過ぎて建物が増えてくると釧路湿原は終わり。長い旅路だったが飽きさせない車窓だった。

釧路からは快速ノサップ号に乗車。隣のホームに「くしろ湿原ノロッコ2号」が入線していたのでしばし拝見。懐かしい国鉄型客車の50系51形が自由席として連結しているので、トロッコ車両に乗らずにこの車両だけに乗りたいくらいである。観光客の少ない冬にでも乗車できたらと思う。

さて快速ノサップ号の方は本命の大型エーブル付き車両。進行方向向きの窓側に座れてご満悦。厚岸から延々と続く湿原と、根室半島の荒涼とした車窓が印象的だった。たびたび急制動がかかり横を見ると小鹿が飛び跳ねていくのはご愛敬。釧路~根室間は2時間10分で走破した。

もともとの予定は根室で3時間ほどぶらぶらする予定だったが、往路で乗車した車両が、まさにこの旅の目的のクルマだったので、来た車両で釧路に戻ることにした。帰りは飲みたくなったら飲み、眠くなったら居眠りするという至福の時間だった。

釧路の宿は駅前のコンフォートホテル釧路。ここでも地域クーポン2,000円分をもらったので、居酒屋でぱーっと使ってしまう。ホテルから大通りを挟んだはす向かいに「霧笛」という居酒屋があったのでそこに入った。晩酌セット1,000円と塩焼きそば、豚串などを注文し地域クーポンを使い切った。こちらもYouTubeにアップしているので興味があれば検索を。


釧路駅前コンフォートHに宿泊


快速エアポートは721系が好み


新千歳空港でようやくラーメン

旅の最終日は釧路6時27分発の特急おおぞら2号。2日目が普通列車ばかりだったので、ありがたく特急のリクライニングシートに身を沈める。そもそも池田以東は何十年ぶりかの乗車なので、進行方向左側に海が見えるとか考えもなしに席を指定してしまった。逆方向の車窓に広がる太平洋をうらめしく思いながら列車は淡々と西に向かっていった。

網走の北海ホテルに3,000円台で宿泊


対向列車が遅れ川湯温泉駅の外に出る


網走と釧路の間を3時間20分かけて結ぶ釧網本線の鈍行に乗車


釧網本線を走るノロッコに遭遇


50系51形客車の車内に懐かしさを感じる


デッキにあるトイレが懐かしい


こちらはノロッコのトロッコ車両


快速ノサップはこの旅の目的だったキハ54形500番台。大型テーブルで往復とも呑みテツ


最果て感ただよう根室駅舎


最終日の朝6時前。釧路駅舎に朝日が当たる

<終>

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