祝 西九州新幹線開業 |
今秋に開業した西九州新幹線 |
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はじめに 2022年9月23日に西九州新幹線の武雄温泉~長崎間が開業。JR線を完乗している身にとっては、新規開業区間は早々に乗りに行きたい。というわけで、平年ならSpring Tourで使っているJR九州の株主優待券を今回使うことにして、長崎への旅を組み立てにかかった。どうせ株主優待を使うなら、以前から試してみたかった在来線最長特急のにちりんシーガイアのDXグリーン車にも乗ってみたいと思い、九州入りを宮崎とした。立冬の11月7日から旅を始めることに決めたので、晩秋の九州の旅を存分に味わいたい。 | ||
ANAとの共同運航便のためソラシドエアにもアワードで搭乗可能 |
空路宮崎へ 浜松発大垣行きの朝一番の新快速で出発。もともと40分後に出る鈍行で行程を立てていたので、豊橋から乗り換える名鉄特急のミューチケットが確保できなかった(平日の朝は全ての指定席が売り切れとなる)。「伊奈で急行に乗り換えてゆっくり行こうか」とホームを名古屋方向に歩いて行ったところ、4号車にぽっかりと空いている席を発見。通路側に座っている若者が東岡崎で降りるらしく、窓側を空けて座っていたのである。厚顔無恥のおじさんの本領発揮で「奥の席、空いていますか?」と声を掛け、タダで座席ゲット。神宮前までかなり快適に行くことができた。 神宮前で予定より30分早いミュースカイに乗り換え(こちらは下りで8両すべてが指定なのでミューチケットは間違いなく確保可能)、中部国際空港セントレアを目指した。一本早い列車に乗れたので、余裕でラウンジにも立ち寄れ、ホットコーヒーを飲み干し6番ゲートへ。待っていたのは白と青のANA機ではなく、黄緑色がさわやかなソラシドエアの機体だった。 例によって今回もANAのアワード利用だが、ANAとの共同運航便であるソラシドエアもマイルで利用可能。人生初の搭乗だったので当然ビデオカメラを回した。動画の方は左の画像から見られるのでどうぞご覧あれ。 デミオでドライブ 宮崎空港に着いてまずはJRの宮崎空港駅に直行。窓口で今晩のにちりんシーガイア14号のDXグリーン席と明日の博多→長崎の指定席を押さえることができてひと安心。レンタカー送迎レーンからハイエースで運ばれて、タイムズレンタカーで借り出しの手続き。11時半前にはMAZDAデミオのハンドルを握っていた。日南の方に向かうつもりだが、帰りは分かりやすい海沿いの国道220号を北上するとして、行きは違う道を行きたい。そこで「ひむか神話街道」という愛称がある県道28号で南下することにした。途中、日向沓掛駅など大学の卒業旅行の時にゆかりのある駅名の案内看板を見ながら国道269号を進み、田野で左折。いよいよワインディングロードである。 左のYouTubeでも語っているが、MAZDAはヨーロッパへの輸出が多いので、乗り心地としては硬めでしっかりとしている印象である。CVTではなくトルコンを使ったオートマチックなので、アクセルと回転数が合ってないみたいな現象は無く、気持ちよく走ることができた。下り坂のみマニュアルモードに入れて、エンジンブレーキを効かせながら、曲がりくねった道を駆け下りた。こんなクルマならMTでなくても自分のクルマにしてもいいなと思った。 飫肥城にて 13時前に飫肥城の駐車場に到着。なにせ朝4時に朝食を取ったままロクなものを食べずに飫肥まで来てしまったので、何か食べたい。昨夜、宮崎出身のBOBのマミーさんから教えてもらった「飫肥に行くならおび天」という言葉を思い出し、大手門の近くにある「蔵」という店でおび天をいただいた。いわゆるさつま揚げだと思って食べると大間違いで、実際にはもっと柔らかく、出汁の風味を生かした味わい。店内で味わっているところは左の画像からごく短い動画で見られる。まぁというわけで運転中なのでビールを飲むわけにもいかず、どうしても酒のツマミにしたかったので、呑みテツ用に1,000円の詰め合わせ、そしてこれまた飫肥名物の玉子焼きを買い求めた次第である。 さて腹もくちくなったので飫肥城の攻略にかかる。「DENKEN WEEK」というアートイベントが開催されており、普段は入館料がかかる場所が軒並み無料。