錦 川 鉄 道 雪 見 旅
冬の大垣はこんなイメージ

毎年2月になれば恒例のSpring Tourに出掛けるところであるが、今年はコロナ禍のため、そうもいかない。一応、JR九州で昨年デビューした「36ぷらす3」を予約していたが、大都市圏で緊急事態宣言が延長されたため、泣く泣く見送ることになった。それでも三連休が取れているので、どこかに行きたい。大都市圏以外で、日帰りの一人旅なら、ある程度遠くても大丈夫だろうと判断し、山口県の錦川鉄道に乗りに行くことにした。錦川鉄道は旧国鉄線より第3セクターに転換した路線である。ここ最近そのような路線で未乗のものを片っ端から乗りつぶしており、錦川鉄道も候補のひとつに上がっていた。実のところ昨年の4月に乗車の予定を立てていたが、1回目の緊急事態宣言のため、あえなくキャンセル。今回はそのリベンジとなる。感染症対策を十分にとって2月18日に旅立った。

まずは感染症対策の最重要ポイント。できるだけ空いた車両に乗ろうということで、ひかり号のグリーン車に乗車する。エクスプレス予約のグリーンポイントを貯めていて、今年の6月に期限を迎える。今後、旅に出掛けられなくなるとも限らないので、ポイント交換でグリーン特典を行使した。10号車に陣取ったが、私以外の乗客は1人だけ。これだけ空いていれば大丈夫だろう…。


快晴の浜松駅からグリーン車で出発


700系レールスター編成が並ぶ岡山駅

この日は冬型の気圧配置となり、新幹線は関ケ原地区の積雪のため徐行運転をしていた。上り列車は30分以上遅れており、先が思いやられる。名古屋駅では5〜6本の東京行き列車が数珠繋ぎとなり、車窓に映る乗客の顔にはあきらめの表情が見てとれた。こちら下り列車は、名古屋までは順調に走行したが、この先どうなることやら…。

案の定、岐阜羽島の手前で徐行運転となり、車窓は雪景色となった。関ケ原付近ではスプリンクラーが稼働しており、懸命に雪を融かしていた。そんな車窓を動画に撮影したりして、旅の手持無沙汰を解消したりしていた。結局、遅れは5分程度におさまり、事なきを得た。

新大阪で他の乗客が降りて、車内は完全に貸し切り状態となった。山陽区間に入ると、ひかり号は各駅停車となり、10分くらいの通過待ち停車を平気でするようになる。まぁ急ぐ旅ではないので、グリーン車の乗り心地を思う存分堪能することにしよう。


8号車の個室を覗かせてもらった


新岩国駅から西岩国駅へ向かう


岡山の駅弁「せとうち日和」

岡山駅にはほぼ定刻で到着。ここから「おとなびWEB早得」という、こだま限定の6割引きのきっぷを使うので、発券をするためいったん改札を出た。ついでに帰りの新岩国→新大阪間のきっぷを株主優待で買うため出札窓口に並んだ。このごろJR西日本は次々に出札窓口を閉鎖し、代わりにリモート発券の機械を置いているようだが、株主優待券の扱いはどうなるのだろうか…。少々不安である。

次のこだま号までの26分の待ち合わせのうちに余裕で所用が済んで、駅弁を買って再びホームに上がる。上り線には700系レールスター編成が停まっており、しばらくすると乗車予定のこだま号が入線。こちらもレールスター仕様で、奇しくも700系が2台並ぶことになった。昨年の今頃は引退する700系16両編成に乗るために血眼になっていたが、8両編成とはいえ700系はまだまだ健在である。さっそく乗車すると、まず4人用個室が並んでいる。こだま号では使用できないが、ひかり号として走るときは予約可能である。昔走っていた100系にはいろんな種類の個室があったが、現役の新幹線では個室はレールスター編成のみ。引退する前に一度乗ってみたい。

さて、車内では例によってアメリカンTOP40のエアチェック音声を聞いた。今週の放送は1981年2月14日のチャートだった。トップ10圏内ではREOスピードワゴンの「キープ・オン・ラヴィン・ユー」の8位が目を引く程度だったが、12位から16位のチャートが凄かった。12位がスティックスの「ザ・ベスト・オブ・タイムス」、13位がエア・サプライの「ときめきの愛を」、14位がボズ・スキャッグスの「ミス・サン」、15位がアバの「ザ・ウィナー」、そして16位がスティービー・ワンダーの「疑惑」と名曲ぞろい。中学2年生から3年生になるころの思い出が蘇った。もう40年も前の曲たちだが、古さを感じさせない曲ばかりである。そんなこんなで、こだま849号は山陽道をとことこ走り、13時33分に新岩国に到着。ここからバスに乗り換えて西岩国を目指す。駅から至近の東錦見バス停で降りたが、途中の車窓に錦帯橋が現れて、思わず目を見張った。

西岩国を14時25分発のワンマン列車に乗り、次の川西からいよいよ未乗区間の錦川鉄道に乗り入れる。名前のとおり錦川沿いに遡って行き、徐々に雪が深くなっていく。この旅は「Spring Tour」の代替で来ていたはずだが、思わぬ雪見旅となった。この冬は北の方に旅に行けなかったので、旅先で雪を見ることもなかったが、予定を変更したおかげで素敵な旅となった。列車は観光徐行を繰り返しながらゆっくりと走り、およそ1時間で終着駅の錦町に到着した。

錦川鉄道は旧国鉄の岩日線として部分開業したが、現在の終点である錦町から山口線の日原までの区間が未成線となった。鉄建公団が島根県境の向こうまで路盤を完成させていたが、結局日の目を見ぬまま終わった。しかし2002年になって、その路盤を活かして雙津峡温泉までのわずかな区間であるが、タイヤ付きの「とことこトレイン」を運行するようになった。残念ながらこの日は冬眠中だったが、3月20日より運行再開するとのことだった。


いわくにバス車窓より錦帯橋を望む


昭和4年開業の洋館・西岩国駅にて


錦川に沿って錦町まで雪見旅


錦川鉄道の終点・錦町駅舎


とことこトレインは冬眠中


NT3000形気動車「ひだまり号」


清流新岩国で新幹線に乗換

復路は清流新岩国駅で下車し、徒歩3分半のところにある山陽新幹線の新岩国駅に向かった。その時の模様は動画撮影している。動画の中でもしゃべっているが、両駅がこんなに近いのになぜ別々の駅名を名乗ったのかは興味深い。おそらく岩日線の本数が余りにも少なすぎて、新幹線に連絡する列車が確保できなかったからだと思うがどうか。似たような駅に新花巻があるが、あちらは同じような位置関係と本数なのに、同じ駅名である。

<終>

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