Spring Tour 2021
酷 道 ヨ サ ク 入 門 編

こだま754号に偶然N700S系の運用

1か月遅れの恒例Spring Tour。今年は九州を予定していたが、緊急事態宣言の再延長で見合わせとなり、四国に行くことにした。昨春、新型コロナウィルスの流行のため、700系さよなら運転が中止となった。そこで予定していた「座席喫煙車両」でタバコを吸うという私的なイベントがなくなってしまい、代わりにサンライズの喫煙車に乗ろうということになった。しかしコロナ騒ぎはおさまらず、なかなかサンライズに乗る予定が立たなくなってしまった。そこへ持ってきて九州へのSpring Tourが中止となったので、サンライズに乗らんがために四国行きを決めたという次第である。座席喫煙車両に乗ることが一つの目的なので、予約したのは喫煙車両。浜松から乗ってしまうと睡眠時間確保のため、久々の「タバコを吸いながら酒を飲む」という楽しみの時間がなくなってしまうので、サンライズ瀬戸号を熱海まで迎えに行くことにした。ちなみに瀬戸号の特急料金は、新幹線乗継割引で半額となる。

2021年3月15日夜、浜松駅の上り新幹線ホームで「こだま754号」を待っていると、新型のN700S系が入線してきた。N700S系は「こだま」運用にも入っていると聞いてはいたが、今から乗るこだま号がその運用で走っているのにはビックリした。さっそくシートの座り心地などを試したが、N700系との一番の違いは車内にある液晶ディスプレイである。動画も撮ったのでYouTubeにアップした。興味があれば下の画像をクリックしてご覧あれ・・・。

1時間ほどで熱海駅に到着し、折り返し在来線の下り線を走って来るサンライズ瀬戸号を待った。定刻よりずいぶんと早く熱海駅に現れ、歩くよりゆっくりとしたスピードでホームに入線してきた。入線場面から坂出で下車するまでの模様を動画撮影し、これまたYouTubeにアップしているので、右下のサムネイルをクリックして、ぜひご覧あれ。この列車に乗る目的のひとつである「タバコを吸いながらウィスキーの水割りを飲む」という場面も顔出しで流れている。

さて、われわれ鉄道ファンにとっては、寝台特急に乗ると「夜行列車の気分に浸るため起きている」か「寝心地を楽しむために寝てしまうか」の二者択一を迫られる。大体のところは前者を選ぶのだが、そのうちに睡魔に負けてゴロ寝してしまい朝を迎えるというパターンである。今回も「浜松までは起きていよう」と心に決めて飲み始めた。予約した部屋は喫煙シングルツインというやつで、車端部の平屋部分に2段ベッドをしつらえた部屋である。この部屋のいいところは比較的リーズナブルに大きめの部屋に泊まれる点で、上り下り関係なく、壁にもたれながら車窓が見られる点である。デメリットについては、この後の深夜帯に現れるのだが、ここでは言及しないでおこう。

閑話休題。タバコ、酒、夜汽車とくればグッド・ミュージックが欲しくなる。例によってSBSラジオで放送中の「全米トップ40 THE 80'S DXエディション」のエアチェックを聞く。今回は1982年3月13日付チャート。私にとっては、高校の合格発表を終えて、中学の卒業式を待つ頃のチャートである。全体的に思ったのはピュアな気持ちで向き合った1981年秋ごろの全米チャートと、人生で最もいい洋楽を聞いていた1982年夏ごろの全米チャートの両方の性格を合わせ持つ、いろいろ思うところのあるチャートだということである。前者の性格を表すのは11位のポリス「マテリアル・ワールド」。この曲は私が「マジック」のアルバムと呼んでいる「ゴースト・イン・ザ・マシーン」からのシングルカット曲。この曲自体は、1981年の秋口に既に聞いているので、私にとっては秋の曲という感じである。後者の性格を持つのは、30位にランクされているヴァン・ヘイレンの「プリティ・ウーマン」。当時FM愛知で聞いていた、夏目雅子さんがDJを務める日曜の午前中の番組「翔べ光の中へ」でこの曲が紹介された時のことを鮮明に覚えている。窓の外を初夏の日差しが照らす中、自室のシステムコンポーネントで聞いた、夏目雅子さんの「プリティ・ウーマン」という発音と、ギャーンと掻き鳴らされたエドワード・ヴァン・ヘイレンのギター・イントロは、その部分だけ静止画のように記憶に残っている。蛇足だが、その後かかった曲はエア・サプライの「さよならロンリー・ラブ」。1982年夏を象徴する1曲である。