というわけで飫肥城周辺の施設に片っ端から入って行く。大手門の前には豫章館があり、まずはそこに入る。庭の手入れが行き届いており気持ちがいい。屋敷の方には期間限定のアートが飾られていて、ご婦人方がホーホー言っていた。 次に旧本丸跡へ。ここは天守台だけ残っており、建物が朽ちた後に植えられたと思われる杉木立でうっそうとしいていた。そこから少し戻って松尾の丸へ。こちらは当時の屋敷を再現したパビリオンみたいな感じで、湯殿が有名。こけら葺きで総檜造りの蒸し風呂で、思わずホホーっと唸ってしまった。その後に寄った歴史資料館はそれほど見るべきものがなく城外へ。この日は無料の有料施設の中で最も興味が沸いた小村寿太郎記念館へと歩を進める。 飫肥城の時代と違って明治時代の外務大臣だった小村寿太郎の時代は馴染がある。全権として出向いた日露戦争の講和会議でのポーツマス条約の締結のみならず、日英同盟の締結、江戸末期に結ばれた不平等条約の改正など、近代日本外交の偉勲を達成した人である。大学受験のため勉強していた時に、この人の名前と年号かなんかを語呂合わせして覚えた記憶があるが、今となってはそれが何だったかは思い出せない。 |
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MAZDAデミオをレンタルし「ひむか神話街道」を通って飫肥を目指す |
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BOBのマミーさんに前日教わって「おび天」を飫肥城の思い出に |
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お隣の島津藩に折り合いをつけて生き残った歴史を学んだ飫肥城 |
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在来線日本最超特急の「にちりんシーガイア」DXグリーン車の旅 |
大回りして長崎までの乗車券 DXグリーン車6時間占有券 |
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夜も明けきれぬうちに発車するリレーかもめ3号で武雄温泉駅へ |
ホテルセンチュリーアートに宿泊 |
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にちりんシーガイア 日南から予定通り海岸線を走る国道220号で宮崎空港へ。大学の卒業旅行では宮崎市から都井岬に向けてバスでたどった道だが、たとえ逆向きであっても「鵜戸神宮」とか「堀切峠」という案内を見ると、当時の事を思い出してキュンとする。それはさておき、カーナビの予定到着時刻よりも大幅に早着。信号がほとんどない快走路だから、平均時速30キロの設定ではむべなるかな。 |
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武雄温泉駅での対面乗り換えと西九州新幹線かもめ乗車の動画 |
宮崎空港近くのお店でデミオを返し、いよいよ宮崎空港駅から在来線最長距離特急のにちりんシーガイア14号に乗車する。予想通りDXグリーン席の区画に始発から乗車するのは私だけ。もっとも他のグリーン席に客がいたのも延岡までで、あとは1両まるまる博多まで貸切状態だった。 宮崎空港を発車し、いきなり南宮崎で9分停車。その一つ先の宮崎でも3分停車。特急なのだから長時間停車しないでさっさと行けやと思う人がほとんどだと思うが、ゆったりとした電動リクライニングシートと水平まで上がるレッグレストが付いているDXグリーン席に座る私にとっては「なるべく長いこと座っていたいからゆっくり行って」と思うのである。 宮崎を発車すると787系の本領発揮。ガンガン飛ばすのはいいが、DXグリーン席は編成最後尾の後ろ台車の上に位置し、おそらくこの列車の中で最も揺れる場所にある。窓框に置いていたビデオカメラはたびたび振り落とされ、もう少しどうにかならんかという感じだった。 なんとか空が明るかったのは延岡までで、宗太郎越えは夜行列車に乗っているようだった。秋の日はつるべ落としである。この後は揺れに任せて快適なシートで居眠りし、目覚めたのは1時間後の鶴崎だった。