distance = 1,398miles

〜日本国内最長フライトの旅〜

千歳空港で搭乗を待つJAL2703便


2005年12月17日土曜日、朝6時半。ヒルトン小樽のオーシャンビューの部屋で目覚める。窓の外は雪化粧をしたヨットハーバーが望める。しかし昨夜は疲れた。予定外の会議のため会社をギリギリに飛び出したのはいいが、名鉄のミュースカイが遅れ、ANA・JAL共用ラウンジで夕飯を大急ぎでかっこんで千歳行きに搭乗。快速エアポート号から乗り継いだ札幌からの普通列車は、忘年会帰りの通勤客とぶつかり超満員。3両編成のどのドアも「本当にこれで乗り込めるの?」と思うほどぎゅうぎゅう詰めで、OLさんから悲鳴が聞こえた。まぁそんな苦労も一夜明ければ彼方に飛び去り、旅の気分が盛り上がってきた。

小樽築港を8時39分に出る江別行き普通列車で旅はスタート。しばらくは銭函の海を見ながら進む。相変わらず雪が降りしきり、日本海は荒々しい様相を見せていた。今日の一発目の音楽はキャロル・キングの「つづれおり」アルバムをチョイス。1996年12月の津軽の旅で雪景色とのマッチングが良いことを知り、以来冬の旅には欠かせないBGMとなっている。「イッツ・トゥ・レイト」や「君の友だち」が流れる頃には、車窓に雪で色を失った札幌の街が流れていった。


目覚めると窓外のヨットハーバーが雪化粧


雪降りしきる小樽築港駅に江別行きが入線

札幌からの快速エアポート号は近郊型の721系でなく特急型の785系である。旭川からスーパーホワイトアロー6号として札幌まで走り、そのまま快速エアポート92号として新千歳空港まで向かう。普通乗車券だけで乗れるいわゆる「乗り得列車」である。リクライニングシートに身を沈め、今度はクリスマスソングにBGMを変える。この旅のためにWEBサイトからダウンロードしたスペシャルチョイスである。カーペンターズの「ウィンター・ワンダーランド」が千歳線の牧歌的雪景色によく似合った。小樽からの1時間余りの鉄道の旅で、短いながらも北海道の冬景色を堪能し、列車は新千歳空港の地下ホームに滑り込んだ。

さて、いよいよ日本国内最長フライトであるJAL2703便に搭乗する。新千歳空港〜那覇空港の距離は1,398マイル、所要時間は冬場の逆風のため3時間40分。名古屋からならサイパンに匹敵する距離と時間である。搭乗時間が長いということで今回はクラスJシートを奢った。バースデー割引のeチケットレス決済で片道13,350円の運賃だったが、普通運賃ならeチケットレス適用でも52,050円の区間である。まぁ海外に行くようなものだと妙に納得した。

機材の整備と搭乗に手間取り新千歳空港の滑走路を飛び立ったのは11時25分だった。ANA中心にマイルを貯めている自分にとって、JALグループの国内線に搭乗するのは本当に久々である。仕事でこそ去年の6月にJACで出雲を往復したが、プライベートになると1997年の札幌雪祭りで利用して以来となる。初体験のクラスJシートのシートピッチの広さに満足し、快適なフライトとなった。なんといっても前席でフルリクライニングされても余り気にならず、心が穏やかでいられる。

さて、国内最長路線がどのような経路で飛ぶのか気になっていたので、途中トイレに立った時にCAさんに尋ねてみた。千歳から新潟を通過し、その後日本海に沿って飛び、中国地方を横切り鹿児島へ。後は島伝いに沖縄へということだった。本土上空にかかっていた雲も南下するにつれ途切れ途切れになり、洋上に浮かぶ島が見えた。あの島はどこの島だったのだろうか?

さんざん乗っていい加減に飽きてきた頃、ようやくB767は高度を下げ始め、15時ころ那覇空港に到着した。予定していた14時40分発のリムジンバスには間に合わず、後続の15時50分発の「花-13号」なるリムジンバスに乗車した。ふと車窓に目を向けると歩道の植え込みに「ブーゲンビリア」と名札がかかった木に花が付いていた。北海道の雪景色を数時間前に見てきた自分にとっては「沖縄では12月にブーゲンビリアが咲くのか!!」とちょっと驚きだった。

ラグナガーデンホテルには16時半過ぎに到着。浜松では日が暮れる時間だが、当地ではまだ「日が暮れるまで散歩に行こうか」というような明るさである。ホテルに隣接している宜野湾海浜公園をひと回りして自室に戻り、夜は最上階のバーで泡盛のカクテルなどをしこたま飲んだ。酔っ払ってロビーに降りると、12月っぽいイルミネーションが風に揺れていた。「さぁ部屋で飲み直そう!!」

沖縄那覇空港までは3時間40分のロングフライト


那覇空港に到着後すぐに千歳に折り返すB767


リムジンバスは各リゾートホテルを巡る


沖縄らしい海浜公園の門構えとラグナガーデン


ラグナガーデンホテルの入口にて筆者


クリスマスらしいイルミネーションが夜を飾る

<おしまい>


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