この週のチャートにはトミー・ツートンの「ジェニーズ・ナンバー867-5309」(38位)や、ヴァンゲリスの「炎のランナー」(18位)など、その後のチャート上位を賑わす(=高校1年の頃の思い出の曲)がベストテン圏外にもランクインしていた。その中でも驚きなのは17位にランクインしているオリビア・ニュートン・ジョンの「ムーヴ・オン・ミー」である。この曲は、その年の夏休みに友人がアメリカにホーム・ステイに行くというので、ラジオの音楽番組をエアチェックしてきてもらうように頼み、そのカセット・テープに最初に入っていたものである。おそらく流行りのヒット曲としてオンエアされていたと思うので、息の長いヒットだったんだなぁと改めて思った。

で、いよいよトップ10の紹介に入っていくが、10位リトル・リバー・バンド、9位ダン・フォーゲルバーグ、8位ダイアナ・ロスの曲はどれも馴染がなく、残念な時間であった。しかし7位からはどれも知っている曲がランクイン。7位はゴーゴーズの「ウィ・ガット・ザ・ビート」。ボーカルのベリンダ・カーライルは、私の1988年6月の思い出の曲である「ヘヴン・イズ・ア・プレイス・オン・アース」を歌っており、中学卒業から就職活動までを彩ってくれたアーティストである。6位はエア・サプライの「スィート・ドリームス」。先ほど言及した「さよならロンリーラブ」のアルバムのひとつ前の「The One That You Love」からのシングルカット曲である。続く5位はスティービー・ワンダーの「ザット・ガール」。この曲を聞くと、当時のTDKカセットテープのCMを思い出す。続く4位はカーズの「シェイク・イット・アップ」。カーズがランクインしてくると、私の高校時代の幕開けという感じ。

そして3位はジョーン・ジェット&ブラックハーツの「アイ・ラブ・ロックン・ロール」。この曲は当時全く好きではなかったが、ある時カラオケで歌ってみたら気持ちいいこと。この曲は聞くのではなく歌うための曲だと思った。で、2位はジャーニーの「翼をひろげて(オープン・アームス)」。前の年の夏にリリースされたアルバム「エスケイプ」からのシングルカット曲なので、私にとっては中学時代の曲である。既に40年近く前の曲だが、それでもこうして夜汽車で聞くと熱いものが溢れてくる。ジョーン・ジェットに阻まれて、全米1位にはなれなかったがいい曲である。そして1位はJガイルズ・バンドの「堕ちた天使」。他のページでも記しているが、受験生だった私にとって「おちた」という言葉は縁起が悪く、この曲は原題の「センター・フォルド」と呼んでいた。まぁ受験生時代の私にとってはいわくつきの曲である。というわけで、この番組を1時間にわたって聞き込むと、当時のことがいろいろと思い出されて感慨深い。たぶんSBSラジオでのオンエアは今月いっぱいだと思うので、それが終わるまでは気合いを入れて聞き込もうと思っている。

全米トップ40を聞いているうちに静岡を発車してしまった。次の停車駅は浜松だったが、ここで眠気が襲い、うたた寝を始めてしまった。しかし、いざベッドに横になってみると、車端部ということで揺れがひどく、レールのギャップを拾う音や、空気バネの音、隣りの台車から聞こえるモーター音が気になり、たびたび起こされた。シングルツインのデメリットは眠りを妨げられることである。それに加えて、これは自分も悪いが、カーテンを閉めずに眠ってしまったので、米原以西の駅を通過する時にホームの灯りが眩しくて目が覚めた。その後、カーテンを閉めたので眠れるようになり、次に起きたのは兵庫・岡山の県境あたり。朝一番の停車駅である姫路は気が付かなかった。起きてからは再び動画撮影をし始め、その模様はサンライズの動画にまとめてYouTubeにアップしているので、興味があったらどうぞ。そんなこんなで瀬戸大橋を渡って四国に上陸し、定刻の7時09分に坂出に到着した。

乗継列車の「いしづち1号」は7時51分発と、微妙に間が空く。さりとて改札の外に出る気分にもならず、ホームのベンチで見慣れぬ形の電車を眺めていた。東海道・山陽の在来線とは異なり、既に国鉄型車両がほぼ一掃されているので、鈍行列車を見ているだけで楽しい。そうしているうちに時が過ぎ、8000系の特急電車が入線してきた。高松と松山の間を朝一番で結ぶ特急「いしづち1号」である。乗ってみれば8000系は凄い列車で、振子列車特有の車体傾斜をしながら、豪快に田園地帯を駆け抜けていく。日本全国で振子列車は走っているが、平野をこのように車体を傾けながら走るのは珍しい。最大9分の遅れをかかえていたが、新居浜には2分遅れで到着。かなりの回復運転をしたのが豪快さを増した理由なのかもしれない。