いくらシートが上等だとはいえ、昼行列車で1時間も昼寝するのは寝すぎである。 目覚めてからは再び呑みテツを始めたが、飫肥で買ったおび天と玉子焼きはとうに完食しており、20時前のこの時間になると、ハイボールにチョコレートというスタイルになる。最近になって禁煙生活を辞めた私にとっては、「これでタバコが吸えれば最高なのにな」と思った次第である。 小倉で進行方向が変わり、先頭車の一番前の台車の上になったせいか、それとも鹿児島本線の保線状況がいいのか分からないが、車両の揺れが収まり、またまた睡魔に襲われた。終点には10分程度遅れたため、都合6時間も乗っていたが、睡眠時間も多く、少しも長くは感じなかった。まぁ次に乗るとすれば普通のグリーン車の真ん中あたりの席がいいと思ったが。。。 リレーかもめ→西九州新幹線かもめ 翌朝は博多発6時32分のリレーかもめ3号に乗車。鳥栖到着直前にようやく日の出の時刻となった。快晴の佐賀平野を朝日を浴びながら走る。西九州新幹線は佐賀県内の着工が進まず、全線開業が見通せない。果たして佐賀県に新幹線は必要かどうか?知事はフリーゲージトレインがダメになったので「ハシゴを外された」というが、ならば改軌してミニ新幹線の案を出せばいいのにと思う。今の在来線のままでは佐賀県にとっても東海道・山陽新幹線と直結せず不便だと思うのだが・・・。 武雄温泉駅での新幹線への乗り換えは対面するホームに停まっている列車同士を乗り継ぐ方式。九州新幹線の一部開業の時に新八代でやったやつである。これはこれでスムーズなのだが、やはり列車を乗り継ぐとなると、荷物や身なりを整理する必要があるので、直通する列車に比べるとかったるいのも事実。長崎に行くのが不便になったという声ももっともである。 初乗りとなる西九州新幹線の武雄温泉→長崎間はほとんどがトンネル区間。大村湾がちらっと見えるところもあるが、その瞬間は左上の動画でどうぞ。で、新幹線らしく速さに驚いたのは諫早→長崎間。従来なら諫早を出ても終点の長崎はまだまだだなという感覚だったが、新幹線だとあっという間だった。というわけで30分ほどの乗車ででタイトル防衛の旅は終わった。 JAL国際線機材のクラスJ 長崎市内では、新幹線を降りたらすぐにバスターミナルからエアポートライナー乗車ということで、これが本当のトンボ返りだった。長崎バスのリクライニングシート付の車両で45分ほどかけて長崎空港に到着。長崎空港でも五島うどんを食べるでもなく、土産を買うでもなく、すぐに搭乗フロアに上がった。この旅の最後のお楽しみがこの後に待っているからである。長崎発羽田行きのJAL608便はボーイング767-300の国際線機材を使用しており、国際線ではビジネスクラスとして利用することになる座席が、クラスJとして予約できるわけである。クラスJはアワードでも予約可能なので、今回はマイルを使ってこの座席を確保したのである。 乗り込んでみると、ちょっと年季が入った機材で、20年ほど前にマニラ往復したJAL便と同じようなシートだった。真っ平になる機材だったら良かったのだが、贅沢は言うまい。曲がりなりにも久々にビジネスクラスのシートに座ったのだから。 長崎を発って1時間弱。浜名湖や天竜川上空を通過した(左の動画参照)。西から戻って来る羽田行きの飛行機に搭乗するといつも思うのだが、このままパラシュートで降ろしてくれたらいいのにと頭をよぎる。かといってスカイダイビングは20年前のニュージーランド以来もうこりごりなのだが。。。 |
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真新しい車体のかもめ3号で長崎に到着 |
新駅舎の前で工事が続く長崎駅 |
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長崎バス「エアポートライナー」で長崎空港へ。途中ちらりと大村湾が |
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JALの国際線機材767はクラスJのシートがビジネスクラス仕様 |
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<終> |