本 州 最 北 端 の 地


大間崎 本州最北端の地の石碑


JR東日本の「大人の休日倶楽部パス」が発売されるたびに候補地として挙がる青森県の大間崎。「大間のマグロ」で有名なこの岬は本州最北端の地である。ぼやぼやしていて行けなくなってしまうのも困るので、一念発起して今回の発売時期に大間に行くことにした。大人の休日倶楽部パスの代金以外に下北駅からの往復のバス代4,000円を追加せねばならない遥かな場所である。


路線バスに揺られて2時間45分。ようやく本州最北端の大間崎に立つ


レフ大宮byベッセルホテルズ

大間崎に路線バスで日中のいい時間帯に着くためには、下北駅発11時15分の佐井車庫前行きに乗車しなくてはならない。そのためには八戸9時33分発の快速しもきた号に乗らねばならない。これに間に合う新幹線は東京駅を朝6時台に発車する「はやぶさ」の2本だけになるので、首都圏で前泊が必要となる。こういう時は私は決まって大宮に泊まるようにしていて、今回は大宮駅から徒歩3分の「レフ大宮 by ベッセルホテルズ」を予約した。ぶらり旅で札幌に行ったときにベッセルホテルの会員になったので割引価格で泊まれるのもポイントである。インバウンド復活によるオーバーツーリズムの影響で東京駅周辺のシングルルームに泊まろうとすると、べらぼうな値段となる。大宮ならそこまで宿泊代が高くないので助かる。

6月24日月曜日、大宮駅6時57分発のはやぶさ1号に乗車。大人の休日倶楽部パスの発売期間に加えて月曜日の朝なので指定席は全席売り切れていた。まぁそれでもこの間の「旅きゅん♡パス」の時のようにぎゅうぎゅう詰めの状態で立たされているわけではないので気が楽である。2時間半ほど乗車して八戸に到着。

八戸からの快速しもきた号もパスの影響でほぼ満員だった。だいたい自分と同年配か上の世代の人ばかりなので察しがつく。それでも青い森鉄道を走っている時はまだ探せば空席があったが、野辺地からもわんさと乗り込み2両編成のディーゼルカーは立ち客が下北駅到着まで途切れぬ盛況だった。

下北駅で大畑・大間方面の佐井行きのバスは昔懐かしい「ワンロマ」仕様。いわゆる路線バスのボディにリクライニングシートを並べ、観光シーズンには近距離の観光で使おうというシロモノ。窓と窓の間の柱にはマイクを差す穴があったりしてこれまた懐かしい。大間崎まで1時間半以上も座らないといけないので、バスは30年以上前の古臭いタイプであってもハイバックのリクライニングシートは嬉しいものである。

バスは廃止となった下北交通大畑線の大畑駅舎の前で小休止した。すでに廃止から20年以上経過したが、レールがまだ残っているのにびっくり。駅舎はバスの待合室としても利用されているようだった。

その後バスは風間浦の美しい海岸線を走るも私は海とは逆側の席なのでうらめしい限り。コンクリート吹き付けの崖の壁が車窓のお供だった。そうこうしているうちにバスは大間町に入り13時過ぎに本州最北端の地「大間崎」に到着した。

大間崎の灯台や石碑などを冷やかしているうちに民宿海峡荘というマグロ丼を出している店を見つけた。せっかくここまで来たのだし、3,000円と高価だったがマグロの赤身の上に大トロが4枚載っている「さくら丼」を注文。実に美味だった。その様子は左の動画でどうぞ。

大間崎から下北駅方面に戻るバスは3時間後。しかし終点の佐井方面には13時台にバスがあるので、動画撮影もかねて終点まで乗ってみた。曇天の小雨混じりの天気だったせいもあるが、車窓は陰鬱な感じで逆に最果て感があってよかった。大間崎はともかく佐井まではもう一生来れないかもしれないので、目を皿のようにして沿線風景を見入った。

特に何の用もなくたどり着いた佐井の町。帰りのバスを待つまでの小一時間が今回の旅のすきま時間。何気なくバスを待つ時が、その後忘れられない光景になったりする。開聞山麓でバスを待ったあの時のように。


大間崎の民宿海峡荘で食べたマグロ丼(さくら丼)は絶品だった

<終>

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