新居浜駅から歩いて5分。タイムズカーレンタルの新居浜駅前店でワゴンRを借り出した。新居浜までわざわざ来た理由はこのクルマを借りたかったから。というのもワゴンR FAのマニュアルトランスミッションの購入を考えており、MTのワゴンRが借りられるのは、私の知っている限りこの店舗だけだからである。9時15分ころお店を出発。久々のマニュアル車の運転ということで、最初はクラッチのつながる位置に苦労した。無駄に空ぶかししたりの連続だったが、新居浜ICから松山道に入るころにはようやく慣れてきた。高速に入ってすぐの入野PAで小休止。助手席にカメラを設置し、全面展望動画を撮影しはじめた。その模様もYouTubeにアップした。右のサムネイルから見られるのでご覧あれ。ちなみに今回アップした4本の動画のうち最も人気のある動画である。


新幹線N700S系 液晶ディスプレイ表示パターン


熱海駅でN700S系をお見送り


熱海駅にサンライズ瀬戸号が入線


最後の座席喫煙車〜サンライズ瀬戸を10倍楽しむ〜


坂出で特急いしづち1号に乗り継ぎ


初めて下車した新居浜駅の駅舎


ワゴンR(MT) 高速インプレッション


平凡な田舎道の国道439号

動画の方でも述べているが、最近の軽自動車はノーマルアスピレーションでも良く走り、高速でも上り坂以外はストレスなく運転できた。上り坂でもシフトダウンしていけば法定速度で走れるので、全然問題ないのだが。レブリミットは1速が40Km/h、2速が60Km/h、3速が105Km/hなので、高速では5速で走って4速にシフトダウン、一般道では3速までシフトダウンすれば事足りる感じである。FAという最下位グレードなので、タコメーターが付いていないが、レブリミットを覚えていれば、敢えてタコメーターを付ける必要はないかもしれない。また最下位グレードゆえにオートライトが付いていないのが面倒だったが、昔乗っていたクルマでは、窓も手動で開けていたくらいなので、これもそれほど気にならないのかもしれない。

その後、高知道の立川PAに立ち寄り、今度は国道439号の動画撮影を開始した。ご存知の方もいるかもしれないが、国道439号は日本一の「酷道」との呼び声が高く、通称ヨサクと言われている。本当にひどいのは徳島と高知の県境で、ここは離合困難な区間が続き、対向車と出会ってしまったらかなりの距離をバックしないといけないようである。まさかレンタカーでこんな道路を走る勇気はないので、今回は全区間にわたってセンターラインが引かれ、特大トレーラーもバンバン走っている大豊町〜いの町上八川の区間を走った。走ってみれば快適な田舎道で「これが酷道ヨサクか」とも思った。439号の逆さおにぎりも撮れたし、入門編としては最適だった。こちらも右のサムネイルからYouTubeで見られるので、ぜひご覧あれ。

上八川で右折し国道194号に入る。こちらも県境の寒風山(桑瀬峠)はひどい道だったようだが、延長5.4キロの寒風山トンネルの開通により快適なドライブルートに生まれ変わった。そのトンネルの直前にある道の駅木の香で小休止。峠の名前にもなっている桑瀬川(吉野川水系)の清流が流れるひっそりとした道の駅だった。この川が遠く徳島市で紀伊水道に注ぐと考えると不思議な感じに襲われる。トンネルをくぐれば西条市。クルマを返す新居浜駅まであと1時間の距離である。

予定では14時30分まで借りる予定だったが、大幅に予定を繰り上げて12時40分ごろに返却した。ここまでの走行距離は167Kmで、店舗の目の前でガソリンを満タンにしたら4.37リットル入った。満タン法での燃費計算では38Km/Lと驚くほどの好燃費。信号が少なくそれほど発進加速をしなかったのも理由だろうが、普段使いでこの燃費なら、今乗っているプリウスよりガソリン代が安上がりかもしれない。税金や保険などの維持費も安く、生活をダウンサイジングする願望がある私にとっては、ますます購入意欲が湧いたことである。

さて、レンタカーの返却を大幅に繰り上げたのには訳があって、当初予定していた14時34分発のしおかぜ20号で出発すると、浜松で新幹線を降りてから6分で遠鉄に乗り継がねばならず、それを逃すと間引き運転のため23時40分新浜松発の最終電車で帰るはめになるのである。ここで1本早い13時33分発のしおかぜ18号に乗車すると、姫路での新幹線から山陽電車への乗り継ぎがスムーズになり、大阪難波で18時10分発の宇治山田行きビスタカーに間に合う。伊勢中川で名古屋行き特急に乗り継ぎ、名古屋の6分乗り継ぎが成功すれば、ひかり522号に間に合い、浜松到着は21時13分。21時24分発の赤電に乗れるので、当初の予定よりも2時間16分も早く帰宅できる。結果そのように乗り継ぎがスムーズに行って22時前には自宅に到着した。日本の鉄道ダイヤの正確さは大したもんだ・・・。


近々のうちに購入予定のワゴンR FA


国道194号沿いの道の駅「木の香


ワゴンR(MT)で行く酷道ヨサク入門編


「木の香」横を流れる吉野川水系桑瀬川


8600系特急しおかぜ18号で帰途につく

<終>

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